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前世の学歴と資格の生かし方(小学校編)

学習計画を両親と話し合い中。


「蒼真、実は先日渡した私立中学のことだが。今後の学習について話をしておこうと思う」

「はい」

父(先輩)は、計画を書きこんだB4サイズの紙を広げた。

いろいろ両親が考えたのか、かなり念入りの計画表だ。

いつまでに何を取得した方がいいとか

塾はいつからとか。

今月から週1回の英会話を始め、6年までに英検3級を目指すことになった。

護身ということで、先日話があった合気道も毎週金曜日に申し込みを既に済ませたという話だ。


「頑張ります」

(昔とった杵柄。海外留学で料理大学に通っていたから、英会話はなんとかなるかな。

文法が怪しくなってきているから、基本が習えるのは嬉しいな。

合気道か。体を鍛えられるのは、いいな。昔、体が弱くて小学生から空手習っていたけど

合気道で生かせるかな)

「もしも苦しいとか辛い状況なら、いつでも計画は変更しようと思う。

お前は人間だから。実際出来ることと出来ないことがある。まだ将来は長い。

子供なんだから失敗あっても当然。いつでも修正は可能だからな。必ず相談して欲しい。

蒼真は、俺の自慢の息子だからな。それだけは頭に入れておけよ」

蒼真はよそ事を考えつつ、父の提案と励ましの言葉に頷いた。



小学校では、相変わらずな女子の付き纏いで困っている。肝心の担任は無責任にも

まだ小1ということで「皆で仲良くしましょうね」と言ってくれるので解決にはならなかった。


それだけに小学校とは違う英会話教室は、オアシスだった。

そこは個人教室で、基本イギリス人と日本人の夫婦が経営していて、

数人の海外から留学している者が

代わる代わる小学生に教えるという形をとっている。

英検、TOEICまで受験させてくれるというので、実は期待していいのかは迷っている。

なにしろ、英語については全く出来ない小学生が、英会話と文法をそこまで出来るのか疑問なのだ。

この個人教室、お遊戯のような感じなので、蒼真としては期待外れ感覚でいた。

母親は、海外の人間が教えるということで決めたようなので、リサーチ不足。

今度、学習教室とか習い事を決める時は、一言言いたいと思っている。


今回始めたばかりなので、先生の実力を推し量っているところ。


ただ、何度も言うがオアシス。迷惑を掛ける女子達がいなくて、穏やかで平和なのだ。

参加している女子も男子も、楽しんでいるし、迷惑を酷く掛ける者は・・1人だけいるが

基本はまあ良好な関係。

イギリス人のリチャード講師が、小学生を相手に楽しくさせようと頑張っている姿を見ると

応援したくなるのだ。

そうなのだ。この彼の必死さが心を擽られる。

だから、直ぐに辞めようと思わない考えに至ってしまう。

本来、結果が出る教室なら、問題はないのだが。学習内容が今ひとつで。

(海外留学する前に半年日本で英会話教室へ行ったけど、物凄く良い先生にあたり、日常会話くらいの成果が

あったからこそ、リチャード先生に教えたいくらい。でも、あの時は生徒は皆社会人だったからなのかな)


ところで、やはり問題児は存在した。

「俺、出来た。出来た~」

煩いよ。皆やってるだろう?

「俺はこれがいい。これに決定~」

今、先生が言ったこと聞いてるか?それは次回だ。

この自己中の男を退室させてくれ。

我儘わがまま男子の慶介けいすけ小2が調子者でふざけ過ぎる。

これは、たまにイラっとくる。

蒼真は「月謝払っているのに、授業をつぶすな。自分の言動をよく考えろ」と

かなりきつい注意をしている。

(小1かと思うような言い方だと後から後悔)

「ふん。1年の癖に」

と、彼はふてくされる。

1時間半の学習が終わると、外の待合室で待っていた親たちが子供達を引き取り、帰っていく。

どこにでもある風景。

だが、蒼真はこの生ぬるい感覚にイライラして、授業があまりにもレベルが低くて消化不良していた。

本当は日常会話くらいは、平気なのだが、出来るところを見せておかしい雰囲気になるかもしれないので

なんとか抑えている状況なのだ。



今日も慶介のアホな行動で、授業がたびたび止まることがあったが、なんとか終わった。

先生も大変だな。日本人じゃないからこそ、きつい生徒だよな。

蒼真は、思わずリチャード先生に向かって、労いの言葉を掛けてしまった。

『先生、お疲れ。小学生相手に大変だけど、期待してるよ』

つい英語で話すと、リチャード先生は驚いて英語で返してきた。

『え?蒼真君。君、英会話出来るのかい』

『まあ、日常会話くらいは。基本や文法が少しあやふやなところがあるから、完璧ではないけど』

『それは、凄い』

『リチャード先生、この地域の名物とか名所、紹介するよ』

『それは有難い。教えてくれないか』

つい帰り際に、励ますつもりで英語で話しかけたことで、疲れていたリチャードに元気が出てきて

長話になってしまった。


待合室と教室の扉前だったので、帰ろうとしていた一部の親子達が蒼真と外人リチャード先生との会話に

驚いていたことは気付かなかった。

ようやく気が付いたのは、母親が

「蒼真。いつの間にそんな流暢に英語話せたの?」

と、背後に近づいて肩をトントンと叩かれたからだった。

「え?あ、その・・」

と、慌てる蒼真に、リチャードは

「ははは。蒼真は、英語話せたこと、先生にも皆にもオカアサンにも秘密にしていたのか。

どんどん話して欲しいよ」

『え・・その。たまに使うようにする』

「お~、もったいないね」


うっかり長話したおかげで、その後の学習時間にリチャードはわざと英会話を話すようにしてくる為

他の生徒達から浮いてしまう結果になってしまった。

それは、自分の学習になるので良いのだけど。

女子からは、やたらモテるようになり、慶介からは嫌みを言われる日々だ。

「蒼真君、英語教えて」

「宿題のここが分からないの。教えて」

やたら迫る、くっついてくるような女の子達でないので、まだ気軽に話が出来て、蒼真は満足している。


「ちょっと、出来ると思って調子に乗るなよ」

慶介は、2年なので、1年で会話が出来る蒼真に腹を立てていて、大抵蒼真に対し嫌みや同じ捨て台詞を言ってくる

ようになり、面倒くさいなと思っている。


もちろん母親にリチャードと会話をしていたところを見られているので、父にも話はその日の夕食に

母の今日の出来事の1つとして話題にあがった。

「へえ、いつの間にそこまで学習したんだ。数か月で、話せるようになるとは、凄い教室なんだな」


ごくん。

夕食のおかずの1つを飲みこむと、蒼真は苦笑い。

(いや、これは過去の栄光です。先輩。私は英検2級取得していたし、海外留学していたので

英語に関しては、記憶がある限り意地もあります。

ただ、この学習してきた力をいつ発揮するのが自然なのか、分からなくなってきました)





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