2ー6,なんとかしても困りそうです
さっきから地震がおこる
言われていることがある
大きな災いがおこる前に地に異変がおこると……
この地震が何回もおこるのは
気のせいであると思いたい
この町…カナの町は平和な町で暮らしがしやすい
ところとして知られている
辺境の町でとても小さいが皆が良い人で
貧しいながらも何もないのをやりくりして
楽しく暮らしていた
価値のない所でこの先は荒れた土地で間に木の生えた
鬱蒼とした森が挟む典型的な僻地で
こんな地のはてに手を伸ばす物好きはいなかった
そうこの先は未開の地なのだ
それで無くともここまでにもまだ余るほどの土地が有り
ここが地の果てと言うのも確かにそうだ
と言うそれだけの理由がある
わざわざ入る理由がないのだ
冒険もここで満足するほど遠く険しく
この先の準備などこの町に出来るはずがない
そもそもみなそんな事をしても価値がない
愚かな行為に思っていた
一度はたぶん調査をしているのだから
もうわざわざ入る必要がない所で
その前に忙しくて暇がないのだ
しかし今日に限ってその方向に何かあるのである
あんな所で何かやる奴らが居る!
これは何かあるとして若い騎士が
見回りに向かうのを見て、胸騒ぎが止まらなかった
家から水を汲みに町にある井戸に行った帰りに
観たのだ
あの人は来たばかりでまだよくしらないだろうに
あんなに若い人が(それでも成人期の半ばには達している)
ここに来るなんて珍しい
聞くとどうやらかなりの変わり種らしく
不思議な御仁であるということだ
頭はそんなによい訳でなく
(そりゃこんな所に飛ばされるのが優秀な訳はない)
のんびりしているらしい
上の隊長に指令でも受けたか
それで無くとも最近の外は物騒になって
なんでもかなり近くに
(それでも歩いて数日はかかるらしいが)
たちの悪い集まりがあって
そこはかなりの地獄で暮らしなんてもんじゃない
でも価値のある何とかという
物がリスクを度外視して採れるらしいので
かなり色んな人達が
出入りしているらしい
そこが有名な,果ての地、なのだそうだ
自分達の居る所は知られていないから
またそんな物が採れないから
安眠できるのだと
何と言う物がない寂れた所なのだと
出るにしてもそこを通らないといけないから
普通の者はすぐ拉致られて死ぬまでこきつかわれ
戻ることはないと知っていること
そして騎士が町を守ってくれていること
を知っている
私も元はそこからの流れ者なのかもしれない
が今は騎士が見張っていて
入るのを制限している
ありがたいことだ
私はそう思う、だってこの町が大事だもの
潰されてしまえばもう行くところなどない
あまり大きくなって目を付けられて
盗賊や人さらいなんか来た日にゃ終わりだ
そんなのは嫌だ
勘弁して欲しい、私は平和にあればそれでいいんだ
奴隷や家畜なんて今さらなりたくはない
若い女を食す鬼違い(きちがい)貴族の話だって聞いたことがある
この辺なんて珍しいことじゃないから
そんな話をここに入れたくないから
みんな一緒に警戒しているんだ
食べ物は畑と森の者達と少し歩いてある川と幾つかの
池が遠くの山から流れてきて厳しいながらも
暮らしていける
池は流れてこないか、
今日はまた遺跡の礼拝堂にお祈りをしよう
お昼にお祈りをしようかな
話はまた戻って前の話
「からかう積もりはないよ!ただね!
止めるには安易に考えすぎだよ!
バランスが狂ったんだ!君たちの事でね!
この場所が狂ったんだよ!
この下に何があると思う~?!
壊すと怒られるよ~?!」
ザリングが調子に乗ってきた
このまま洗いざらい吐いてしまえ
そう思った
丸い奴等は最初の三体で和を作り
でも三角であるそこから次々と分身を
吐き出し続けていた
もう二三百は超える、空に舞うそれはもう
白い風船の如くそこらを舞っている
全体を埋め尽くすのも時間の問題だ
その間一分も掛かっていない
「でもこの先魂が蔓延して魔獣や不定形精霊
なんかになれば貴方の仲間が増えた
ものですよね、
帰るのは何故ですか?」
「違う!そんなに急いでやればすぐ終わって
しまうじゃないか!!
そんなに終わらせたいのかい?
この世界を!冗談じゃない!!
もっと居させてよ!頼むよ!」
懇願する、手を合わせて膝をつき
少女にお祈りのポーズをとる
「なら町にデウスマキナキナの一族が居るのは
何故でしょうか?」
新シャミイが聞くあの人に会わないと有名な
一族がである
何をするにも度が越えてしまうので絶対
何かあるに違いないのである
「…… ああ、奴等は魂の収束を起こす積もり
なのさ!
子供に集めて産ませることで後継者を
造る積もりなんだろうねぇ!!?
奴等も利用する腹のようだねぇ!
それじゃ尚更送り返すなんてやったら
ただじゃ済まないよ!!
あれが怒ればこの大陸は消し飛ぶよ!!?
イヤ生物が激減して死の世界になるかもね!!
次元を壊すかもね!」
それだけの能力が備わっていると言うことは
語り次いだ話に出てくるのであながち嘘
とは言えない
壊してもまた初めからの事になるだけなのだ
奴等に取っては………
「もしそんなことになったとしても
そんな事になりませんよ、私達がさせませんから
それに魂は全てそこに集まる訳では無い
のですよね?なら町にその分送れば済むことです
後は私達の分配分になりますね」
救命胴衣が喋る いやベッドか
「いやそれだけじゃ済まない!奴は
出現した者達で子を試すのも
鍛えるのもやる、いわゆる救世主として
存在させるのだろうよ!
ホント上のえげつなさは毎度ヘドが出るよ!
俺の上は遊びでやってるんだ!!
俺の事なんか毛ほどもみてない!!
それに対する奴も同じだよ!
くそ力で叩けないから遊んでるのさ!!」
こいつの評価はかなり低いのだろう
心底そうはなりたくないと思っているらしかった
空を回っている物達が空の切れ目を治しに
掛かっている
そうしなければ数百年はそのままになっただろうか
あの力の残骸はそうは消えないのだ
この僻地があんなになっても
それは果てだからと誰も気に止めなかっただろう
むしろ相応しい風貌の容姿を得て
益々近寄り難い越えられない壁に
見えたかもしれなかった
何故治したのか?
それは向こうに進むからだろうか?
もっと別の理由かそれとも戯れか
多分ご主人様がみたらそう言うだろうと
思っただけかも知れない
しかしまた人の中でどんな地位の
思想的な幼稚さや狭い視野をしているか
知っている
町の中で規則的に暮らす生活を得て
満足するのか?と疑問に思うのだ
「そうですが、何もしないのは向かって来る
者に体を明け渡すことになります
多少制御しないと町にも行かないかも
しれません文字通りここに腐死のコロニー
が出来上がることでしょう
ご主人様に負担になりますので変更します」
「好きにするといいよ!」