王様。
「まあ、無理をせんでも良いぞい。」
あれ?拒否権ありですか??
「いつかは合わなきゃならんじゃろうが、まあ、まだ無理せんでも良いのじゃよ。」
やっぱり無しですか…。
出来ることならあの王様には会いたくありません。容姿端麗なそのお姿以外に良い思い出が全くもってありませんから。
ですが、あの方は曲がりなりにも、というか、なんと神様の末裔である王様なわけで、私は渡り人であって、この国に保護されなけらばいけなくて…。
だったら…
「あの、その使いの方はなんと?」
「ホッホッホッ。何やら随分焦っておってな。ほれ。」
と、何やら豪奢な封筒を寄越される。手紙、ですね。だけど…
「あの、すみません。不思議なことに言葉に不自由はないのですが、字は…読めないようです…。
ミミズが這っているような、というのはこういう字体に使うのですね、きっと。
「ホッホッホッ。そうじゃ、そうじゃ、ユキコもそうじゃったよ。すまんすまん。」
と何だか嬉しそうにグレンリードさんはおっしゃる。本当に愛妻家だったのですね。
どれどれ、とグレンリードさんが手紙を広げる。
「“至急、連れて来い”じゃと。」
…やっぱり拒否権ないじゃないですか。
あの後、アイリーンさん達三人に、あれよあれよという間に、着れない、無理、と思っていたドレスを着せられ、髪はせっかくキレイだからと念入りにすいてもらい、後ろに流し、背中の辺りで真珠の髪飾りでとめてくれました。
そして、今現在、王宮内の大きな豪奢な扉の前におります。
…だ、ダメ。緊張とコルセットで胃が口から出そう。素敵な薄い桃色のドレス。スカート部分には嫌味じゃない程度にフリルとレースが施されていて私にはもったいない代物です。…汚してしまったらごめんなさい。
そんな青白い顔をしているだろう私に、もうすっかり馴染んだ優しい笑い声。
「ホッホッホッ。大丈夫じゃよ。腕と足の一本か二本はなんとかなるよて。」
…ああ、逃げ出したい。
「では、行こうかの。」
地獄への扉が開かれました。
そのままグレンリードさんと一緒に前に進み先ほど教わったように、両膝を着き、頭を垂れて王様を待つ。
すると暫くして、カツ、カツ、と靴の音が聞こえ、それがちょうど正面で止まる。
「なんだ、その魔力は!余はそのような者知らん!!」
なんですと?




