脱獄!?
「これ、見張りのもんよ、鍵開けい。」
サンタクロースさん改めグレンリードさんが声を掛けると兵隊さんが困り顔でやってくる。
「いや…、ですが、しかし…。」
それは困りますよね。ここに私を入れたのは王様ですし、王様って言ったら国のNo.1な訳ですし…。
「何をぶつくさ言っておるんじゃ。この娘はわしの客人じゃ。それをこのような湿気った場所に閉じ込めおって。」
「で、ですが…」
「ええい!面倒な!!開けぬならか勝手に開けるぞ!」
グレンリードさんがそう言って何かを呟くと、ガッチャン、とありきたりな音がした。
「ほれ、ハナコ殿、行きますぞ。」
何でもないように牢の扉を開けて、グレンリードさんが私の手を引いて歩き出す。
いや~、グレンリードさんって意外に短気…て!そうじゃなくて、鍵の意味なくない!?見張りの兵隊さんの意味は!?私のこの悲惨な1週間の意味はぁぁぁ!?
という、私の心の叫びを余所に、あれよあれよという間に馬車に乗せられ、ある意味屍になりかけながらしばらく揺られていると、ある一件のお屋敷の前で馬車が止まりました。
馬車って結構揺れるんですね…。
なんて然り気無く現実逃避てみました。
…まさにベルバラ。実際には見たことも聞いたこともありませんが、お貴族様然の二階建ての白を貴重とした素敵なお屋敷。グレンリードさん、貴方は一体何者ですか!ああ!!!魔術師さんでした!そうでしたぁぁぁぁ!てか、なんか門みたいなの通ったのは気付いたんですけどね!そこ、もしかしてこのお屋敷の門ですか!?5分以上はそこから馬車にゆられましたけど!
「ほれほれ、降りるぞい。」
グレンリードさんの掛け声に、私はひどい顔をしていたのでしょう。
「降りてまずは身仕度整えるんじゃよ。それから腹ごしらえじゃ。そうしたらおまえさんの聞きたいことを聞いてくれて構わんし、わしからも聞きたいことがあるしの。」
と、言ってくれました。
今すぐ詰め寄りたい気持ちは確かにあったけれど、ここ1週間の出来事のこともあって素直にお言葉に甘えさせて頂きました。