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coghweel  作者:
9/13

六夜・純粋悪

続きぃ〜、主人公の能力・・・よくわからないかな〜

〜coghweel〜


今日は早く家を出ることにした、宇白のことが心配だったからだ、宇白の家の場所は紫藤さんの調査資料を覗いておいたので知ってる。


ピーンポーン、住所にあったのは一軒家ではなく、学生用に建てられた寮みたいな所だった。


「は〜い」


中から声がする、良かった、まだ紫藤さん達はここに来ていないようだ。


ガチャ、と扉が開く、まぁ中から出てきたのがね、宇白じゃなくてももう良いじゃないか、君もそう思うだろ?ヤロウの家に訪ねたら知ってる女子が寝巻きで出てきたんだぜ?


「すまん、お邪魔したな」


俺は全速力で逃走を計るが部屋の中に引きずり込まれた。


「ごめん、ちょい俺着替えるから待ってて」


本田である、昨日よりも言葉使いが男っぽくなってる。


それよりもキレイな部屋だ、本田がキレイにしたに違いない。


「宇白は?」


昨日から居ない、と洗面台から返答が来る。


帰ってきてないのか、もしかしたら…。


「本田!」


洗面台に直行、そして両手で本田の両肩を掴み壁におしつける。


「今日は家にいろ、そんな言葉使いじゃ外に出ても恥かくしな」


念には念でここに閉じ込めることにした、俺の予感が正しければここに居て損はないからな、だが本田はこっちを向いていない、人の話を聞かないキャラだとは思わなか…。


俺は手を離し5歩ほど後ろに後退する。


「悪い、喋り方に宇白っぽい親近感を」


本田はコクコクと頷いている。


「じゃ、じゃあ家に居てくれな」


場の空気に耐え切れず、俺は部屋から出て行く。


出て行くときに鍵を開かないようにぶっ壊した、中から本田が叫んでいるのが聞こえるが今日はガマンしてもらおう。


学校へと急ぐ、校門は銃弾と何か円形の物でへこんだ校門、そして地面にクッキリ残る足跡、みるのも悲惨だった。


大体の見当はつく、校門を潜って『ジャングル』の空間に足を踏み入れる。


「鬼山ぁ!何で来た!」


入るや否や紫藤の一喝が俺にとんでくる。


紫藤が宇白と戦っている、紫藤は宇白が振り回すハンマーをかわし、手に持っているマグナムで頭部を打ち抜く。


その場に倒れこむが、何も無かったかのようにゆっくりと起き上がる宇白、ハンマーを日本刀に換えて見事な抜刀術で紫藤を狙う。


「くそ、こいつ何で武器を換えられる」


ぇ?武器って換えられないの?


紫藤はマグナムを軍用のマシンガンに変更して撃ちまくる。


「いや、紫藤さんも変えてるじゃないですか」


戦闘中であろうと空気を読まずにつっこむ俺。


「誰しも同じ武器の種類なら変更できる、だがコイツは武器の種類を変更する」


つまり紫藤さんは『銃』の力、『銃』の形状なんにでもできる、だけど宇白は力そのものを変更するのか。


「ってじゃぁ複数の力があるようなもんじゃないですか!?」


今更かっ、とつっこみながらショットガンをぶっぱなす紫藤さん。


「鬼山君ですか?離れていてください」


紫藤の背後から飛び込むように援護に来たのは葛城だった、その援護はもう援護とは言えなかった、人間業を越えた拳一撃一撃は確実に宇白の骨を砕いている。


「葛城!ハンマーの怪我は?」


「大丈夫です、紫藤さん、援護を」


紫藤の攻撃と共に懐に飛び込む葛城、一撃目で肋骨を粉々にし、二撃目の拳は顎を砕く、そして連撃の最後に渾身の蹴りが入る、普通の人間相手なら十分すぎる殺人だ、だがゾンビにそんな攻撃は通用しない。


