王太后 (王様side)
高機能執筆フォームとやらを使い書いたら、消えてしまった話しです。
今日中にUPできて良かったです!
ハナコはあの後直ぐに倒れた。
あの爆破事件から丸一日経つが、まだ目を覚まさない。医者にはみせたが、特に外傷もなく、煙をやや多く吸ったようだが、心配するほどでもなく、寝ているだけのようだ。おそらく、魔力を極限まで使ったのだろう。
「ハナコ…。」
名を呼び髪をすく。
そうしていると、ハナコの寝ている俺の部屋のノックがなり、グレースが入ってくる。
「王…少しややこしいことになりました。」
嫌な予感がした。
謁見の間。グレンリードがハナコを連れて、俺と会ったあの場所に大臣共、有力貴族、元老院らが勢揃いしている。
「何事だ。お主らが余に議会以外で会いたいとは珍しいな。」
威圧感たっぷりに言ってやる。目の前の者達の顔が青冷めるのがわかる。
やっとの思い、という様子で大臣の一人が口を開く。確か財務大臣だったか。
「はっ。お、王におかれましては…」
「挨拶はよい。要件を。」
大臣の顔は更に血の気を失うが、果敢にも言葉を続ける。
「は、はっ!つきましては、王が保護している渡り人の娘を引き渡していただきと…」
「なんだと?」
大臣が言い終わる前に、自分でも驚くほどの低い声と、抑えられない殺気が溢れだすのを感じる。
「ハナ…あの者が何をしたと?」
大臣は今にも倒れそうだ。この俺を前にして、それでも意見しようとする。この様な件でなければ誉めてやるべき行動だ。
「そ、その渡り人は、昨日の厨房での、爆破事件の、よ、容疑者でございます!」
「容疑者、だと?」
怒りで我を忘れるか?否、身体中の血という血がサーと音をたてるように引いていく。思考も身体も、何もかもが冷えわたる。
「何を言っておる。あの者は死にかけていた厨房の者8人をも助けたのだぞ?それが何故容疑者なのだ。」
「し、しかし!自作自演では!?」
次は法務大臣か…。本当に、このやる気を普段の政務にも出したらよかろうが。
「何を根拠に、お主らはそう言う。」
怒りも、通り過ぎると殊更冷静になるものなのだな、とつくづく思う。
「ほ、他におりませぬではないですか!?」
「…何が、だ?」
そう思った直後に、ここに来て、初めて動揺する。無論、悟らせはせぬが。
「こ、この我が国には、王であるあなた様と、グレンリード殿とそのご子息、そして、更にご子息のご子息しか、その方々以外に魔術を使える者と言えば、あ、あの渡り人の娘しかおりませぬ!!」
勢い付いたのか、他の貴族連中も続く。
「あの爆破は、魔術が関係していたと聞き及びました!」
「そうです!渡り人風情が、王の気を引くために行ったじさ…」
実際はそのような音はせぬが、この謁見の間に、ピシィッ、と張り詰めた俺の殺気が放たれる。
限界だ。控えていたグレンリードとグレースがピクリ、と反応する。どうしてくれよう、そう思った時、
「あの娘は犯人ではなかろうぞ。」
あまり聞きたくない声が聞こえた。
「お、王太后様!」
目の前の奴らがすがるように、口々に言う。
「これは、継母。何用で?」
やはり、こいつが何か企んでいたか?だが、だったら何故庇う。
王太后が俺の前に立つ。
「何用も何もないぞえ、王よ。わらわはわらわに仕える者の命を救うてくれた娘の無実を晴らしに来たのだ。」
何を考えている!いや…何をした。
俺の中で今回の爆破事件は目の前のこいつが一枚も二枚も噛んでいるに違いないと、確信が生まれる。
「命を救った、とは?」
王太后はなんとも言えない笑みを浮かべ、話し始める。
「先頃、わらわは物騒な噂を耳にしてなぁ。なんでも魔力を有した怪しい輩がこの王宮に侵入しているとか。」
そんなもの、本当だったなら俺も、グレンリードもグレースも、気付かぬ訳があるまい!
「それはそれは。そのような事があるのでしたらこちらに言ってくださればよろしかったものを。」
それが信憑性のある事柄なら、何故、報告せぬ、と含ませて言う。
「王は何かと忙しいと思うてのぉ。普段、政治やら何やらに一切関わらぬわらわで出来ることはしようと思うての。」
あちらも、普段一切の権限を与えられていない、と言うようなことを言ってくる。白々しい。ただ、権力欲に溺れ、それを弱き者達に振りかざすことしかせぬやつらに、権限など与えた日には、国の混乱は必須だ。
「それは、お気遣い痛み入ります。それで?何かわかったことは。」
自分で言っていてヘドが出そうだ。しかしあくまでも冷静に返す。
「ふむ。それでな、色々と調べたのだが、最近厨房では、夜の内に何やら物色した後があったらしいの。」
「ほう、それはどういう?」
「なに、大したことではなく、物の場所が多少違っているとかその様な類いであったそうだがな。王よ、あの爆破は空間魔法と炎の攻撃魔法の細工がしてある箱が爆発したと聞いたが?」
その通りだ。あの爆破はなんの変鉄もない箱に、空間魔法と炎の攻撃魔法を細工して、他の者の魔力に反応して爆破するよう作られたものだった。
俺やグレンリード、グレースは厨房に近付くことなどまずない。はなから疑ってなどおらぬが、その事も相まってハナコを狙ったものであると判断した。ハナコは加害者どころか被害者だ!
その様なこと、とうに分かっている!本当に何が…
「だが、それだとこやつらの言う自作自演と言うことも、捨てきれぬとは思わぬかえ?王よ。」
「何が言いたい。」
思わず今まで繕ってきたものが剥がれる。
「ほほほ。これはこれは、王は渡り人の娘にずいぶんご執心と見える。これは世継ぎは安泰じゃなぁ。」
俺は王太后を睨みつける。こいつは本当に何がしたいんだ!!
「そう怖い顔をせずとも、王の愛しき娘の疑いはこの継母が晴らしてやろうぞ。」
王太后の口が弧を描く。何かを企んでる人間の浅ましい仮面だ。
「調べたと、申したであろう?部下を厨房の下働きに潜り込ませておってな。その者が見たと。一見なんの変鉄もない箱を持ってきた同じ下働きの者がおったと。その者はその箱は王が愛用している茶葉であるから、開けてはならぬと。」
「な、に…?」
「なに、そのわらわが潜り込ませた者が幸いにして渡り人の娘に命を救われてな。」
「その!箱を持ってきたやつは何処だ!!」
思わず叫んでいた。




