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coghweel  作者:
3/13

二夜

続きです、

〜coghweel〜


早朝6時、脳も体もハッキリと目を覚ましはじめた。


昨日買いだめしたカップラーメンにお湯を注ぎ、洗面台で顔を洗う。


前にここに住んでいた人物とは違い、後二日ぐらいならこの家に居座れそうだ…


鏡に映る自分を何秒か睨んだ後ふと思い出す、今かやく入れずにお湯入れなかったか?


しぶしぶ具無しカップラーメンを食べて制服に着替える。


男子の制服は学ランだ、昨日見た女子みたいにブレザーにならよかったのにと呟く。


俺は少し冷える朝をガマンし、他の新入生になめられないように前のボタンを全開にすることにあする…逆に調子に乗ってると思われるかな?


とにかく一番乗りしようとかなり早く家を出た。


真東にある俺の家から東北の学校に行くのに北に向かって突っ切ることができない、学校は町の中央の開発区から伸びる一本道を通らないと着けないようになっているらしい。


らしいってのはそうゆう通知が今日のポストに入っており、けしてその道以外はつかっちゃならないと警告の用紙を見せられたからだ。


住宅区から開発区まで来た、開発区では大きなビルが建てられていたり、その場所にあった民家を取り壊したりとこんな朝から大きな機械が動いている。


「しょーねん」


聞こえた声に周りを見渡すと一人の男がドラム缶に暖をとっている。


俺?と指を顔にあてるジェスチャーをする。


「そそ、君、まだ学校早いだろ?あったまったらどうだい?」


確かにとても早い時間に出てきた、だがその男を見るとどうにも怪しい。


男は20歳ぐらいで歳のわりにヒョロッとした体でその体を隠すように一枚のボロ布を羽織っており、ズボンは一般的に見ればもう捨ててしまうぐらいのボロボロのジーパン、頭は何十年も散髪していないようなボサボサ髪でその隙間から色白の顔が覗いている。


「あ、怪しいよねぇ〜、チミが警戒すんのも頷く頷く」


だが、その透き通った声がどうにも不審者に見えず、暖にあたった。


「暖かいだろ?ここら辺は木材に困らなくてねぇ」


男はケケケと笑い、取り壊された家の木材をドラム缶に入れていく。


「なぁ学生、君は罪ってどんなもんだと思う?」


しばらくうつむいていた男はいきなり俺にこんな質問をぶつけてくる。


「償うもの、背負うもの、罰せられるもの、どれが適任なのかな?」


男の声はどこか遠くに向かって放たれている印象を覚える。


「罪って形を言語に表現しようとしても難しいと思います、とりあえず俺は生きるのが仕事ですから、罪の形も生き続けるって感覚があります」


また男はケケケと笑う。


「そっか、手ぶら君はそんなカンジか」


何故俺はこんな風に自然に答えているのか…歳かな?


少し沈黙が続くと男がボロボロのジーパンのポケットからビー玉を取り出し手渡してきた。


「ゆ〜じょ〜な、ボタン全開君と俺との、そろそろ時間じゃないのかい?」


俺はお礼を言ってその場を離れる、なんであんな不思議なやつと話をして、なんで渡されたビー玉を拒否しなかったかはよくわからない。


振り向けば男の姿はなく、近くの廃ビルからケケケと笑い声が聞こえてくる。


ただ言える事、それは最後の最後まで俺の呼び方を統一しなかった男に俺の名前を教えるのを忘れたことだった。


開発区から学校への一本道はスグに見つかった、その道からは最近作られた新しい道のような感覚を受ける。


その道をしばらく歩くと校門がひっそりと佇んでいた、国立紅咲高等学校こくりつあかさきこうとうがっこう、地図に書いてあった林は校門と学校の間に広がっているもののようだ、小さな林の向こうに学校が見える。


緊張しなくても中学と同じだ、他人とはある程度の距離を置き、人との接触は最低限におさえる、そうすれば特に大きなトラブルにもかかわらずに済むはずだ。


自分に十分言い聞かせて校門をくぐる。


すると目の前にあった並木道は無く、代わりに大木が多く茂るジャングルになっていた。


冷静に分析している自分。


「疲れてる、疲れてる」


目を瞑りながら二回繰り返す。


ゆっくりと目を開く。


ジャングル、ジャングル!!


