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coghweel  作者:
12/13

一夜・幻影 二夜・猫

続き…です

〜cogwheel〜


一日目、夜。


この時軸では今晩が紅咲の日だった、一面の真っ紅な血のような花ばかりだ。


「君も懲りないねぇ〜」


学校の『ジャングル』の空間の中、俺はセフィロトに会った、他の時軸でも見たことがある背もたれの部分が壊されたベンチに座り俺を待っていた。この時間軸の彼の髪の毛は長く、月の光を反射し金色に光っている、目は花たちのように紅く、こちらを見ている。


「実はね、俺と戦うのってコレが初めてじゃないんだよ?」


「いいんじゃねぇ?俺は初めてなんだしさ」


そりゃそうだ、とセフィロトはポケットから禍々しい銃を取り出す。


「クリフォトか」


その銃からはビー玉を渡してきたあの男の力が見えた。


「その通り、『大罪』を捨てて、『使命』のみになった君には猛毒だよ」


セフィロトは引き金を引く、確実に俺を殺す事を命じられた弾丸が眉間に放たれる。


セフィロトも飽きてしまったんだろう、3000回越えの戦いを続けてきたんだ、普通の人間と違い、こいつらは他の時軸との記憶の共有、いや、全くの同位体なのだろう。


だがこれ以上やられてやるつもりは無い、あの面にこれ以上無いくらいの一撃を放ってそれで終わりだ。


跳んで来る銃弾を手に持っていたビー玉で弾く。


今回も終わったとばかり思っていたセフィロトの顔に驚きが見える。


「ビックリした?だよな、この時軸ではクリフォトと接触もしてない、このビー玉を持ってるはずがない」


俺はビー玉をハルバートの槍に換え、空間を創り出す力でジャングルの空間の中にもう一つ、俺の動きやすい空間を創り出す。


「さて始めようか」


俺達は舞う、舞うように戦う、『人』である互いに互いの武器は自分の死の象徴。


武器は銃、それに比べ俺は7種類を基礎とした創り出す力、打ち消す力で14種類、そして俺の『使命』にあいつの『使命』しめて16種類の力で立ち向かう。


あいつの銃、『クリフォト』の力はおそらく『全てを創り出すきっかけ』だ、それを俺は7種類の消し去る力で消し続ける。


物体を作られたらその『固有』を消し、幻覚を作るのなら『障害』として取り除く。


力を相殺し合い戦い続ける。


「糞、糞!糞ぉぉぉぉ」


セフィロトの銃弾をかわし、銃の効果で発生する何かを消す。


「こんな敵と戦うのは初めてだろう?自分が死ぬなんて思いもしなかったろう?」


隙を見逃さず鉄球を取り出し、敵に投げる。


「痛い、痛い、痛い、痛い」


銃を構えながら鉄球が直撃した箇所をおさえる。


「攻撃してこないのか?」


俺はハンマーを日本刀に換えてセフィロトの足を切り落とす。


だがクリフォトを使い『全て創り出すきっかけ』の力を使い、切られた足を再生する。


「消耗戦だな、まぁ消耗すんのはアンタだけだけどな」


セフィロトに向かって笑う。


「ほざけっ」


クリフォトの銃弾が俺の体に当たる。


勝った、とセフィロトの顔に余裕が表れる。


「絶対に揺るがない『正義』、発動条件は己で決められる」


俺は自分の『使命』の名前を唱える。


「通常の能力は『理』を消し去る力、補助で自分の力にるすことができる、そしてこの『使命』の真髄は、『制限』を無くすこと」


他の時間軸の一人は気付いていた、どうしたらこいつに勝てるのか。


銃弾を止めたのは俺の『使命』だ、弾丸に詰まったクリフォトの能力を奪い、その上弾丸である『形状』をつかさどる部分を抜き出し、自分の形を失った弾丸を捨てる。


俺は武器をビー玉に戻し、その理を消し去る、こいつは元は一つだったんだからな。


神が7つに分け、気まぐれに一つに戻ってきたソレは『本当』に戻っていく。


