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劉皇国戦記  作者: リューク
プロローグ
4/78

関勝

今後は、だいたい17時で予約投稿を入れます。

 それからの日々は忙しいの一言に尽きる。

 朝から朝食の準備に掃除、学習で一息入れようと思ったら、俺だけ丁稚の人たちがやっている比較的難しい問題をさせられるようになってきた。

 ただ、計算問題は良いのだが、文字が書けないのが辛い。

 元々計算は高峰の知識を応用してしているだけだし、俺は貧農の出だから文字なんて数字しか知らないという状況だ。

 お陰で、番頭、副番頭からは、「名状しがたい」と複雑な表情で言われてしまった。

 そんな事もあって、計算問題は難しくなるわ、文字の書き取りの量は増える一方なので、学習の時間もあまり休まらない。

 

 そんな日々を過ごして1週間したある日、一人の子供が仲間入りをする事になった。

 なんでも旦那様曰く、「道端に転がっていた」そうだ。

 そんなどっかの野良猫じゃないんだから、と思ったが、この時代そこら中に転がっているので仕方が無い。

 

 その子の特徴は一言で言うと、「赤い」としか表現ができない。

 まず、ボサボサながらも綺麗な紅色をした髪の毛が目を引くが、それ以上に特徴的なのは眼だ。

 まるで鮮血の様な赤色の眼をしていて、とてもこの世の人間とは思えないくらい綺麗だった。

 名前は関勝というらしいのだが、家族の事などは一切話そうとしないらしい。

 

 それにしても旦那様にはビックリである。

 そんなにほいほい孤児を拾っていては、屋敷のキャパを確実に超えてしまうだろう。

 と、そんな事を俺も今日の昼までは考えていました。

 だって、目の前の不思議な光景を見ると明らかにこの子異常なんです。

 

 それは、昼の搬出入の時だった。大人二人でやっと持ち上げられる樽を運んでいたときだった。

 その日は量が多かったので、普段なら4人一組で運ぶところを3人にしたのだ。

 すると、そのうちの一組が荷馬車から降ろそうとした時、態勢を崩して落としてしまったのだ。

 しかも丁度、関勝が居る所に落ちていく。

 

「危な…………い!?」

 

俺が叫ぼうとした時、信じられないことに関勝は片手で落ちてきた荷物を受け取り、何事もなく運んで行ったのだ。

 その場に居た全員が呆気にとられていると、一人の丁稚が呟いた。

 

 「あれは、悪魔の子だ」

 

 「悪魔の子?それはどういう意味なんですか?」

 

俺はその「悪魔の子」の意味が解らなかったので聞き返した。

 すると、丁稚の人が顔を真っ青にして話し始めた。

 なんでも産まれた時から怪力を宿していて、母親も殺してしまいかねないらしい。

 ただまぁ、実際に殺したかどうかは解らないそうなので、迷信の域を出ない話である。

 

 そんな話をしていると、関勝が荷物を置いて戻ってきた。

 

「次の荷物を取ってもらっていいですか?」


関勝がそういうと、今まで普通に接してきていた皆が急に避ける様になってしまった。

そんな様子をみて、関勝もまたかと言わんばかりにため息を吐き、自分で荷馬車から荷物2つ3つ同時に運び出していた。


そんな事があってから、関勝は見習いだけでなく店でも浮く様になってしまった。食事の時は隣を避けられ、掃除や学習でも一人で居る事が多くなってきた。

『このままじゃいけない』

俺と高峰は同時にそう考えた。

高峰は至極平穏な日常を過ごしていたが、小学校の時にいじめを黙認してしまっている。

そのいじめられていた子は、中学に上がるときに引っ越したが、高峰の中にはその時の後悔がずっとのこっていた。

「どうにかしなければ関勝にも同じことをしてしまう」そう考えた俺と高峰は、まず関勝と打ち解けようと努力することになった。


まず、俺ができる事は、関勝と積極的にかかわる事である。

なので、飯時、学習、仕事を問わず一緒に居る様にした。

ただ、基本的に俺が話しかけても無視されていたが。


 そんなある日の事だった。

 いつものように関勝の横に座っていると、「おい」と声をかけてきたのだ。

 

 「なんでいつもいつも俺の横に座って話しかけてくるんだ。正直うっとおしいんだよ」

 

 「お、やっとこっちを見てくれたね。なに、君に興味があるだけだ」

 そういうと、彼は何を言ってるんだこいつはと言わんばかりの表情で聞き返してきた。

 

 「まさかと思うが、男色の気なんじゃないだろうな?俺はその気はないぞ」

 

 「いやいや、男色の気は無いよ。ただ君自身の話を聞いてみたくてね」

 

 「俺自身の話?」

 

 「そう、君自身の話だよ。周りの人から『悪魔の子』だとかなんだとか言われてるじゃない?それが本当かどうか知りたくてね」

 純粋に興味があるだけだと伝えると、「彼は何言ってるんだこのアホは」という顔で俺を見ていた。

 

 「実際に悪魔が居るとは思えないし、かといって君のあの力は特殊だ。だから君自身が何かを知っているのではないかと思ってね」

 

 「関帝病というらしい」と言うと、彼はポツポツ語り出した。

 

なんでも古の神話時代の皇帝関良という皇帝加護を受けた人間に現れる症状だという。

特徴としては、体の一部が赤みを帯びて、赤が鮮やかになればなるほど力が強くなるそうだ。

彼自身もこの商家に引き取られるときに旦那様に教わって初めて知ったのだという。

それまでは、彼も悪魔の子だと信じており、どこにも行き場が無い状態だったのだ。


 そして、彼は俺に少しずつだが、自分の過去を語ってくれた。


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