第29話タイマンと状況判断と実力差
キィーン!!ドガッ!!
それぞれの冒険者が10人で必死に競い合っている。
「かかって来い!!」
金髪の彼が威勢よく挑発する。非常に凛々しい姿だ。
「なんて名前なの?」
「…ランスロット。データ上No.1。剣速がダントツ」
流石軍師、素早い解説ありがとうございます。
話を聞いてる最中に、ランスロットが1人倒す。流石にやるね。
反対側でも3人と5人で戦いが行われていた。共闘してるね。こういうのもありだ。4:4になってないのも面白い。
「タケル、あの子?」
「あぁ、確か名前はダルクだっけか。多分やってくれるはずだ。」
俺の目をつけていたのは、ランスロットではなかった。
3人組の方が戦いを仕掛ける。
「「オラー!!」」
一斉の仕掛け、数で負けてる分一気に行くしかないよね。
対する5人組も、3人が勢いを受け止め、
パパーーン!!
残り二人が斬りかかり相手の風船を割っていく。非常に効率が良い。
残り一人に斬りかかりに行く、その時だった。
4人の中を光が駆る。
パパパパーン!!
4人の風船が割れた。
「な、なに!?」
「ど、どういう事だ?」
残りの一人も呆然としてる。その隙に風船がまたひとつ割れた。
「色んな想定して、未来を見ないとダメだよ。」
生意気な発言をする、兜をかぶった小柄な冒険者がそこに居た。
素早く倒した冒険者の剣を掴み、ランスロットに投げた。
「な!?」
かろうじで、ランスロットが弾く。その出来た隙にまた光が駆けてくる。素早く防御体制に入るが、光は何もせず駆け抜け、背後から頭部への一撃!
「なんの!!」
ランスロットは振り向かずに頭部への一撃を受け止める。
そう、俺の目をつけてたのがこのダルクって言う小柄な冒険者だ。
ダルクは持ってた剣を手放し、投げ付けて弾かれた剣を拾い、その場で回転し、胴への二連撃。
キィキィーーン!
ランスロットが振り向きながら弾き返し、中段に構える。
ダルク後ろに飛び距離をとった。
「タケル、やるじゃないあの子。」
「ここまでは100点、これからの正解が出せるかな?」
しばらく睨み合いの硬直が続く。
「駄目だ。降参。」
ダルクは自分の頭の風船を割り、降参した。
「決まりだな。」
「2つきまったわね。フフフ」
「ランスロット君、超強い!」
「タイマン最強だな!弓なら俺のがすげーけど。」
「…局面判断、迅速」
「僕もやり合ってみたいなー。」
先輩は気付いたみたいだなー。さて、エキシビジョンマッチと行きますか。
「ランスロット君おめでとう!賞金とギルドマスターの称号をさずけます!あと、俺とお手合わせお願いしようかな。どうだい?」
「望むところ!無敗の私に適いますかな?」
みんなの拍手に迎えられながら、二人は中央にて相見える。
ランスロット君は中段に、俺は下段に構えた。
相手が仕掛けて来る。上段の二連撃だ。俺は軽くあしらう。
簡単に防がれたことで、表情に焦りが見える。
「んま、こんなもんだな。いくぞ、歯を食いしばれよ?」
「秘剣!燕返し!!!」
下段と上段のほぼ同時二連撃。胴と頭部の風船が同時に割れる。
「なっ!?」
ピクリとも動けず驚愕の表情を浮かべ、膝をつく。
「こんな感じでやんちゃすると、お仕置きしにくるから、職務は全うしてね。」
「は、はい。職務に、責任を持って向かいます…」
さてと、本命の方に向かいますかね。
元村長の家に行くと、イッチーにナンパしてもらったダルク君がソファーにちょこんと座っていたのだった。




