第15話部屋と宝鏡と私
ギィィィイイイイイ。
今まで誰も開けてなかったのだろう。軋みながら扉が開いた。
「わりとこじんまりしてんな―。宝物でザックザクかと思ったのによー。」
イッチ―が思ったことをそのまま口に出していた。俺も本気で期待していたのに…
部屋の中央に龍が上を向いている置物があり、その上に銅鏡が置かれている。
「か、鏡ですか、これ?周りになんか書いてありますけど、よくわからないですね。穴も6つ空いてますし。なんだろこれ。」
エイ君が鏡をのぞき込むが、何も映らなかった。鏡なのに、真っ黒。不気味な感じがする。
「せっかく白雪姫の魔女ごっこができそうだったのに。残念ね。リンゴも持ってないし仕方ないわね。フフフ」
セーラ先輩が妖艶な笑みをこぼし、銅鏡を指でなでる。
「…壁に文字がある」
「剣もささってるね。超古い感じ。でも刃零れもないし、錆びてもない超不思議。」
亮子が壁の文字を、プラチナが剣を見つけた。
文字のほうは結構長々と書いてあるがちんぷんかんぷんだ。
「こちらには、数字の書いてある3重の輪がありますよ。なんですかねこれ」
エイ君が何か見つけたみたいだ。俺もそちらに歩いてみてみる。
「金庫みたいな感じだね。組み合わせでなにかあるのかな。文字が読めないからノーヒントだ。とりあえず、剣の声でも聴いとくか。」
壁の剣を握り、精神を集中する。
俺の意識に膨大な情報が流れ込んできた。
「クハッ!はぁはぁ。なんだこれは」
「どうしたの!?タケルひどい汗よ。お腹が痛いのかしら」
「いや、凄い情報が流れ込んできたので、脳がオーバーヒートしそうだったのさ。」
今の流れで、なんで腹痛?せ、先輩…
「ふんふん。その剣は始まりの剣で、その銅鏡は宝鏡って言うらしいな。7つの宝玉をはめることで、ちょーやべーみたいだぞ?金庫みたいなのは、外の枠から右回り、左回り、右回りにそれぞれ1に合わせて押し込むことで遺跡を封印できるってマジかよ。」
イッチ―がなんか喋っている。
「も、もしかして、読めるのイッチ―!」
「与一。やるじゃない。金髪は伊達じゃないわね。」
「与一さん!凄いです、こんな文字見たことないのによくわかりましたね。」
「…博学素敵」
「イッチ―やるやんかー。帰ったら凄い武器つくったるかんなー。」
「お、俺、なんで読めるんだろう…ま、いっか逆に凄くね?バイリンガルだぜ。」
イッチ―、全然逆じゃないだろそれ。
俺は、イッチ―の言う通り輪を回し、押し込んだ。
ゴゥン。ゴゥン。ゴンゴン。ゴ…
何かが、止まる音がした。もしかしたら村長の期待にそえたかもしれないな。
エイ君に、剣を引き抜いてもらい、宝鏡をもって、村に帰ることにした。
遺跡内でモンスターに会うことはなかった。本当に封印しちまったんだな。
村に帰る途中では、さすがにマルフォンやスライム等のモンスターには出くわしたが、遺跡制覇の俺達の敵ではなかった。マルフォンはミルミルちゃんにお土産だー!
俺達は村の入り口に付き、門をくぐろうとした。




