閑話40
外はまた良い天気だった
こんだけ鬱蒼としたジャングルなら
毎日雨降ってもいい位なのに
雨に当たった事がない
そんな馬鹿な!
こんなにじめじめしてるのに
これじゃ砂漠って言っても
いい位の降水量になるだろが!!
もう少し考えろや!
えっ誰に言ってるんだ?って?
そんなの神様に決まっているだろうが!!
サボりやがってからに
こんな所で力使ってんじゃねぇよ!
と言ったところで別に前のに合わす
事もないんだよなぁと
不意に悟ってしまった
いかんいかん、どうもまだ
人の所が抜けていないようだ
そんな事じゃダメだな
こっちに合わせないといけない
このむちゃくちゃな方にな
「ちょっと待って!」
魔女子さんが呼び止めてきた
「なんだよ!」
珍しく後ろに居る女の子に向き直す
「剣を出しなさい、
儀式をするから!」
「ああ」
剣ね、…正直大したことないとたかを
くくっていた物筆頭である
リュックは使えないとはっきり
わかってるからね除外である
確かに獣辺りを切ったりしたけれど
至って普通で刃はあるな
と思っていただけで別に
真っ二つに簡単にとか
そんな事は一切なかった
これがどう変わるのか………
ちょっとだけ期待と興味があった
剣を引き抜く
刃こぼれはない
刀身には鉄の色があるだけで
何の飾りけもない
鈍く光りもしない
それは手入れをしなかったから
汚れがべったりと着いているからである
前の時にそのまま何もしなかったのだ
所謂血糊べったりである
ただの板に無理やり刃を着けた
素人の作品だと言っても信用するね俺は
………多分神は刀鍛冶として
扱わないで作ったのかもな
作り方なんて知らんが
神域の装備は全部こんな味気ない
不恰好な物しかないのだろうか?
外見だけで判別は絶対不可能だよな
わざわざそうしてあるのかね?
まあ目立つのも今は困るのだけどね
「これをどうするんだよ!」
何かイラッとしてきつく当たる
見てるとがっかりする
こんなのどうするんだよ
「鞘ごとちょうだい!
なに怒ってんのよ……
うざいんだけど…やめてくれる?」
「悪かったよ、…ホラよ!」
面倒なので鞘に納めずに放り投げる
魔女子はそれを難なく掴む
割と身体的に高いよな
その方面でもいけるんじゃないか?
「お前結構動けるよな
力もあるし………やっぱ人じゃないから
なのか?」
棺桶の蓋を持ち上げてたしな
「こんなのになに感動してんのよ?
さっさとやるわよ」
まあそうですよねぇ……
こいつの感覚がようわからん
「そこに立ってじっとしてて!」
剣を納め右手で持ち左手で円を描く
指の通りに陣が浮かび
魔法の光りとよく分からん文字が
言葉と共に出てくる
この辺を見ると魔女だなぁ
魔法だなぁとよくわかる
やり方をなぞることはすぐ出来るが
全くどうやっているかわからん!
これはそうゆう類いのものなのだ
「さあ行くわよ!構えて!!」
「えっ?」
体が硬直する
金縛りかよ!
鞘が熱を持っているかの様に
赤く光る
「さあ、差し受け入れよ
皆と共に追われるがいい!」
胸に全力で押し込まれた
「うぎゃあーあーぁー………あれ?」
根元まで差し込まれた剣が
胸にある
ちょうど水晶を埋め込んだ所だ
水晶を貫いたらしい
それはまんま穴のある所だった
「終わったわよ、…これで連携完了よ
後は勝手にやるようになるわ」
フウと一つ息をついて
そう言う魔法子さん
「……やるなら先に言えよ!
いきなりぶっ刺すな!!」
不当な攻撃を受けたと抗議する
「先にやるわよって言ってたでしょ!?
それにあんたは差した位じゃ
何とも無いんだからいいじゃない
何よ!やらない方が良かったってこと?」
逆に攻められました
「そんなこと無いよ、…
ただ刺すなら刺すって言って
欲しいなって
思って………」
ああこれはやられる未来が見えます
「………そう、…わかったわ
今度からそうする
でももう無いと思うけど」
うん、もう無い方がいいです
お後がよろしい様で
もうこの話は止めよう
文句言う為に来た訳じゃないんだから
俺達は先に進んだ
もうだんだん武器の君に
なりつつあるね
元気が足りないけど
つづく
(おいまだ普通と思っているよ)