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劉皇国戦記  作者: リューク
第二部江南地方制圧戦
19/78

攻略の準備

今日から第二部です。


 降伏勧告の拒否を受けた事で、実力行使に出なければならなくなってしまった俺は、事態を打開するための手を打つため商家に戻ってきた。

 

 「お帰りなさいませ、あなた」

 そういって出迎えてくれたのは、玉麗だった。

 

 「変わりはないですか?ここしばらく帰ってこれなくて申し訳なかった」

 

 帝国軍が襲来するまでは余りに忙しかったので家に帰る事も出来ていなかったので、今回の用事と合わせて帰る事にしたのだ。

 ただ、補佐の尹魁からは、


「いい加減ここの責任者だという事を自覚して頂きたい!いつまでも城外に家を構えられていては困ります。ここには奥方に居て頂ける場所もありますので、有効活用する意味も込めて連れてきてください」

と再三言われている。

確かに、いつまでも城外に居を構えているわけにもいかないので、その相談もする為に今回は帰ってきた。


「お仕事はもう落ち着かれたのですか?」

そういって気遣ってくれる玉麗の頭を撫でながら、仕事のついでに帰ってこれたことを伝えた。


「そうですか、ですがせっかくですので、お仕事が終わったらゆっくりとしてくださいね」

そういってにっこりと微笑む玉麗の顔は未だにドキッとしてしまい、直視できない。


「では、早速仕事を終わらせてしまおう、遠隔地交渉担当の3人を呼んでくれないか?」


「わかりました。あなたは部屋でゆっくりお待ちください」

そういうと玉麗が部屋から出て行った。

玉麗の出た後、入れ違いに呉麗が部屋に入ってきた。


「呉麗、ここ最近店の近辺で異変は無いかい?」

俺の質問に首を振ってボソッと「無い」とだけ答えてきた。


「それは重畳、これも呉麗が警護してくれているからだ。助かるよ」

俺がお礼を言うと、呉麗は無言で手のひらを差し出してきた。


「わかっているよ、今日までの護衛費を出しておく。今後もよろしく頼むよ」

そう言って呉麗の手に金貨の入った巾着を渡した。

それを受け取った呉麗は満足そうに懐にしまうと、玉麗の護衛に戻っていった。


「あれで、守銭奴で無かったら助かるんだがな……」

俺が苦笑しながらぼやいていると、玉麗に呼ばれた3人が入ってきた。


「さて、君たちにはとある作戦を手伝ってもらう。この昌に関わる事だから他言無用だよ」

そういって俺は、3人は頷いてから作戦の手順の説明を始めた。


「――――以上が君たちの作戦だ。作戦の開始は明朝から失敗した場合と成功した場合の合図を忘れないように」

そういうと、3人とも無言で頷いて出て行った。


「さて、後は玉麗か……、誰か居るか?玉麗を呼んできてくれ」


それから少し待つと、玉麗が文字通り飛んできた。


「うわぁ!玉麗危ないよ!」

そういって辛うじて受け止めると、玉麗は嬉しそうな表情でこちらを見て、


「受け止めて頂けると信じていましたから」

と平気で言ってのけてきた。


「で、私に用事とはなんですの?」


「ん?あぁ、この家を出て引っ越そうかと思ってな」

そういって俺が話題を切り出すと、玉麗が急に涙目になって抱き着いてきた。


「家を出る?私何か至らない点があったでしょうか?それとも外に女でも作ったのですか?それはいくら何でもあんまりというものです!」


「いや、すまん、そうじゃない、お前と一緒に引っ越すという事だよ。実は補佐の尹魁からな……」

いきなり訳の分からない事を言い出したので面食らってしまったが、自分の言葉足らずな所があった事に気づいて謝りながら訳を話した。

理由が解ると、玉麗は顔を真っ赤にさせながら、伏し目がちに呟いた。


「そ、そうだったのですか、私はまた離縁でもされるのかと思ってしまいました」


「そんな訳ないだろう、こんなに美しい妻を離縁する奴なんて居やしないよ」

俺がそういうと、今度はパッと明るい笑顔になって、もじもじしはじめた。


「そ、そこまで言って頂けると女冥利に尽きるというものですわ」

そこまで言うと、今度は真剣な表情で俺を見てきた。

 

「で、引っ越しでしたね。この店はどうするのですか?」


「店は番頭に任せようかと思うんだ。俺の部屋や君の部屋を片付ければ彼も家族を呼べるだろ?流石にこの店を完全に番頭の物にしてあげるにはまだまだ時間がかかるけど、ゆくゆくは彼に任せようかと考えているんだが、どうだろう?」


「反対はいたしませんわ。現状の彼では発展は難しくとも維持する事は可能でしょう。明日朝にでもその旨伝えましょう」


「そうしてくれると助かる。彼にはこちらの引っ越しがすんだらある程度自由にしていいと伝えてくれ」


「わかりました」

そういって、玉麗は綺麗なお辞儀をすると、こちらを潤んだ瞳で見つめてきた。


「ん?どうしたんだ?」


「いえ、その、今日は泊まっていかれるんですよね?でしたら久しぶりに……」

そこまで言うと、玉麗は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

その様子から何が言いたいのか察した俺は、「一緒に寝ようね」と囁きかけ、寝屋に入っていった。

もちろん、まだ式を挙げてないので一緒に寝るだけである。つらい……。


それから2週間後、全ての準備が整ったので、三城の攻略に向かうことになった。

間者として送り込んだ3人の成否は城に近づいた時解るようになっている。


「では、全軍!これより江南地方の制圧を開始する!出陣!」

こうして俺は、太守になり始めて自分から攻める事になった。




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