2ー10、どうやらみんな用があるようです
遅くなりまして
すみません
つまらないものですが…どうぞ
この部屋は狭い
大きな天井と広いフロアで一見すると
広く高く見えるがそう見えるだけだ
円形なので角はないしスミはすぼんで
何も置けない
結構低く造られてそこから一気に
真ん中だけ膨らんでいるからだ
床に術式があるのでその分だけはとった
とゆう事なんだろう
なので他には何も置けない
当然何も置いてない
持って来るのにも苦労しそうなので
それで良かったのかも知れないが
非常に味気ない部屋だった
最初に思った事はそれであった
ここを最後の寝床にしたのか…
飾りもないむき出しにある石をみて
よく潰れて埋まらなかったなと
改めて天井を見上げる
あそこなど土ではないか!
ここまで深くなれば圧力も計りしれない
そのままで持つとは思えない
やはり護られてはいるのか?と
辺りを観察してみるが………どうにも
全く魔力の欠片も使われていないこと
しかわからない
どんな技が使われているか
仮にも守り神と言われている身である
かなりの知識はあると思う
それがこれは全くの初見で
似た物すら浮かばない
どうゆうことだ?
これは自然になったということか……
たまに偶然奇跡が起こる
この状態がそれだ!
この状態にするには恐ろしく微妙な
感覚でもって正確に使わないと
出来ない!いやそれでも出来ない
強度が足りないからだ
だからこれはあり得ないことで
はっきり言っておかしな現象といえる
なんで今まで保っていられたんだ?
これを保てるのは確かに能力で
できる
しかし百年は出来ない
それにははっきりいえる
自分にはこの真似が出来ないのだ
単に自然の一現象でなんのことはない
実はそれほど珍しくもない
少し探せばあるだろうことである
しかしそれでもこれを見過ごすのは
自分には出来ない!
見事だと思う
それでこの術式は助かったのだし
今まで保っていられたんだよ……
これを何も思えない奴らは
どのみち扱いがなってないのに
ちがいない
それほどの物に見える
自然は、…いや世界は広く偉大で
たまにさらっと何の気なしに
こういう事をしてくれる
これになんの意味はないとわかっては
いるんだ
しかし最強だ神を抑えるだなんだと
言われてもこんな事一つ出来ない
その時ははっきりと自分が大したこと
ない存在だと思えるのだ
まだまだたくさん知らないし出来ない
嗚呼今私ははっきりとみているのだ
世界というものを
端から見ていると変人にしか見えない
事をいちいち感激しているのは
誰も居ないことがわかった上の
安心感がそうさせるのか
気持ちを奮い立たせているのか
しかし後ろで見ている者が一人いた
そいつも此処に用があって来たので
あるが、面白いのでそうっと覗いて
見る事にしたのだろう
後ろで影に同化して一見すると別に
何も思えない所に潜んでいる
ただ立っているともとれる
そうとわかればそう見えるだけだ
別動隊、正式な物ではないが
出所はもっと上で直接に発せられた命令
と遜色はない
その命令とは調査だとかでは無く
壊す奪うも辞さない実行力のあるものだ
その命令を受けた者も表だって
顔は見せない様にしているも
見られても今は問題無いとは思っていた
命令したのは魔族の筆頭主である
株主とは違うがかなりのお年寄りで
どちらかといえば表側でない権力者
といえばよいか
それも恐らくほかに並ぶ者のない所
に居るであろうお方であった
コツン
ハッと振り向く「誰?!」
そこには半分影に重なった魔族
「何時から居たの?!」まだ信じられない
なんて気配のない奴なの?
体勢を起こし身構え改めてみる
「道がわかったので入る事にした
君は座り上を見ていた」
一つ一つ丁寧にゆっくりとそして響く
声がしっかりと耳に届き
確かに居るのが判る
気配が強すぎて気絶するのとは真逆な
反応だ
つけられた?まさか、バカな……
しかし道がわかった?だとか
どうも転移のわずかな揺らぎを感知したと?
私がそんなに下手だと言いたいのか?
冗談じゃあない!
そんな初心者みたいな事をするか!!
「バ、…ばかにするな!わかる筈がない!」
「下手ではなかったな、だから道が綺麗
で通りが滑り易かったよ…
(下手とか)そうゆうことではないのでな
すまんな」
唖然とする
さっき言った事でないがまだ知らない事
が山程あるな…… 何者だコイツ?
一応言っておくがこの二人は先の騒動
には関与していない
別人になる訳だが勿論あの事があったから
二人とも此処を見つけることが出来た
のである
「別に君をつけていた訳じゃない
此処に用があったのだよ
だからちょうど良いことになってしまった
のだ」
影が揺らめく まるで半身のようだ
「壊しに来たの?それだと私とは逆に
なるのだけど………」
戦いになるのだろうか……
何故か戦いたくはないと思う
気配がないとかで無くて
その構えが感じられない
ほかの理由があるにちがいないと
確信する
「君と理由は違うらしいがやりたいことは
同じように見える、少し話しをしたいが
聞く気はあるかね?」
「早く話しなさい!」
構えを解いて胡座をかく
なんにしてもここは狭いまん中に
陣取るとやつは隅の背の低い所で
立たねばならない
顔の部分がそれで隠れている様で
おかしなことになっている
まったくもって気持ち悪い
少しは考えて欲しい
高速で接近する飛行物体に気が付く
シャミイがそちらに振り向くと
もうかなりの接近を許していた
大きい!
あれだけの巨体は限られる
すぐ様そちらに向かう
「ああ~集まってきたね~!
これからだよね!楽しみな時間は!!」
何時の間にかザリングが登ってきて
後ろの方で観客に成ろうとしている
「止まりなさい!」
両手を広げ進行を阻止する
二十メートルを優に越える巨体は
その小さな体に反応して止まる
ドラゴン、正式には飛竜の王種
神竜にちがいない
人ほどもある妖精を連れている
でも竜に比べたらまだ小さい
「ねぇ貴方妖精さんでしょ?
仲間だよね?」
竜の周りを飛びながら話しかけられた
きわどい服を着て飛びまわるもんだから
チラチラと股や脇が見えて
そこにキラキラとした粉が降って
幻想的に見えた
粉ではなく光の粒子が舞っていた
「お仲間とは違うけど妖精さんと
呼ばれた事はあるわ」
何故か張り合う様にひらりと
腰をはためかせて服を揺らす
キラキラとはしない
「うふふっ仲間よォ!わかるわかる~
なあんだ~やっぱりだぁ」
更にヒラヒラさせながら飛び回る
「これこれ、そうはしゃぐな」
ご主人(竜)は鬱陶しそうだ
そうではないかもとは思わなかった
なんだろうこの関係は
私の知らない関係だ
このままにしていたとしても
一向に構わない、…そんな事はない!
でもいいな… これも
もっとみたいと思った
「すまないが少し友になって貰えないか」
とても似合わない顔でそんな事を言う
申し訳なくすぼめる体つきが
笑いを誘う ふふ
どうしよっかなぁ
「ねぇ!そっちに行ってもいい?」
「うん!!」
うふふっ、ふわっとした綿の様に
なったかのような
竜の周りは軽いのかもしれない
一時飛び回った後
「それでここに来たんですか?
これから大変な事が起こるので
逃げ…」
「ああ、実はそれにも用があってな
あれのせいでこの子の仲間と
他の奴らが全て消え失せたのだ
だから今度はあれを壊してやろうと
思ってのう」
首をひねって町の有る方を指す
ええっ!