第20話相談と相談と挨拶
「大変なんです!こんなものが届いて!!」
隣の村から村長宛に届いた書面には長々と書いてあった。簡単にまとめるとこうだ。
金と女を納めろ。さもないと滅ぼす。
唐突すぎて、わけがわからないよ!しかも、なんでこんな至福のひとときに、俺に相談をするんだー!!
「村長はどうするつもりなんです?」
「逃げようかなと、思っております。」
うん。そうだよね。まずは自分の身の安全を確保…
「って、村長コルァァァああああ!!!まずは村のみんなの安全を確保じゃろーがいぃぃぃいいい!!」
「タケル落ちつきなさい。人間はこういう時に本性が出るものなのよ。生きる選択は間違いないけど、村長さんは完全なクズね。フフフ」
「なんと言われようが、わしは逃げますわい!後はまかせますぞ!」
捨て台詞を吐き捨てながら、脱兎のごとく元村長は消えていった。
「村長なのに、一番先に逃げるなんて、なんてやつなんだ。先輩、取り敢えず戻って対策を考えようか。」
「そうね。村長不在なのもどうするか考えないといけないわね。タケル、村長やる?フフフ」
俺も一瞬その考えが過ぎったが、責任の重さを感じ、無言のままギルドに戻った。
「みんな聞いてくれ!隣の村から宣戦布告があった!!」
「なんだって!?次回予告みたいなやつか!」
おしい、少しあってるよイッチー。
「…戦々恐々」
「人と戦うのはちょっと…ちょー怖くない?」
「村を守るため、犠牲は止むを得ないです!正義のために立ち上がるべきかと!」
あつい!熱いよ!エイ君からの熱量がまじ半端ないです。
「確かに人間同士の争いとなると、村人から犠牲が出るし、相手を切った時の罪悪感がすごいと思う。みんな!この争いを回避するような、なんかいい考えはないか?」
「話し合いとかどうかな?超平和的じゃない?」
「軍隊を作らないといけませんね!攻めるのか守るのかも決めないと!」
「村長を暗殺しましょう。簡単ね。フフフ」
「…謀略。流言飛語」
みんな好き勝手な発言を…
「タイマンはどうよ?赤テープ同士で!」
「イッチーそれだよ!!赤テープは何に使うか分かんないけど?代表戦で、こちらの力を知らしめて無用な争いを起こさせないようにするしかない!」
俺は力強く発言した。周りの反応を見てみる。
「「赤テープ?」」
そっちじゃないだろー!
「被害を最小限にするのは名案だけど、代表は勿論タケルよね。フフフ」
まぁ、そうなりますよね。
「交渉は誰がどうするんです?」
「プラチナとオレが行く。」
「デート!!あわわわわ!」
俺の提案にベクトルの違うリアクションのプラチナ。どんなシチュエーションだよ。
隣村の場所をスマホで確認し、ちょっと遠かったので馬車をチャーターして向かうことにした。
「馬車でデートって、お姫様みたい。」
「確かに馬車なんて乗る機会ないよね。俺もドラゴン何とかでしか見たことないよ。隣村に着いたらなんだけど、ゴニョニョ」
「うん。わかったよ!超まかせといて!」
2時間くらい馬車に揺られると。
「近くまで来たんですが、このまま村に行くかい?」
「いえ、此処で待っててもらっていいですか?」
馬車を待たせ、二人で颯爽と村に向かった。
門に着いたところで、上の方から声が聞こえた。
「おまえら!見たことないな。何者だ!!」
「隣村からきた村長代理だが、代表者に合わせてくれ!」
「ギャハハハ!!おい、聞いたか?こいつら酔っ払ってるのか?家に帰って俺たちに攻められるのを震えて待っとけよ!ギャハハハ!!」
門番は大概最低ランクのやつが就く職業だが、飛びっきりのやつが就職したのか、村自体が低レベルなのか。
こういう輩には何を言っても通じないので、打ち合わせ通り、手っ取り早く強硬手段にでることにした。
「プラチナ頼む。」
「はーい!!いっくよー!ファイア!!!!」
ドゴォォォオオオオオオオン!
門が木端微塵に吹っ飛び、門番達は呆然と立ち尽くしていた。