渾身の蹴りをだした葛城の右足を掴み返し、切断しようと日本刀を振り下ろす。


「伏せろ!葛城!」


なんかありえないぐらい銃口の長い銃を構えている、三脚を利用しないと衝撃を吸収しきれないその銃を撃つと宇白の体はかなり遠くまで吹き飛びぐったりと倒れた。


「お見事です、紫藤さん」


紫藤に賛美の声をかける葛城の後ろには既に復活した宇白、武器は変更されており、その両方が尖った細い針を葛城さんに投げる。


「葛城!!」


背中に何発か食らった葛城さんが倒れる、俺は宇白と二人の間に入り、その間に紫藤さんが葛城さんに駆け寄る。


「体に力が入りません、あの針には恐らく『憤怒』の能力があります、それに、『7つの大罪』全てを所持している、注意してください」


葛城さんの目が閉じる。


「紫藤さんは葛城さんをお願いします、宇白は俺が食い止めますから」


紫藤さんが葛城さんを担いでくのを見送った後、俺は目を閉じる。


あの夜と同じだ、体全体の電源を落とす。


そしてゆっくりと再起動し、ビー玉を握る。


形を変えたエモノは槍、矛先は三又になっていてポセイドンあたりの槍を連想させる。


宇白はダメージを受けすぎたせいか狂ったように笑う、そして針を高く空に上げ、また違う武器を連想する、出てきた武器は斧と槍が合体したハルバートと言う武器を軽量化したような武器だ。


お互い長いエモノを振り回すように戦う、そしていつの間にか動きが全くの対になってることに気付く。


俺は一歩後ろに下がり槍を振りかぶる、相手も槍を振りかぶり、何の合図もなしに同時に投げる、お互い投槍でない槍をよくもこう簡単に投げられるものだ、ハルバートの斧の部分が三又に上手く引っかかり鉄同士の爆ぜる音と共に二槍は地面に刺さる


槍に向かって同時に走り出す、お互いの槍を全くの別方向に蹴り肉弾戦に移る。


この時も勿論対である、相手の攻撃するところがわかる、それは俺が攻撃する場所だからだ。


また一歩距離をとり、同時にさっき蹴った槍を取りに行く、宇白に三矛、俺の手にはハルバートが握られる。


他人の武器とは思えないぐらいに頭に戦い方が入ってくる。


俺は相手の突きを手のひらにわざと喰らい、三矛をビー玉に戻す、そして間髪入れずにハルバートで攻撃するが宇白が指を鳴らす、とハルバートは宇白の体に当たり砂のように崩れていく。


全くラチが明かない。


だが宇白は倒れる、俺の後方からの強力な攻撃によって。


「全ての『矛盾』は無くなる、俺が無くす」


紫藤さんはマジギレモードである。


「一つ教えといてやる、俺から逃れた『大罪者』は一人もいない」


紫藤さんはもう敵を待ってやらない、今までは弾切れを起こしたら弾を連想してリロードをしたが今回はリロードなし、弾切れを起こした武器を換えまた違う『銃』に変換する、まさに弾幕。


宇白は起き上がらない、起き上がれない。


「待てっ」


圧倒的な紫藤の猛攻もその声によって止まる。


本田 桐栄彼女である。


彼女は倒れている宇白を回収し、空間の出口に走っていく。


「紫藤さん!逃げますよ!?」


「いい、あの女は気流と地脈を操る、今銃ぶっ放したらここら気流を巻き込んで暴発...まぁんな事は関係ない、俺のターゲットはまだここにいる」


紫藤は俺に向かって銃を構える。


「鬼山、お前がホンモンの『大罪者』、だな?」


俺が受け止めたくなかった一言を紫藤の口から放たれた。


「お前が『クリフォト』と戦った事の説明で出てきたのは青龍刀、今使ったのは槍、そしてあいつとの鏡写し、お前は体に二つの力を蓄積させている、『セフィロト』の『使命』、『クリフォト』の『大罪』、先に『使命』の力があったお前に『大罪』の力が加わって、体に負荷がかかりすぎたため『大罪』の力の半分を宇白に移した」


