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武道と魔法とetc  作者: おにぎり侍
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第26話怒りと咎とみんな

俺の掌が輝き、剣が転送されてくる。

二つ用意していたうちの一つだ。亮子ちゃんがアドバイスしてくれた内容はこうだった。

「…相手謀略の可能性を示唆。遠距離と五感を奪われた対策必須。」

俺の掌に握られてのは鬼神丸国重。

剣の声を聞く。

「我を求めるは誰ぞ?最高の突きを其方に与えん。」

刀の歯を上にし、持ち手を引き、刃先を親指と人差し指の上に乗せ、最高の突きの形を作り、耳を澄ませた。

「悪・即・斬」


「刀が出てきただと!?しかもなんだその構えは!ダサいな!ガハハ!!」

俺は声のした方に神速の突きを繰り出した。

「牙突!!」


「ぐはっ!!」

刀に斬った感触が伝わる。が、おかしい!?


「なんてな、人形を斬って満足でちゅか?オラァァァ!!」

危険を感じ、後ろに飛んだが胸に痛みが走る。

「まだまだまだまだまだぁぁ!!」

風切り音が聞こえる方に刀を構え防ごうとするが、受け止めきれず無数に体に傷が増え、出血していく。

このままではやられてしまう!


「弱ぇなぁ!こんな虫けらに村のすべてを任せるって残念だよなぁ。ガーハッハッハ」

「卑怯よ!!人間のクズね!!」

「超信じられない!!やめて!!やめてぇぇぇ!!」

煙の向こうから先輩とプラチナの声がする。


「お前の恋人達か?人間のクズに後で無茶苦茶にされるってのに。もう一人はいい声で鳴きそうだな!たまんねーぜ!!ガハハ!!早く殺してお楽しみタイムだなぁ!!?おぃ!!」

「くそぉぉぉおおお!!絶対にさせん!!俺の大事な人達は俺が守る!!」

意識が朦朧とする中、もう一つの武器を転送する。これは使いたくなかったが、止むを得ん。

光が手に集まり、掌に仕込み杖が現れる。

「主と同じ盲目。我が力は十二分に発揮出来よう。」

俺は腰を低くし、居合の形をとる。

「いくら目ん玉ひんむいても、見えねえものは見えねえ。だが、あっしにはお前さんの命が良く見える。お命はもう、諦めることですな。」


「また刀!しかも何言ってんだこいつ?頭でもおかしくなったのかァ?ギャハハハ!オラオラァ!」

気配から相手の像が見える。上段から打ち下ろすように頭部に切りかかってくるワードナー。俺は易々と避け、

「キンッ」

ためらいもなく一閃した。


「今のを避けるだと?俺が見え!か、体が!、ズレる!?がぁぁぁぁあ!!!」

「ふー、ふーー。」

興奮が全身を支配したままの俺。


「兄貴!!あにきぃぃぃ!!くそぉぉぉおおお!!」

煙が薄れ周りにあった柱からワードナーの部下が襲いかかってくる。

「やらすかよ!!」

「ファイア!」

「やらせないわよ!!」

イッチーとプラチナと先輩が相手を無力化する。


「か、勝った…」

緊張感が弛緩する。我に返った俺は、何か、芯を斬った感触が手を伝い、体全身に流れる。人としては決して越えてはいけない一線を越えた感覚。

人殺し。

仕込み杖を手放し、手が震える。

「うわぁぁああああああ!!あぁぁぁぁぁあ!!僕が、人を、ひとぉぉおおおお!!!うぇぇぇええ!」

震えが止まらない。僕の手が人の人生を斬ってしまった重さで、いろんな感情が止まらない。あまりの気持ち悪さに、戻してしまう。


「タケル!!」

先輩が走って俺を抱きしめる。

「タケルくん!!」

プラチナが俺を抱きしめる。

「ヤマタケ!!大丈夫か!」

イッチーも俺を抱きしめる。

「…タケル」

亮子ちゃんも俺を抱きしめる。

「タケルさん…」

エイ君はどうしていいか分からず、呆然と俺を見ている。


「ぼ、僕は人を、ご、ごろして、じまった…」

「こうなるのは仕方ないの。あなたもある程度は覚悟してたんでしょ。私達と村の平和の為に覚悟はしてたんでしょ。」

「私達も一緒に背負うから!みんなの咎だよ!!」

「お前がやってなかったら、俺がやってたさ。」

「…私達を守ってくれた。」

「タケルさん、初めてだったんですね。犠牲のない正義は極わずかなんです。誰かを守ったり、道を進むには手は汚れるんですよ。」

みんなが僕の心の震えを止めようとしてくれる。目が見えないが、みんなの温かさが流れ込んで来る。プラチナが剣を俺に渡した。愛情が全身を包む。光に包まれ前と同じ奇跡が傷や目を回復させていく。


「心配かけさせちゃったな。覚悟はしてたんだけど、実際は想像以上だった…」

「帰ろ。タケル。みんなで一緒に帰って、村のみんなに教えてあげないとね。フフフ」

「英雄の凱旋だな!」

「タケルくん!超胸張っていこ!」

「…英雄伝説始まる」

「僕は取り敢えず無力化したアイツらへ、村から出ていくように脅しときます。」

戦意喪失してる、ワードナーの部下達にエイ君が追込みをかけていた。一番頼りになるな。


できるだけ明るい話をしながら俺達は村に凱旋した。

村に入ると村人が俺たちの周りに集まってきた。

「結果はともかく、俺たちのためにありがとう。」

「若い君達に責任を押しつけて、申し訳ない。」

「どーなったの!?」


俺は力強く答えた。

「勝利は我にあり!!」

「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉお!!!」」

村中にみんなの声が轟く!

「この村の平和は英雄タケルが守ったんだ!」

「「タ・ケ・ル!タ・ケ・ル!」」

「みんな、こんな俺に未来を託してくれてありがとう。これからもみんなと一緒に村を繁栄させていこう!!」

「「ぉぉおおおおおおおおおお!!」」

一斉に声を上げたかと思うと、なんか、みんなに担がれて酒場に連れていかれた。

1日中、どんちゃん騒ぎは、終わることは無かった。


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