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書けるときに書いていきます。
少しづつですが暇つぶしにでもどうぞ。
秘匿事項
・現段階の育成者は20名までとする
・残り7名まで放棄可能
・上記7名まで放棄する場合は男3名女4名とする
・放棄方法は各エージェントに委ねる
・以上4項のいずれかに違反した場合、担当エージェントを放棄する
キィンッ…!
光源がまったく存在しない暗闇。
ここがどこかという認識すらもできない空間に響き渡る金属がぶつかる音。ぶつかった瞬間に火花が散り、わずかながら光がもたらされる。暗闇に透明で澄んだ細い瞳が映る。相手との距離はわずか1mと確定。すぐさまその場を後退し、壁を探す。そして相手を確認した場所から4m後方に冷たい壁の感触を感じる。その間自分以外の物体が動いた気配も音もない。これで相手との間合いは5m。ここから踏み込み、体重を乗せて刃を振り下ろせばなんてことはない。相手は同じ女なのだから力では負けない。
コンッ…と壁を蹴る音がしたまさにその瞬間。
「えっ」
困惑の声を上げたのは刃を振り下ろそうとした女から。
体に違和感が走る。最初に感じたのは冷たさ。そして次に襲ってきたのは熱を伴った激痛だった。
「な…なん…で…」
かろうじて言葉を吐き出しながらドサリと床と思われる場所にくずおれる。腹部からとめどなく溢れてくるぬるっとした液体。血液。命の源。それが流れていく様を確認することは叶わない。しかし腹部に流れてくる感触はまごうことなき本物だ。自分の状況を理解した女はすぐ近くに迫った気配にようやく気づく。
「なん…で…あんな…」
しゃがれた声。命が尽きる手前の最後のあがき。見上げたが相手の顔は見えない。そしてその問いに答える声も響かない。あるのはどこまでも暗い闇だけ。
「……かはっ…!でも、もう…いいか…0番…」
口から血液と思われる吐瀉物が吐き出される。腹部から血を流した女は自嘲気味に1人ごちる。
「ああ…この私の世界が………」
その言葉を発したのを最後にこの暗闇の音は消えた。
そして絶命した女の近くにいた0番と呼ばれた女は、女に致命傷を与えた腹部に突き刺さったナイフを抜き取り、その死体の近くに横たわる。
「17番、放棄完了」
澄んだ声だった。感情もなにもない純粋な声。殺人をしたとは到底思えない落ち着きよう。
『ただいまより出口を開放する。17番はこちらで処理するため、触れるべからず』
対してスピーカーから流れてきたのは機械音声。男性か女性かも識別不能。
その音声が流れてから数秒後、光が舞い込む。
そこへ女は歩みを進めていく。出口を求めてではない。救いを求めてではない。それが当たり前だからだ。
女が出口へ達した瞬間、再び暗闇が訪れる。まるで死体を隠匿するかのように。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
また続きを書き次第投稿いたします。