「夢、夢」


もう一度目を閉じ考える、俺が見えた学校は偽者?そうだ、そうに違いない寝ぼけて学校を見てしまったに違いない。


たぶん地図に書いてあったやさしい林は実はジャングルで、ココを抜ければ学校にたどり着ける、久々に冴えてるなぁ俺。


と、目の前にあるジャングルを一通り正当化して歩き出す。


だが流石に茂りすぎのジャングルは都会っ子の俺にはとてもつらく、30分歩くと疲れきってしまい近くの倒木にこしかけていた。


「もう少し早く家を出ないと明日あたりからは間に合わないな」


明日の時間の予定を携帯にメモしておく、先が見えないジャングルを見ていても仕方ない、そろそろ出発しようと準備をすると前方にあった大木の影から物音と共に人が現れた。


だがちょっと右肩からのパーツがなく、ちょっと目が血走っていて、ちょっと来ている服が軍服っぽくて、ちょっと手に持っている凶器っぽい日本刀が返り血ボタボタなのが気になります。


「紅咲高への行きかたを教えろ」


男はそう言うと疲れ切って刀を持つ力ももうなさそうな左腕を上げる。


男は一定距離をとりながらも凶器の日本刀をこっちに構え、まるでここからでも十分俺の首を取りにいけるんだぞ、と言っている感じだった。


「あぁ、えっとぉ自分、新入生 で」


発言の一言一言が危険を察知して上手く発音できない。


「じゃぁ、タダの置物に等しいな」


男はもう耐え切れないといった感じで地面に日本刀を地面に突き刺す、拳を強く握るとさっきまで凶器をもっていた左手が炎に包まれ赤く燃えていく。


「セフィロトの場所でも知ってたら逃がしてやったのによ」


どこかの喫茶店の名前?いやそんな事いってられない、腕が燃えているのに熱そうにしない所やら目が据わっていて意味不明な単語を放つ所からして非常に怪しい。


逃げよう、だが立ち上がって走ろうにもビビッて足腰が動かない。


さっさと終わらせようと男が駆け寄りながら俺に向かって燃えた左手を振り下ろす。


男の左手を覆う炎はとても熱く、その熱さに反応した体がなんとか初撃を回避してくれた。


そのまま横に転がる


チッ、と男が舌打ちする


今の行動でも十分理解できる、男の左手は俺を喜ばせる手品じゃない、俺と男の間は3メートルはあった、だが男はソレを一歩で詰めてきた、つまり訓練を受けている、最後に、俺が攻撃をかわした時にした舌打ちは一般人の俺に対して手を抜いた事により「エモノ」が逃げた事に対しての苛立ち。


結果、相手はまだ本気じゃない、俺は狩られるしかないタダの豚、以上。


「次は避けるな」


男は顔をしかめ、俺にむかって歩いてくる。


「ちょ、おかしいって、俺なんもしてない」


そんなことは関係ないらしい、男はズカズカと歩みを速めていく。


聞く耳なしですか、俺は近くにあった男が地面に突き刺した日本刀をなんとか持ち上げ相手に向かって構える。


「使えるのか?やめとけ」


歩みを止め、見下すように言う、この男は俺が刀を使えない事を確信している。


俺も剣道ぐらいはやったことはある、だがこの手にあるのは日本刀、剣道と剣術では喧嘩殺法に中国四千年の秘伝格闘技ぐらいの差は出てくるだろう。


だが相手の実力がわかれば俺はそれなりの行動をするだけだ、そうタダのガキと思わせなければ少しは逃げる隙もうまれる。


相手もまだ油断してくれてる、今ならまだ逃げるチャンスを無数に作り出せる。


俺は持っている刀を男に向かって全力で投げる、刀は男の目の前に上手く突き刺さってくれた。


「刀、構えろよ」


とりあえず、あの炎はよくわからない、あの軍服の装備の一つなのかもしれないが俺の知っている範囲じゃない物に対抗するのは利口とは言えない、いくら剣術であろうとも相手は片手 大きな隙を生み出すにはもってこいだ。


