第12話迷路とチューと無知
順調に地下四階に降り立った俺達。
目の前には壁、壁、壁、そして通路。いわゆるダンジョン的なやつである。
「ウィザードリィ的な女神転生的なやつな。俺苦手なんだわー。」
「…マッピング得意」
「とりあえず、進んでみようか。」
「取り合えず進むは無策よ?目印や右側をずっと進むとか策を講じなさい。リーダーの心得その1ね。フフフ」
確かに先輩の言うとおりだ。右側を通る方法と分岐点に印をつけることにした。
しばらく進むと、出るわ出るわモンスターの群れ。
1階から3階の総復習のごとく、マルフォン、狼男、ゴブリン、スケルトンとエンカウントするする。
直接攻撃はエイ君の盾で防いでもらい、(剣ももっているのだけど横なぎばっかりなので逆に危ないからあまり使ってもらってない)イッチ―の矢、プラチナの炎、亮子の爆発系打撃、先輩のエイッっていいながらえげつない攻撃などで、先に先にと進んでいった。
プラチナの魔法には本当に助けられている。ナイス発見だよこれ。
プラチナの顔を見てみると、ちょっと疲れてそうな顔をしていた。
「プラチナ大丈夫か?」
「ひゃっ!タケル君!顔の距離、超近くない?超大丈夫だよ!」
「ならよかった。ちょっと元気なさそうに見えたんでさ。」
「ヤマタケがチューしに行こうとしてるのかと思って、焦ったぞ俺!どれどれ、プラチナ大丈夫k!?グアアアアアア!」
亮子に関節を極められるイッチ―。
「…容認不可」
「亮子の行動は正しいわ。もう少しやっておあげなさい。タケルは本当に顔を見ようとしただけなのよね?」
ナイス亮子!先輩がなんかピキッてるけど、俺はなんか悪いことをしたのだろうか…
「みなさん仲が良いのは分かるんですけど、早くこいつらを!!」
必死に盾と剣でゴブリンの攻撃をいなしているエイ君。マジすまない。うちのパーティーは脱線がすごいのよ。
「エイ君悪い!!セイッ!!シャアアア!!オラア!!」
俺の攻撃に残りのゴブリンが倒れていった。
やっとのことで、ダンジョンを抜け大広間にでると、ど真ん中に下に続く階段があった。
「地下五階で、痴漢と誤解!アオザイきた女性からの冤罪!東方!SAY!HO!」
こ、こいつの元気は無限大だな…
「…HO」
「亮子、おやめなさい。この馬鹿は伝染するやつよ。」
「なんなんすか、この才能の塊は。」
「馬鹿はほっといて、またいつもの質問なんだけど、下に降りる…よね?」
「相変わらずの弱気ね。そこがタケルの良いところでもあるだけれど。フフフ」
「矢も回収して俺はいつでも行けるぜ。ドンパッチもあるしな。」
「…無問題」
「盾も両肩のミニ盾も大丈夫です!」
あれ?元気の塊プラチナが何も話していない。目もボーッとしている。やはり大分疲れてるみたいだ。
「手持ちの食糧も尽きそうだし、次の階で今日は終わりだ!」
リーダーとしての最適のプランをみんなに提案する。
「そうね、よく見たら、水も携帯食もそろそろなくなりそうだし、最適な提案じゃない?」
「そーいや、腹減ったな。ナイスリーダー!」
「…空腹なう」
「緊急時は僕の皮の手袋を噛みましょう!」
「が、がんばるよ!」
ラストスパートとばかりに地下五階に進む俺達は気付いていなかった。
魔法がどういうものかということと、情報がないということがどんなに恐ろしいということかを…




