二夜・紅咲 三夜・死
アレ?一日目は買い物に行っただけだったか?
もう…ダメ
〜coghweel〜
「俺がそんな仰天話を信じると思うか?」
そいつは笑って当然のように答えた。
「信じる、貴方は信じる、だって他の時間軸のあなたは信じたもの」
こいつの奇天烈話は何故か本当のような気がした…。
今日の朝はいつもより早く家を出て、変な男に会ってビー玉をもらって、この林の空間に迷い込んだ。
そこで片腕の男と遭遇、俺はランダムに七変化する武器を上手く使いこなし敵を倒した。
そしたら林の奥からこの女が出てきた、同じ学校の生徒でサディストちっくな外国人みたいなやつだ、名前を 填島 梢と言うらしい。
彼女から聞いた、能力のこと、その中に区分される『断罪者』『大罪者』のことそしてそれらを破壊する方法。
「信用するための確証をくれ」
彼女は笑う。
「信用してくれれば後5日は確実に生かしてあげる」
俺は彼女の話を聴くことにした。
「まずあなたの能力の事ね、今の状態じゃまず生き残れない、あなたに備わってる力は二つ『使命』『大罪』どちらかを捨ててもらう、今晩にその説明するわ」
填島の説明はその状況ギリギリにならないとわからない。
「それであなたの違う時間軸の話、あなたは『大罪』の力を半分にして『使命』の力で補う方法を使っている、『大罪』のほうの説明をしましょうか
『暴食』、真実を創り出す能力
『憤怒』、限界を創り出す能力
『色欲』、障害を創り出す能力
『嫉妬』、固有を創り出す能力
『傲慢』、結束を創り出す能力
『怠惰』、空間を創り出す能力
『強欲』、精神を創り出す能力
こんなにあるけど、さっきの戦闘は全ての力を使ってくれたからわかったはず」
7つとも確かめ使用したのでなんとなくどれがどれだかわかる、だがなにかがおかしい。
「そして違う時間軸のあなたは『使命』の力で創り出す能力を『消し去る』力に無理やり変えて戦闘を行った、例えば『憤怒』限界を創り出す能力を『使命』で限界を『消し去る』力にして体に埋め込み、名前どおり限界を失って人間を超越した動きができるわけ」
なるほど、違和感はそれか、俺の力は今打ち消す力に完璧に変わってるってわけだ。
「つまりそんな中途半端じゃ勝てないから『使命』を捨てて『大罪』のみにするんだな」
填島は首を横に振る。
「『使命』の能力は『大罪』の能力の改変が本当の力じゃないの、その本当の能力がどのくらいの物か確認するから、今日の夜に家で待ってて」
試しに一つやらされた、『大罪』を半分、『使命』を半分、『怠惰』の発動、空間を消し去る能力を発動、三又の槍を地面に突き刺す。
『ジャングル』の空間を消し去り『林』に戻る、道の途中にいきなりワープしてきた先生が驚いて心配してくる、違う時間軸の俺も驚かれたのだろうか…。
そして夜になった、填島は夕方から家に居座っていたのでスグ行動に移る。
公園のベンチに座って20分。
「なぁ」
耐え切れなり話しかける。
「もう少しよ、どの時間軸も同じなのね、ガマン強さがなさすぎ」
あの時ももう少しガマンできたんじゃないの?なんてぼやいている。
その会話が終わるとやけに周りが明るい、よく見ると花壇の花などが紅色に染まっている。
「この町の花は全て地脈によって紅く染まる、その特殊な地脈によって新入生は能力に目覚める、そしてクリフォトとセフィロトが降臨した合図よ」
「なるほど、この現象から紅咲町」
そう、とどこかに向けてずんずんと進んでいく填島を追いかける。
「ドコ行くんだ?」
「そのお荷物ビー玉を置きに行くの」
このマンションと案内された部屋で寝ている男の前まで侵入してきた。
「ビー玉貸して」