「悪いな、せっかくのお誘いだが、さっき右手落としてきちまってね」


こんなもん、と男は刀を茂みに蹴っ飛ばすと先ほどから火力を上げ続けている左手で地面を殴る。


男の左手の炎は地面をつたい、男と俺を囲むように半径10メートルぐらいの炎の囲いを作った。


「紅咲町の力は『物』だからな、武器で戦うのは自殺行為だ、だろ?」


そうはいかねぇぞ、と拳のみに炎を戻して男は構えた。


物の力?武器での戦闘は自殺行為?


この男はここにきて俺に最大のチャンスを与えてくれた。


「武器持ってたほうが、まだマシな死に方だったろうね」


俺の発言に男はたじろぐ、この男は俺にも自分みたいな世界仰天手品ができると思っている、確かにあの炎は俺にとっても脅威かもしれない、だが相手にとって俺の『見えない力』はもっと脅威のハズだ。


物の力、その本性は俺には理解しがたいものかもしれない、だが相手の前でちらつかせるハッタリなら俺にも出来るさ。


相手の爪の甘さによってだんだんといつもの調子が戻ってきた。


相手との目線を逸らさないようにゆっくりポケットの中を漁る。


そして唯一ポケットの中に入っていたコイツを相手に見せ付ける。


「ビー、玉」


男が呟く。


残念ながら今日は手ぶらだ、まぁ財布はあるが小銭やお札を出してもたじろいではくれないだろう。


だがビー玉なら細かい使用方法はわからない、相手は深読みに深読みを重ねて手は出せないはず。


男は拳の炎をまただんだんと高め始める。


「世界中から7人を選び、その一人一人に一つづつ『大罪』を背負わせる」


男は拳をまた強く握り締めた。


「確かに『7つの大罪』は強い、だがその個別の『大罪』は貧弱なことぐらい、お前が良く知っているだろう?『大罪者』」


男の口元が上がる。


「その『ビー玉』は昔は一塊だった『1つの大罪者』、だが神はソレを認めず、分けた…そんな感じのガラス玉に封じ込めた、確かそうだったよな?」


ハッタリを見破ったワケじゃない、だが俺のハッタリは相手が良く知っている力に似ているようだ、そしてソレはとてつもなく弱く、この男だけでも十分ねじ伏せられる力。


「腕はなくしちまったが代わりに良いもんが手に入りそうだ」


声が高ぶり興奮しているのがわかる。


男の左腕は最初の時のように燃えており次に狙う羊を確実に刈り取る体制に入った。


距離をとろうにも背後は炎の壁が弱まることなく燃え続けている。


男がゆっくりと俺に手をかざすと腕まで広がっていた炎が男の手のひらの一点に集中し、野球のボールぐらいの大きさにまとまった。


そして男が左腕に力を込める、その行動に気づいた時にはすでに遅かった、男の手から放たれる炎の玉、その玉は目に追えるスピードを少し超え一瞬で俺の鼻の先に現れ、耐え切れなくなったかのように爆発した。


