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どうやらもうダメらしいのですけども………

最初の話しを

覚えてなくて

記憶容量が少ないっていやね

竜がしゃべっている上では

あのボケなすの病人はまだ寝ていた


いや、死に損ないなので寝てる訳ではないか

本来ならば死んでいただろうに

実は保護している者達も

なぜかはわからない


ただ目の前にこいつが居た

それだけの事であった

こいつが元の体の主であったが

あの時最早生を手放す寸前であったのに

新しく来る予定の奴が失敗すると言う

およそあり得ない失態を犯したので

棚ぼたで座り込んだのだ


少し時間が遅かったら

ちょっと入り方がずれていたら

変わっていたかも知れない

ただ、それはもう過去の事である


とは言えなんの匙加減が違ったのか?

は実際の所わからない

きっと何処かの誰か……いや

ただ生きたいと言う誰でも持っている思いに

負けてしまったのか……

完全に歯車は外れた


全くいきなり最初からやらかしやがってこっちは

辻褄合わせでてんてこ舞いだよぉぅあぁーぁーぅう~

………ごほんごほん


さて、そのばかたれはどうやら

まだ上空に待機している様である


…………………

三角に配置された丸い球と真ん中にある楕円形の卵

その中は管理された寝床

快適な空間が与えられている

わざわざこんなものを用意して治癒魔法を

しないのはなぜなのか



球の中は意識だけ外に向けられる様に

表面は中から外を覗ける様にして中で飛び回っていた


「すげえなぁ、竜があのじじいとしゃべっているよ!

何しゃべっているんだろうなぁ

後で聞いてみようかなぁ

でも治るのかなぁ?死んでも

まぁ最後に助けてもらったし

それはそれでしゃぁないのかなぁ?」


そんなことをいう

まるで自分は死んでもいいとでもいわんばかりだ

もしやもう生きてはいないとでも

思っているのだろうか?


(もうすぐお治ししようと思いましたが……

御仕舞いがよろしいのでしょうか?

体はなくなりますがよろしいので?)


生きることを渇望していないと捉えれば

人に縛る必要はないので治す方向が変わるのだ


治療ではなく変化を提供しようか思いがよぎる

なんの変哲もない体だ


むしろ前のまま完全再現してある

疲労も古傷も何もかもをだ

転生というと少し違うが

改めて全て材料から作り上げたものだ

見た目ではわからず調べてもわからない

そのように作ってある

完全に人である

しかし、人よりこちらに近くなったのは

間違いない



本人も気付いているのかしらないが

………おとなしくしている


なぜならまだ認めていないから


誰でも良かったかというと

確かに誰にも合わすことはできる

狂人でも独裁者でもどうとでもなる


しかしそれは喚ばれた者だけだ

この者はそれが無い

いやあの場に居たのだから


寝ていた人がたまたまでこうなった

何故にその様な事に関わらないといけないのか


まだ決めかねていた

それは自分で判断するしかないのだ


とは言え喚ばれた命令は保護なのだから保護はする

それだけであった

ほんとにそれだけであったのである


言うなれば上から持っていろと言われた荷物


そのぐらいの感覚であった

捨てるようなことはしないけども

かといってそれ以上の思いはない

むしろ置いてしまいたい

それが出来ないでいる



とても弱い個体なので

乱雑に扱うと壊れることが予想された

それは命令に添わないので自然と

この形態になっている

このままでも回復は見込めることだろう

ならばそれ以上の処置をする必要はないと判断した


きっと本人も休むのを欲していることだろう

更に詳しく解析をしたい

なにを望むのか?

どんな人物であるのか?


「君が助けてくれたのだから文句なんて言えないよ

このまま実験されてももう何も言えないさ……

その位はわかっているよ

そんな奴らはいっぱい見てきたからね

好きにするといい

……でも痛みはいやだなぁ、そこだけ無しで

お願いします」


ペコリと頭を下げる

震えるような声で最後はとても小さく

平気とは言ってないと判る

やはり生きる気持ちがある


なにをか気にして止めている様である

相当な事件を幾つも見てきたから

そう捉えているのか……

荒れた下界でこのような仕打ちは

どうやら自殺行為と何ら変わらないらしい


治すことも素直に喜べないとは


このままではこの者が主として

行動をするのは無理ではないのか?


意思が出来ないのではないのだろうか


(それではよろしくお願いいたします

 そのまま待機なさってください

 痛みの件は今ならなにをしても

 感じないでしょうから

ご安心ください)


査定は無理と言える

そもそもその様な対象ではないから

我らの思いを満たすのは酷と言う物だ


これならばまっさらにしてしまった方が早い

立ち直れない所まで行き着いた者を

さあ明日から変われと言うのか?

どうもよくわからない

なにを望むのだ?


おそらく普通の思いよりも低いことであろう筈だ

それを成しても

なんの意味がある?

我等にも意思を満たす物はないのか


不意にはるか上空から何か感じる

それは命令であり意思と言えることであった

チカチカと光るそれがきっかけで

ある思いが生まれる

無いなら作ればよいではないか……と

我らも素直に進まなくとも動ける

それもまた満たす条件かもしれないな、と


大きな衝動が起こり

塊であった物が開き始める

空が現れた所から落ちていく轟音

広さいっぱいまである魔法が入り

遺跡に向かう


それをなにもせず見つめてポカンとしていた





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