違うか?、と聞いてくる。


俺は黙って臨戦態勢に入る、俺は、おそらく、そうなんだ、宇白と酷似しすぎる力、だからってみすみす捕まってやるほど頭はおかしくない。


体を眠らせ、再起動させて紫藤から目を離さないように逃げる。


銃を構えた紫藤は俺を撃ってこない、本田の気流のせいでまだ無闇に発砲できないのだ、この機会に便乗して走り出す。


出口に向かいながらビー玉を変化させる、出てきたのは白く厚いカバーに覆われた本だった。


意識を再起動させ、『クリフォト』と戦ってる時のあの人格と半分繋がっている状態の俺にはその本の使い方が簡単にわかった。


自分の名前をつぶやき、その本で自分の名前を調べる。


鬼山 龍爾、『断罪者』、能力を全く使ってなかったので能力の詳細はわからない、今は『大罪』との併用により力は半分になってはいるが、能力自体は上級である。


『大罪』をさする。


大罪、七つの大罪の意、人間に憑依する能力、『大罪者』が狙っている、その力は


暴食…真実を創り出す力 記憶を複製し、敵を混乱、洗脳する

憤怒…限界を創り出す力 そのモノの何らかの限界を創る

色欲…障害を創り出す力 何らかの形で障害を与える、しかし殺傷能力は無い

嫉妬…固有を創り出す力 何かに一つの固有を付け加える

傲慢…結束を創り出す力 何かと何かを繋げる力

怠惰…空間を創り出す力 ある一定の範囲に自分の想像する空間を作り出す

強欲…精神を創り出す力 何かに何らかの精神を与える


、と種類は豊富なものの、一人に一つの能力しか憑かないのであまり強い力ではない、だがオマケみたいなものでその大罪の意思が乗り移る、この意思が乗り移ると精神をコントロールされ、自分の限界を勝手に出し切り戦う。


つまり俺の力は『使命』と『大罪』の半端モン、紫藤がいってた通り俺の力が半分宇白に移ってるのだとしたら…。


俺は怠惰の力を解放する、俺の手には先の戦いで使用した槍が握られている。


槍の力を解放すると俺はもう外にいた、コレが俺の力なら…。


俺は開発区に向かった。


「やぁ少年…」


廃ビルの屋上近く、お偉いさんの部屋にヤツはいた。


「上手く躍らせてくれるじゃないか、次の曲はなんだよ?」


俺の嫌味に『クリフォト』はケケケ、と笑う。


「そろそろ幕引きだよ、大罪者、いや断罪者だっけ」


自分が大罪を上乗せしたにもかかわらず、クリフォトはとぼけたように聞いてくる。


「ふざけんのもいい加減に」


掴みかかろうとするとクリフォトは俺の後ろを指差す。


「お客さんだよ、接待よろしく」


クリフォトは消える、背後に立っていたのは肉弾戦を主とした戦いをしていた葛城だった。


「私のカレー、おいしかったですか?」


「お世辞なしでね」


葛城は部屋のドアをオモチャのように取り外しそのまま殴ってきた。


俺は避けない、直でくらっても痛くない、ドアが壊れるだけだ。


「構えなさい、大罪者、それともこのままやられてくださるんですか?」


俺は窓から飛び降りる、かなりの高さがあったが全く苦にならない、もう俺の体はおかしくなってきている。


上から一直線に蹴りを入れてくる葛城を片手で受け止め、ゆっくりと地面におろす。


ビー玉を探したが見当たらなかった、気付けばもう使ったあとのようだ、限界を創り出す力、いや『使命』の力が働き、能力が逆転しているわけだから限界を『    』力か。


葛城の猛攻は止まらなかった容赦なく連撃が入っていくが俺にはなにも感じられない、ただ何かに触られている感触だけだ。


「なんで、私、聖職者なのに」


何度も俺を殴る。


「頑張ってるのに」


上段に蹴りが入るが仰け反りもしない。


「あの人が見てくれてるのに」


俺を殴る手が止まりその場にうずくまる葛城に問う。


「あなたは『断罪者』、だけど武器による能力の発動が出来ない」


図星をつかれたように俺の顔を見つめる、俺は本で敵を調べつくしておいた、必ず生き残れるように。


「『断罪者』によってそれは異端でしかない、だが武器で出せない代わりにあなたはクマをも本気を出さずに一撃で倒せる力を手に入れた、大丈夫、あなたはそれで良い、十分頑張ってる」