『使命』『大罪』の全ての武器を同時に連想する、オーバーワークのせいか頭が限界にきているのがわかる、俺は『正義』の力でオーバーワークの制限を打ち消す


「お前はこの力を甘んじてみていた、自分が与えたこの能力が自分に帰って来るなんて事は思いもせずに、俺が『大罪』か『正義』の力に飲まれる運命まで創らせて」


様々な『矛盾』に反応して手に持っていたリボルバーが輝き始める、いや、これはあの男の想いかもしれない、セフィロトに『矛盾』なんてありはしない、矛盾がなければタダの銃、だが今回はそれでいい。


「さようなら創造主」


14種の武器をビー玉に封じ込め、ビー玉の形を消し去り、先に取り出した銃弾の『形状』の歯車をビー玉に埋め込みビー玉の形状を変え、セフィロトに向かい、放つ。


「大罪を産み出すもの、断罪を作り出すもの、俺達を殺して世界がちゃんと機能すると思うなよ」


セフィロトは俺の前に屈し、膝をついている。


体の中では創り出す力と消し去る力が互いを消しあい、動ける状況ではないのだろう。


「その役目は俺がもらって行ってやる」


俺はセフィロトとクリフォトからその部分を抜き取り、自分に埋め込む。


クリフォトの笑い声が聞こえた気がした。


セフィロトはそこに力尽き、クリフォトも形状を留めきれなくなり消えていった。


空間を二つ破り、外に出る、まだあたりは真っ紅な花で覆われている、とてもキレイだ。


体の用量がいっぱいいっぱいになってる、もう目を開けてられない。


静かに目を閉じる…。




起きたら朝になっていた、場所は知らない家だ。


「起きたか?」


やけに美人が俺の看病をしていた。


「填島…」


「知ってたの?私のこと」


私って有名なんだな〜、と妙に誇らしげだ。


そうか、この時軸には呪いを受けた填島は居ないはずだ。


「いや、看病ありがと、俺行かなきゃ」


立ち上がる俺を見て填島は学校に行く準備をする。


「じゃあ行こうか」


いや俺が行くのは学校じゃなくてね。


説明しようとすると填島は俺の手を引っ張って学校にずんずん進んでいく。


「あんた拾った時にさ、なんか見たことあるような気がしてさ、よく見たら家の猫にそっくりだったんだ」


唐突に話し始める。


「その猫どっかに行っちゃってさ...今ちょい寂しいからあんたがその代わり、いいでしょ?」


填島は普通の女の子だった、コレが本当の姿なんだ、呪いもしらない姿。


填島と一緒に登校しているととても楽しかった、ジャングルの空間に入って敵が襲い掛かってきても填島の火力で吹き飛ばしたり、学校側の説明を全く聞かなかったり。


「鬼山!楽しいな」


「あぁ、楽しい」


声が楽しそうじゃないと怒られる、理不尽で考えなし、前の彼女とは大違いだ。


だが俺はこの時軸にとどまれない、それが呪いだから。


帰り道の途中、俺はクリフォトの力を使う、『全てを作り出すきっかけ』、俺は彼女の思いの中にある猫を創り出す。


「填島」


ほいっと猫を填島に渡す。


「この猫…どうし 」


俺のこの時軸の滞在は終わった、最後まで聞かせてくれてもいいものを。


俺の心に『使命』、いや『大罪』が浮き上がる。


クリフォト、セフィロト、時軸歩行者との融合体とし。


『人』もいない、『物』も無い、存在しない『世界』見つけ出す、コレが俺の呪いになった。


もう戻れない、俺は『存在』しない世界を見つけに放浪する。


〜another part〜


鬼山は消えてしまった、探しても誰もしらない、存在しない。


私は猫を撫でる。


「お前が鬼山だったのか?」


猫はぐっすり寝ている。


アイツが寝たらこんな顔してんだろうな。


私もそろそろ寝よう

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