ほいっと渡すと少年の額の中にビー玉を埋め込む填島。
「コイツ、中身純粋悪だから、あなた以上に『大罪者』に適合してるの」
そういいながらゆっくりとビー玉を埋め込んでいく。
「終わったわ、かえりましょう、今日泊まってくけど襲わないでね」
すごい剣幕で睨んでくる填島。
「信用無いな」
「文句なら違う時間軸のあなたに言うのね、まあ、襲ってきて真っ黒コゲになってるから話は出来ないと思うけど」
今日はおとなしくしていよう。
次の日、今日は学校に行くわよ、と当たり前のことを指示してさっさと出て行く填島。
そして昨日額にビー玉を埋め込んだ男と同じタイミングで門をまたぎ、『ジャングル』での戦闘を見守る。
「ここで彼がやられると適合者としてあなたに『大罪』が戻ってきてしまう、変わりに戦闘を行う、いい?」
填島の言ってた通り、宇白ってやつはオーバーワーク、やけに男っぽい言葉使いの本田ってやつは混乱してしまい戦闘にならず俺達が戦うことになった。
「助けてくれてありがとな」
本田は自分の情けなさに照れながら礼を言ってくる。
ちなみに口調が男っぽくなっているのは別時軸でも起きており、俺が宇白ってやつに『大罪』を送ったことにより追い出された宇白の人格が本田に乗り移るため、だそうだ。
敵を目の前をなぎ払いながら填島が自信たっぷりで言う。
「自分の中の武器を呼び出して、『大罪』がないから簡単に自分の力が出てくるはず」
ビー玉がないおかげか、自分の中の『使命』を呼び出すのに時間はかからなかった。
出てきたのはボロボロになった包帯だった、俺はその使い方がわかるかのように両手に巻きつける。
そして襲い掛かってきた男の攻撃を楽に避けて顔面を殴りつける、すると男の姿は透き通るように消えていった。
他の人間を良く見る、見えてはいない、だが俺の脳がそう意識しているのだろう、人間の『生』『能力』などをつかさどる部分が見える。
その中で『能力』の部分を意識して殴るとそれが消え、その人間も消えていった。
「能力の部分を消したことによってさっきの軍人がココにいる理由を消したわけか、能力なんてなければこんな所に侵入する意味なんてないし、さしずめ『理』を消し去る力かしら?」
違う時間軸で俺の力を知っていたハズ填島が笑う。
森を越え、宇白と本田を先生に預けた後、俺達は開発区に向かった。
「ここであいつに?」
「ええ、戦闘は私向きじゃないから、あなたに任せるから」
廃ビルの中に隠れるように入っていく填島を見送った後、俺は開発区の奥に進んだ。
人影が一つ、背もたれがなくなったベンチに座っている。
「ボクで残念かな?鬼山君」
いたのはあの男じゃなかった、きちんとした身なり、新しいジーパン、きれいに整った金髪、紅く光った目、クリフォトと正反対の格好をしているコイツが誰かはすぐにわかった。
「セフィロト」
男は正解だ、と笑う。
「あの女にだまされたね、この時間軸はアイツじゃなくて俺が降臨してるんだよ」
俺は構える。
「おっと、やる気かい?やめなよ、その『使命』は誰が授けたのか知ってるだろ?」
一発目で消し去るために全力で殴るが相手に当たらない、体を通り抜けてしまった。
男は腰のホルダーから何かを出す。
「『人間』としてのコイツは雑魚だったろう?でも『物』であるコイツは今の君にとってどれだけ脅威なのかな?」
男がそれを使うと俺の意識は電気機器のコンセントを抜くように切れた。
〜another part〜
壁を殴る。
「こんな、こんな時間軸、卑怯よ」
死んだ彼に謝る。
ここにいるワケにはいかない。
私は次の時間軸に移動する
こんなものを呼んでいただいて恐縮です
そろそろ終盤、もう終わりますね