能力をビー玉に戻し、ビー玉をまた違う能力に変える。


精神を『    』力が乗り移ったその鈴を鳴らすと葛城はその場に倒れた。


〜another part〜


私は産まれたときにある『使命』を受けた、様々な『原因』を無くす、それが私の『使命』だ。


だが私は武器を連想することができなかった。


本部に預けられ三年、彼らは私を異端だと言って処刑されることとなった、それで良かったのだ、私は神に愛されてなかったのだから。


処刑決行の日、私を今生きている『原因』が現れた。


「その少女、家で預かろう」


本部の中では『使命』の力は絶対、若干12歳で幹部クラスに昇格した少年に私は預けられた。


なんでも彼は世界の『矛盾』を無くすことを『使命』として授かり、仲間であるはずの私が処刑される『矛盾』が許せなかったそうだ。


彼の家では家事を全般的に任された、もともと奴隷のような扱いを本部で受けていた私には楽な仕事だった、ある日。


「何事だ?」


「ご主人が連れてきたあの使用人がまた皿を割ったり、箒を折ったりしたんです」


私の体はついにおかしくなってしまった、あの時処刑されなかったから神様がお怒りになられたんだ。


部屋に閉じこもった。


『原因』を無くす者がもろもろの『原因』を作っていく、こんな『矛盾』をご主人様が許してくださるわけが無い。


もう死んでしまおう。


「笹、手伝ってくれ、遠出する」


ご主人様は相変わらず私を見捨てずにいる、自殺しようと思う前に私を連れて出かける。


ご主人様は私の前だと言葉使いや態度が子供に戻る、それが少し嬉しかった。


「笹、下がれ、『大罪者』だ」


たまたま私からお出かけにお誘いした日に『大罪者』に遭遇した、ご主人様の力は相手に『矛盾』がなければタダの銃でしかない、みるみる傷ついていくご主人様を助けようと敵に飛び掛った。


「とくやった笹、お前の手柄だ」


敵は一撃で倒れ、『大罪』を発動した『原因』として男を本部に持ち帰った。


私の『使命』は生きていた、武器の形にならず私の体の中で膝を抱えていた、その力を抑えきれなくなって私の体は人間の能力を遥かに超えてしまったんだそうだ。


「お前さ、『矛盾』してるよな、武器になるべき力が体に宿ってるなんて」


ご主人様は私が要らなくなってしまった、そう思った。


「お前の『矛盾』もかき消すからな、ついて来い」


『セフィロト』を屈服させて『断罪者』を消す、私達はこの力から開放される道を約束した。


〜main part〜


鈴をビー玉を変換、戻したビー玉を体に埋めるように変化させ限界を『    』力、そして遠くで迎えもこないで俺の能力を観察しているヤロウに向かって葛城を投げる。


その足で開発区の南部に向かって歩く、あいつはまだ人だから、ここにいるはずだ。


「主、人  をか くにん、かいしゅ」


もうまるで壊れた機械だ、俺はビー玉を大きな布に換える、障害を『    』力に。


「あぁ、待たせたな宇白、今更でよかったらそのバイキン返してくれ」


人一人を包み込める布を取り出し宇白にかぶせる、そして数秒待ってから布を剥ぐ。


「半身を再確認、『大罪』の回収を行います」


傷一つ無い体にもどってくれた、俺はその布を青龍刀に換え、宇白と『大罪』の繋がりを切り落とそうとする。


ドスッ、背後から肉が裂ける音がする。


「ハハ、ハハハ!」


宇白は笑っている、その感情はこもった笑いはもう大罪者のコントロールを受けていなかった、そうか、お前は純粋悪だったか。


そのまま倒れる、俺を刺した本田が泣いている、おそらく『結束』を創り出す能力で無理やり精神をつなげられたのだろう。


後、ちょいでハッピーエンドだったんだけどなぁ。


〜another part〜


この軸の分岐はこれ以上にはない…か。


また始めからやり直さなければならない。


この時間の鬼山君はよく頑張ったほうだ。


さよなら、次はもっと上手くやるから。


金色の目が光る

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