1, どうも妖精ってこんなもんだよね
ふと気がつくとそこは森の中だった
まだ頭がボーとしている
隣にはなんだか冷たい見た目の四角柱
二リットルペットボトルを一回り大きくして四角にした様な
物が立てられて置かれている
ツルツルで金属の見た目であのモノリスに少し似てるな
と思った
俺はさっきみた夢を思い出す
夢の中でふわふわ浮かんで寝ていた
意識はない、いや薄いといった所か
何処からか声が聞こえてきてそれはこう言った
「何か出来るなら何がしたい?」と
とても素直な声で浸透していく
何故か抗えないし別に避ける気もしないので
オレも素直に答えた
「いつでも食べて快適に眠ることが出来たら最高に幸せですね」
と
「そうか」と言って何か光に包まれて目の前でとまり
収まった まあそれだけなんだが、…
俺はいわゆる浮浪者という奴で大層な思いも
過大な夢も人並みには持っている
金持ちになりたいし力強くなりたいし有名にもなりたい
それに別に聖人って訳ではないので人に尽くすとかそんな事も
するつもりがないが、…助けたりはしてみたい
でもしかし、何故あの場面であんな事をのたまったのか
もっと良い事なんかいくらでも言えたろうに
いつも肝心なところでボロが出る
何かすごく損をした気分になってしまっている
どうしてだろう、ただの夢なのに
腹減ったなあ 何か食いもン探して来るか
「おはようございます、食べ物をご所望ですか?ご主人様」
何かすごく品のあるお店にでも来たかの様な声が聞こえる
自分には憧れの声である
声は中性的でとても聞き味がいい
声の方を向くとあのモノリスの上からホログラムぽい
映像が出ていた
「えっと、ボクに言ったんですか?」
「はい!そうですよッ ご主人様!!」
昼頃になって森の中にも明かりが降り注ぎ出して
所処に丸く穴のあいたクッキーのようだ
ああ…腹へったなあ
「ご主人様、これを食べてください!」
「うるさい、喋るな!」
なんだろう幻覚が聞こえている
そうそう少し探して見ましたよ
川も木の実も何もないしけた森でした
まあこの時期何もないのは仕方ないでしょうよ
やっぱ町に行かなイカンかな
「信用して下さい」
あのホログラムがぴったりとついて来てうるさい
「お前は帰れ、俺はご主人様ではない!人違いだ!」
さっきからそう言っても帰らない
「ご主人様~」 泣きそうにされても困る
なんやねん!もっと他の奴の所に行けよ!
ましな奴なんかいくらでもいるだろ?
お前に構っている暇はない!
「だから、他のもっといい奴の所に行った方が良いよ?
その方が絶対いいよ?そうしなよ」
「そんな人はいません!!」
オオウ 何か不憫に想えてきたよ
洗脳されてるやんかかわいそうに
オレが一番なわけないじゃんかなに言ってンのよこの子
イタイ、…いた過ぎるよ
「俺は町に行く、ついて来たら捕まるけどいいの?」
「大丈夫です!」 ムダに元気なのは性格かな?
まあ妖精にみえなくはないから何とかなるかな?
「まぁ大丈夫ならいいけど… オレは助けられないよ?
ホントにいいの?もう一度考え直してみたら?」
きっと見せ物にされるか研究材料にされるか
見つかった瞬間からこいつの人生は終わるに違いない
自由など無い オレはそう思う
この世に妖精などいないんだから
「ついていきます!離れませんからね!絶対に!」
いやそうゆう事で無くて ……でも説得は無理かもな
「わかったよ、勝手にしろ!知らんからな」
そう言うとそっぽ向いて歩き出す 確かすぐ近くに
あるはずだ、そう覚えている
方向も判る こっちだ
「あの、…聞いてもよいでしょうか」
「えっと何?」 なんだよ
「… 何故こちらに町があると知っているのですか?」
「そりゃ行ったことがあるからだよ」
やさしく話す オジサンが小さな子供をあやす様に
この子は何も知らないんだ子供の様なもんだ
いや犬猫に近いのに怒鳴ってどうする
そう思っていた
間違いではないはずである人ではないのだから
「そうですか……」
そう弱く言うとだまり込んで下を向いてしまった
それが何なのかわからないまま進む
ずんずん進む 道は獣道のままに木も密集してないし
平地で歩きやすい
少し行くと開けた場所にでた もうすぐだ
それにしてもわざわざ町まで来て食いもンなかったら
どうしよう
最悪水だけでも飲ませてもらってくれれば
何とかなる
「こちらの物は食べて頂けないのですか?ご主人様」
まだ言ってるよこの子
「あのね、君の持ってる物は君と同じで幻に近いんじゃ
ないのかい?それじゃ食べられないよ」
「ちがうんです!そうではなくて本体の方の物です!
私の物ではないんです!」
「それってあの四角い金属みたいなやつの事?」
「そうです!」 あ~あれの事ね
「でも置いてきちゃったよ?いいの?離れても?」
大事な物なら一緒に居ないといかんのではないか?
ちょっとでなく大分心配になってきたよ
もしかしてアホの子なの?
バカなの?
「ご主人様についていきますから、仕方ありません」
は?「いやダメでしょ、ていやいやなにしてんの
本体でしょ?なにほかってんのなくなったらどうするの?
えっとあんな目立つのすぐ無くなるじゃんか
うわっ場所わかる?戻らないと」
実はオレもちょっと軽く考えていた
離れたら戻るダロ位に思ってた 甘かった
何でそこまでこだわるのか 訳わからんが
「もう持ってかれましたからいいです」
「ええー!!」 遅かったか……
「ねえなんかスイッチ押されて消えちゃうとか使われる
事はないの?」
「あれはご主人様しか使えません!大丈夫です!」
オレ専用機なんかい!最初にいえよ!そうゆう事は!!
「ええーと、なにかほかに言いたい事はあるかな?
何でもいいよ?」
何かあるのか……すでにやってしまった感があるが
「あの、あの、早く触って下さい!でないと動きません、
後食事して下さい!!」
何だか真っ赤になりながら精一杯伝えましたという
やつで今はしぼんでいる
小さいとは言えあのモノリスと同じ位はあるので
五十センチ程度はある
綺麗な服も着ていてまるでお人形の様しかも背中に妖精の羽が出ていて羽ばたかないで飛んでいる
飾りではないんだろうけど……不思議だ
まだホログラムぽいから触ると実体になるのかも知れない
「君に触ればいいの?本体の方?それか両方?」
「本体で主起動で私なら補機になります、私でもいいですが…本体に触って下さい!!」
うんうんわかった良く出来たね偉いと撫でておく
ふるふるしている
一応触った事に成るよね………これ
「ありがとうございます!」
キラキラしてる
「今触ったけど……まずかった?」
ビュンビュン飛んでいる所にツッコミを入れる
ピタッと止まる えって顔をこちらに向け
それから頭を抱えて叫ぶ
「ああ~私のファーストコンタクトがあ~」
なんというテンプレしかし、…おもしろいなこいつ