体中が高熱によってとろけるように消えていくのがわかる、後ろに吹き飛ばされすぐ後ろにあった炎の壁により挟まれるように焼かれていく。


「コンガリ逝っちまえ」


炎が消えたときにはまだ辛うじて意識があった。


男はこっちに近づいて俺の持っているビー玉を手から剥がそうとする。


それを見ている内に、俺の意識は遠ざかっていった。



〜another part〜


ガキは一撃で焼けてしまった、とりあえず能力を出されないうちに倒すことができてよかったと胸をなでおろす。


「くっそ、焼きついてやがる」


少し力を入れすぎたかガキの手はビー玉を握り締めたまま指と手のひらが焼け付いていた。


「まぁ腕ごともってけばいいだろ」


少し疲れた、その場に座り込んでタバコをくわえる、腕を切り落とされたり今日は散々だったがあのビー玉さえ持ち帰ればどうとでもなる。


片手でマッチを取り出し、器用にタバコに火をつける。


人が焼ける臭いが酷い、すぐ隣にあるソレをもう一度確認する。


だがその場に倒れていた焼死体は無くなっており、代わりに無傷のガキが起き上がって焼けた服をまじまじと見ていた、ガキの口が開く。


「主人の気絶を確認、『7つの大罪』オールナンバーを展開」


まだ状況が飲み込めない俺の隣でガキはブツブツと何か言っている。


「近くに敵性反応を確認、削除します」


ガキの目がギョロリと俺を捉える。


タバコをその場に捨てて俺はもてる力で一瞬で5メートルぐらいの距離をガキとの間にとった。


そして敵を睨む、ガキは追ってきていない。


が、ガキはまるで異次元空間をもっているかのようにドコからかトゲ付きの鎖鉄球を取りだし、慣れた手つきで俺に放った。


「敵の戦線離脱を確認、それを攻撃、攻撃は命中、相手の左腕を破壊」


ガキの言ったとおり鉄球は簡単に俺の左肩をもって行った、肩に激痛がはしる。


「武器の回収の際に敵の頭部を誘拐」


その言葉に反応してすぐさま振り返る、そして左手を撥ねた武器を確認すると、既に武器は俺の首を体からちぎり切っていた。


「目標の行動不能を確認、この空間から離脱します」


〜main part〜


目を開くとそこは学校に続く林の途中だった。


「君、大丈夫?」


高校の教師らしき男が駆け寄ってくる。


「俺は…」


「いやなんか動かなかったから大丈夫かな?って」


気づけば俺は林の真ん中に突っ立ている。


「大丈夫です、式はもう終わってしまいました?」


「いや、君が一番乗りだよ、それより保健室にいったほうがよくないかい?」


大丈夫です、と断った後、受付の場所を問う、そうだ、俺は今日は早く出てきたんだ、式に間に合わない筈がない。


「受付は玄関だから、行けばわかるよ」


先生に教えてもらったとおり受付を済まし、今日一日かけて行われた式と講習をボーっと過ごした。


何かを忘れている、俺はなんであんな場所で突っ立ってたんだっけ?その事でどうも身が入らない。


帰宅する途中もそのことが頭から離れない。


「ま、思い出せないし、仕方ないよな」


またいつか思い出すさ、と朝の教訓を生かしてかやくを入れ忘れない事に集中する。


〜another part〜


「ただいま戻りました」


時計塔を登りきった先にある我が家に帰ってきた。


「すいません、バイト長引いちゃって」


今日は紙飛行機は飛んでこない、彼は窓から住居区を見下ろしている。


「何を見ていらっしゃるんですか?」


彼は何も言わずに窓の外を指差した。


「あ、町中真っ赤ですね〜、キレイです〜」


私の言葉に彼はため息をついて話し始める。


「全ての目覚めだ」


彼は不適に笑う。


よく見れば、細かい所は確認できないが赤く光っているのは公園の花壇だったり家の庭だったりする。


「ある一定の周期、またはある条件だ満たされるとこの現象は起きる」


すごいですね〜、と返しながらふと思い、彼に聞いてみる。


「その条件、あなたはご存知なんですか?」


ピキッ、


今のはわかった私は地雷を踏んだようだ。


「昨日の作戦、『7つの大罪』の抹殺は7人同時に殺しても意味が無いとゆう結果だ、本部に伝えて、その使えない頭を回復させるために寝ろ」


御飯は?と聞くと無言で自分の部屋に戻っていってしまった。


嫌味はなかったがその代わりに怒らせてしまったようだ。


反省した後、御飯の支度をして彼の分を彼の部屋の前に置いておき、自分も寝ることにした


次回はやっと違うキャラ出ます...

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