第25話充電完了と策略と策略
ガバッ!!
「充電完了!」
勢いよく俺は覚醒した。こんな恥ずかしいセリフも、周りに人がいないから口から飛び出したはずだった。
「プー!!充電て、充電てぇ!!」
「…充電完了。」
「ギャハハハ!」
何故イッチーと亮子ちゃんがここに!?ぐぁぁあ!!こ、コロス!!俺はベッドの横に立てかけている刀に手を伸ばした。
「ヤマタケ!?じょ、冗談だよ。な、落ち着け。」
「…じょ、冗談。冷静希望」
「俺たちはヤマタケのことが心配で来たんだよ!最近無理してるから大丈夫かなって。」
「そっか。ありがと。」
俺は一瞬で冷静になり、刀を抜かずにすんだ。やっぱりみんな見てくれてるんだな。よし。やるぞ!!
「朝ご飯食べて、今日はやるぞー!」
「なんか、元気になったみたいだな。充電のおかげか!」
「…友情充電完了。」
「もう充電は、やめろよー。」
賑やかにロビーにおり、テーブルに座り、みんなで朝食を取った。
フレンチトーストをオシャレに作ってくれたが、俺だけハンバーグが挟んであった。流石プラチナ、応援の仕方が斬新だぜ。
強めのマッ〇グリドルを食べ、いざ決戦の場に行くことにした。
出発の前に亮子が俺に近付き、耳打ちをした。作戦の内容だったが、アドバイスもひとつ混ざっていた。俺はてっきりチューをしてくれるのかと思ったのだが…
約束の時間一時間前に到着したのだが、既にワードナー達は集まっていた。
「なんだ!!貴様ら!!早すぎるぞ!?」
なんか、すげー驚いてる。早く着いて心や体の準備をする為に悪いことじゃないんだが、どうやら向こうも用意したかったみたいだ。
「ちょっと待て!まだ始めんよな?ウォームアップさせろ!」
「いや、こっちもそのつもりなんだが?勝手にやってるぞ。」
木刀で、素振りを始め、心を研ぎ澄ませていく。俺の手っ取り早い精神集中だ。
「せいっ!!はっ!!!チェャァアアア!!!」
無心に振って精神を集中する。足から頭迄、ピンと糸が張った状態になる。良い感じだ。
時間になったのでワードナーのところに行く。
ワードナーは背中からすごい熱量を発していた。準備万端と言うところだ。
「では、一騎打ちのルールを説明するぞ。目隠しをして、この中から剣を引いてもらい、それぞれの取った剣で勝負だ。勝敗は相手が動けなくなるか、降参するまでとする。」
なかなかフェアなルールに、俺も納得した。
先にワードナーが目隠しをして、剣を引き抜く。
細身の長剣だ、振りやすそうで間合いも取れる。なかなかいい剣を引いたみたいだ。
次は俺の番だ。
目隠しをして剣を取った時だった、目が燃えるように熱い。
「なんだ!!目が!!目がぁああ!!燃える!!前が見えない!」
「タケル!!どうしたんだ!!お前らなんかしやがったな!!」
「こんな卑怯なのはありえないわ!!中止よ!!」
「さて、一騎打ちの始まりだ!外野がキーキー煩いわ!」
バシュゥゥゥウウウ!周りを煙幕が包む。
「さて、絶体絶命のヒーローはどんだけ頑張れるかな?ガッハッハ!!」
「ぐっ!!くそぉおぉぉ!!!目が!!くそぉぉぉおおお!!」
視力が一向に回復しない。まずい!このままではやられる!
向こうから足音が聞こえる。
剣が振り下ろされる音がした。素早く剣を上にして頭部を守ろうとする。
キィィィーーン!簡単に俺の剣が折れる音がした。左肩が痛みとともに熱くなる。
「ぐぁぁあ!!」
「最近の剣は折れやすいんだな。ギャハハハ。俺のはなかなか折れないなぁァあ!!オラオラァァ!」
かろうじで後ろに転がり、避けれた。
目も見えないし、左肩から出血したみたいだ。痛みが時間とともに増してくる。
「タケル!!アドバイスを思い出してぇぇぇぇぇえええええ!!!」
初めて聞く亮子の叫び声だった。後ろに距離を取り、出発前の亮子の言葉を思い出す。
「走って逃げろってか?ギャハハハ!早く逃げてみろオラオラ!暗闇の中走れねーだろ?んー?」
俺は亮子のアドバイス通り用意していたポケットのスマホをタップした。




