一夜
続きです、こんな駄作を読んでいただきありがとうございます
最終修正終えました
〜cogwheel〜
バスを何回か乗り継いぎ、俺はこの地にやってきた。
バスを降りてすぐの所にあった配布地図を手に取り自分の住居を確認する。
事前に資料として届いていた地図はとても簡単にしあがっており、この町を円形に例え5つに区切りマスコットキャラが解説している仕様だ。
区分内容は以下の通り。
まず北西に今俺がいる都市区。
そして川に囲まれるようにある南西の農業区。
川を挟んだ反対側、南東住宅区。
北東に一つポツリと建っている学校を取り囲むように林の茂った学業区。
最後に都市区から住宅区へ楕円形に伸びる開発区である。
俺の家は真東、住宅区と学業区に挟まれるように林の中に建っているらしい。
適当につかまえたタクシーに乗り込み、運転手に場所を教えると。
「お客さん、この家ってまさか」
と、顔をまじまじと見られた、大体予想はしていた。
物件を選んだのはあの母さんだ、あの人の性格だとスーパーでトマトを買うように同じ値段ならいくらか見比べお得な方を買う精神で物件を選んだに違いない。
「なんか、出るんですか」
おそるおそる聞いてみる。
「いやぁね、私その物件にお客さん連れてくのあなた入れて二回目なんですよ」
運転手さんの話に相槌を打ちながら話の先を聞く。
「前のお客さんね、送り届けた次の日にもう一度乗せた時に『実家に帰るんだ〜』って出て行っちゃったんですよ」
なんだかとっても悲しくなってきた。
「その家、林の中にあるでしょう?昔、大量殺人事件、あったらしいですよ」
運転手さんは笑いながら続けるが、その情報はいらない、いらなかった。
「他にも自殺の場所に使われたりとか、コック●さんに使われた場所だとか」
乗り物酔い体質だが、なんか色々なものに酔ってしまい途中でタクシーを降りて歩いて行くことにした。
歩いて20分、その家についてみるとそんな話の面影も見せない普通の家だった。
開錠して中に入ると詰まれたダンボールと設置された家具が目に入ってくる。
家の中で引越し屋さんが死んでたらどうしよう、なんて想像はスグに解消され、俺はダンボールの目を通す事にした。
まだ使わないもの、今日当たりから使うもの、作業は順調に進んでいく。
終わった頃には日も暮れようとしており、夕飯時の丁度良い時間になっていた。
タクシーで来る途中、住宅区の中に一つだけスーパーをみつけておいたのでそこに足を運ぶこととした。
出発前に幾つか母さんに料理を教えてもらっていたがやはり時間も無い、仕方ないのでカップ麺を幾つか選んでレジにならんだ。
待っている最中に前に並んでいる女が俺が通う学校の制服を着ている事に気がついた。
紺一色のスカートにワイシャツの上に赤いブレザー。
どうりで女子生徒から不評なワケだこれじゃそこらのオッサンも仕留められそうに無い。
「はい、わかってます、すぐ戻りますから」
気づくと女は精算をしながら器用に携帯で通話をしている、携帯からぶら下がっているストラップは十字架に貼り付けられたキリストさん、現代の女子高生ならまず選ばないだろう、信者だろうか。
まぁここまでジックリ見ているのにも事情がある、かなりの美人さんだった。
美人さんは精算が終わると同時に通話を止め、せっせと袋詰めしたかと思うと駆け足で出て行った。
…少し真似してみたが結果は惨敗、買い物の手伝いなどしたことがなかった俺は袋詰めもまともに行えず、挙句袋を破る失態までしてしまった。
無念…
家に帰ればもう日も完全に暮れ、夕飯時も軽く過ぎていた。
カップ麺を腹に詰め込むと出かける前に沸かしておいた風呂に入り、そのまま床についた。
会話のない夕飯、順番待ちのない風呂、どちらも俺の不安を大きく膨らませる
不安が最高潮になる前に寝ようと思う。
〜another part〜
住宅区の端にあるスーパーからずっと駆け足で開発区までやってきた、もう20分ぐらい走っているだろうか。
だが足を止められない、携帯で時間を確認する、電話を切ってから20分は経っている訳だから遅いぐらいだ。、ポケットに携帯をしまおうとするとキリストのストラップが引っかかる、だが気にせず走る。
しかも電話を切る時には『スグ戻る』なんて言っちゃったし、怒ってるだろうなぁ。
その内に開発区の中心に聳え立つ時計台にたどりつく。
「だから住居はもっと普通にしましょうってあれほど」
少し泣き言をもらす。
深呼吸してから時計台を上り始める。
本気を出せばもっと速く走れるが、これ以上のスピードで走れば間違いなく本日お一人様1パック(中略)円タマゴが潰れてしまうだろう。
時計台の頂上に着く頃には45分は過ぎていた。
「ただ、いま、はぁ、もどり、ました」
息も整えずに玄関を開けるとそれと同タイミングで紙飛行機が額に当たった。
『グズ』
紙飛行機には油性マジックででかでかとこう書かれていた。
「これでも結構急いだんですよ〜」
言い訳をしておく。
「努力に見合わない結果でご苦労様」
嫌味第一号である、今日はまだ嫌味を言われてなかったのに。
「んで、飯にすんの?それとも速報聞いとく?」
速報のほうで、と言うとまた紙飛行機が飛んできた。
『俺は腹減ってんだけどね』
嫌味第二号である。
じゃあやはり夕飯を、と言いかけると彼は勝手に速報を告げ始めた。
「本日どっかのだれかが買い物してる頃、『7つの大罪』の同時処刑任務の実行、それに成功した」
『何故ここで待機していなかった』なんて副音声に耳が痛い。
「取り合えず御飯にしませんか?お腹減ってるでしょ?」
苦し紛れに回避行動を入れてみる、と嫌味は終わり彼はただ、そうしよう、とだけ返答した。
「お腹、そんなに減ってました?」
あぁ、とそれだけ言って彼は紙飛行機作りに戻ってしまった。
たまに見せる子供みたいな振る舞いに笑顔を浮かべながら、私は今晩の食材に手をかけた
次からが本編になるかなぁ〜




