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母の教え

小さい頃、私はチビ助で、良く近所のケンちゃんにからかわれて泣きながら家に逃げ込んでいたのです。


そんな私にマミーは、優しく慰めてくれる、訳ではなく、


「そんなに泣くほど悔しいなら、やり返してきなさいよぉ。花ちゃん、人は日々誰かを赦して、時には選択するという妥協案用いて人生歩んで行くものだとマミーは思うの。でもね、でも、それでも人間どうしても譲れない、許しがたいことがあったら、これからそんな場面に出くわすわ、きっと。その時はなね、戦いなさい、とことん。負けてもいいから、それでも戦うのよ。分かったぁ?ほらほらぁ、早くケンちゃんの所にリベンジよぉ。」


と、家から放り出されたものです。


お陰で私はいつの日かケンちゃんに、姉御と呼ばれるまでになりましたよ。


え?たかがチビとからかわれたくらいで、ですと!?ああ!分かりませんよね!学校で整列する時の、皆が両手を前方に真っ直ぐに伸ばすのに、私は毎年、いつまでたっても両手を腰に、の前ならえで

極めつけは、中学生になるまで遊園地の絶叫マシーンは身長制限で乗ることが出来ず、一緒に行った友達にはいたく気を使わせてしまいましたよ!!この屈辱、チビ助にしかわかりますまい!!!


だーかーら!私にとってチビと言われることは赦せない事なんです!そして同じくらい、こうまで理不尽なことは許せないのです!!






剣の切っ先のように、この謁見の間の空気が凍る。空気が肌に痛いなんて、初めてです。


これが、殺気、というものでしょうか?


「切りますか?痛い所をつかれたから。図星、だったから。」


「なんだど…っ!」


ああ、すごい、リアル青筋初めて見ました。


「どうぞ?煩い口に戸を立てて下さい?」


言った瞬間、男の殺気がぶわっと膨らむ。

その瞬間、私の中で何かが弾けたような感覚が身体全身を駆け巡る!


バチン!!!


「「な、に!?」」


不本意にも男と声が被る。


何が起こったのか分からず呆然としていると、あの笑い声が聞こえてきた。


「ホッホッホッ。やれやれ。王の殺気と、ハナコ殿の気がぶつかり合って相殺されたようじゃな。いやはや、ハナコ殿の防御魔法はわしの予想を遥かに超える者じゃな。これで治癒魔法にも長けたいるんじゃから、規格外もいいとこじゃ。」


今まで静観していた何だか偉そうな人達、今存在に気が付きました、がざわざわとざわめきたつ。結構沢山いらしたんですね。


そんな、何とも言えない雰囲気の中で何時もの穏やかな声が響く。


「王よ、ハナコ殿はわしの最愛の妻であり、そなたの良き理解者であったユキコと同郷なんじゃよ。」


「な、に…。ユキコと同郷、だと…?」


「ああ、そうじゃ。のう、ハナコ殿。」


「へ!?あ、はい。私も日本から渡ってきてしまいましたから。」


男の、王と呼ばれる男の雰囲気が変わった。


何ででしょう?まあ、あの駄々漏れの殺気がなくなったのは、正直ホッとしました。


「言われて見れば、同じ髪の色だな…。目も…、ユキコはもう少し茶色かったが似ている。そうか、おまえの故郷もニホンか…。」


先ほどまで、目で人が殺せるんじゃないかという形相をしていた王様は、今は、何だか、懐かしいものでも見るような眼差しで私を見下ろしてきます。


「………。」


「えっと、あの…、お、王様?」


「…ハナコ、と申すのか?」


「あ、は、はい!」


あまりの王様の豹変ぶりに、とりあえず元気に返事をしてみる。


「…余は、ダニエル.ウラン.レイニールだ。…色々と、すまなかった。」


……………初めて知りました。驚き過ぎると声が出ないんですね。


ユキコさん、あなた何者ですか!?

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