第28話観戦と目星と目星
「それでは!天下一武道会を始めます!」
「「おおおおおおおぉぉぉぉ!!!」」
快晴の空にプラチナの澄んだ声の後に、むさくるしい男どもの声が日々樹 渉!いや、響き渡る。ギルドマスター決定戦の始まりである。
最初はトーナメントで、10名に絞り、その後をバトルロイヤルにする事に決めた。腕っぷしが強いのはもちろん必要だが、大勢との戦いの際に冷静に状況も見極めるためだ。ギルドマスターと、もう一つの目的もあるが。
「1回戦始め!!」
「おりゃー!!」
「どりゃ!!くあっ!!」
各々の戦いが始まる!コレだよコレ。この熱量。
ちなみに頭とお腹に風船をつけて、コレを木刀で割り合う戦いにした。真剣だと致命傷だからね。
「みんな隙が多いわね。フフフ」
「弓あったらなー。」
先輩もイッチーも楽しみながら観戦していた。
「剣なら超いっぱいあるのに。悲しい。」
「…男なら拳で語るべき」
なんか、方向性が違う方に言ってる二人もいるけど…
「おっ!!あの人構えも気合いもいいですね!」
エイ君が一人の冒険者になにか感じたみたいだ。
「誰々?」
視線の方向を見ると、しっかりと中段に構えた金髪長身のすらっとした男がいた。確かに一本筋の通った構えで隙もない。
「せいっ!!」
素早い一撃が頭の風船を割る。相手は微動だに出来てなかった。圧倒的ってやつだ。
「しかも、いい男ね。タケルほどじゃ無いけど。フフフ」
「…与一君程でもなし。」
へへへ。満更でもないな。
「亮子ちゃん。いー事言うね!」
イッチーが亮子ちゃんの頭をワシワシしながら返事をしていた。
俯きながら甘んじて受ける亮子ちゃん。すげー嬉しそうだ。
「あら、タケルは私もなでなでしてくれないの?フフフ」
「先輩駄目です!超駄目です!タケルにそんなの許したら、どこをなでなでされるか分からないですよ!!」
「あら、望むところなのに。フフフ」
「しねーから!ってか。俺そんなキャラ?」
最近の俺の立ち位置はそんな感じなのか…
リングを複数作っていたおかげで、昼過ぎには10人に絞り込んでいた。皆一応には強く、色んな構えや動きを見れて、俺にとっても非常にいい勉強になった。
「参加者の皆さんお疲れさまです!負けた方は参加賞ありますので、受け取って観戦の方に回ってください。30分後に決勝を行います。残られた10名は時間になりましたら集まって下さい。」
俺は段取り良く、冒険者や村人に伝えた。
大会のために集めたスタッフから、試合結果の情報を集め亮子ちゃんにリストを渡す。
「…データベース構築。」
戦力分析をしてくれるらしく、嬉嬉としてリストを眺める亮子ちゃん。
そーいや、部活の時も色んな部の戦略パートナーしてたもんな。
影で軍師ってあだ名が付いてるのも伊達じゃない!
横でプラチナが、なんか図面をひいている。新しい武器だろうか、こちらも嬉嬉として羽根ペンを走らせている。頼りになる二人だぜ。
イッチーはエイ君と女の子をナンパしていた。こ。この二人は…
「めぼしいのは見つかった?」
「うおっ!!」
背後から耳元に話しかけてくる先輩。気配の殺し方が尋常じゃないぜ。
「まったく、先輩には隠せないなぁ。一応一人有望なのがいるよ。」
「バトルロイヤルになってからが見ものね。フフフ」
「これで力を発揮してもらわないと、始まんないからね。」
先輩と意味深な会話をしていると、そろそろ時間だな。
「そろそろ時間なので集まってください。」
10人の冒険者達が集まってきた。その中に金髪長身の彼もいた。
「ルールは先程と同じなのですが、一斉に10人で戦ってもらいます!風船を割られたら外に出る様にお願いします。」
「「おぅ!!」」
威勢のいい返事が返ってくる。
皆それぞれ、リングに散らばった。
「それでは、決勝戦開始ぃぃぃぃい!!」
ギルドのトップになる戦いの火蓋が切って落とされた。




