転生したら好きな人の息子だった(幼児編)
転生の話です。
男性になった女性シェフの主人公のいろいろな試練。
内容は、15禁と判断しています。
綺麗な話ではなく、いろいろ複雑な家族関係とかグダグダ部分
コメディーのような雰囲気な感じとか、いろいろあります。
ハーレクイン系では「ない」ので、ご了承ください。
よくよくタイトルを見たら、某アニメと勘違いされてしまうかもしれないのではないかと気が付きました。
全く内容が関係がないということをここにお知らせします。
紛らわしいと思われる方が多い場合は、タイトル変更をしますので
お知らせください。
「今日のメニューですが・・」
とある有名ホテルの中にある有名レストランの1つで、新米シェフ皐月 香
は奮闘していた。
このホテルのレストランでは珍しく女性シェフを起用。
26歳という若さで、海外で賞を取るなどかなりの腕前を誇る。
往年の男性シェフも有名人で、男女シェフの腕が良く美味しいと評判になり、店の利益をさらに上げている。
そんな彼女は、高校時代まで自分の進路で悩んでいた。
なりたいものがない。
そんな自分に前向きな言葉を掛けてくれる男性に出会い、自分の扉が開かれたのだ。
それ以来、ずっと慕っている。
恋心も芽生えているが、本人は自分の心と向き合っていないので、よく分かっていない。
その男性は高校が同じで、大学は分かれたものの今も交友がある。
彼は1つ上の先輩 桂木 樹生、現在医師だ。
高校時代、たまたま委員会会議で出会ったのがきっかけ。
イケメンで発言力もあり、行動派で、当時カリスマ的な男子。
女子なら誰もが憧れるだろう。
ただの顔の良いイケメンだけなら、彼女は慕わない。
彼女自身、イケメンには良い印象がなく、どちらかといえば苦手な分野の男性なのだ。
彼はただのイケメンでも性格が悪くもなく、モテルことをマイナス評価として悩み、
どう生きるべきなのかを常に悩んでいるという変わった男子だった。
彼女は、顔で慕っているのでなく、彼の本音を聞いて彼に惹かれているのだ。
その彼とは、ただの先輩後輩の中から脱することなく、彼女が有名レストランに就職出来たと
聞いて、月1回は食事にやってくるというだけの関係だ。
「今日も美味しい食事を有難う」
毎回違う女性を連れているが、決して手を出さず食事のみなのだと
いつも皐月に言い訳しているのが、不思議だった。
月1回、会話を少しするだけでも彼女は楽しかった。
彼の言葉で、彼女は自分の進むべき道を見つけることが出来て、今の自分があるのだ。
海外で賞をとれば、彼は必ずそれを知って祝いの言葉をくれる。
彼が自分に魔法を掛けてくれているそんな気分になれるのだ。
恋なんだろうか?と皐月が思い始めたのは、26歳の冬になった頃だった。
そんなある日、皐月は皐月の才能を妬んだ者に命を狙われてしまった。
目の前に刃物を突き付けられ、憎々しげに自分に不満をぶつける相手。
あっという間のことだった。
自分の周囲にいた同僚達が、必死に自分の名を呼んだところまでしか覚えていない。
皐月 香が次に目覚めた時、違和感を感じた。
(あれ?ここどこだ?)
自分はライバル視されていた男性に、刺されたはず。
病院に搬送されたと思っていたのだ。
ぼんやりとした視界。自力で起き上がれない重い体。
そんなもどかしいところを、大きな手が自分の脇に差し入れられ持ち上げられる。
浮遊感を感じながら、目を凝らすと、凄いイケメンが自分を見て微笑んでいる。
でも、見知った顔。
(あれ?先輩?)
「初めまして、蒼真。パパだよ」
皐月は思いきっり叫んだ。
「ええええ~。(ふぎゃあああああ)」
その日、皐月 香の先輩 桂木 樹生の長男 桂木 蒼真
として、皐月の記憶を持つ子供が生まれたのだった。
(し、信じられない。先輩がパパ?)
優しそうな美人な母親から乳を与えられ(屈辱というか恥ずかしい)、それを見下ろす先輩やその両親達。げっぷが出るまで背中をさすられるのも恥ずかしい。
しかも、今は男だが思考的には皐月の記憶を持つ子供を裸にさせて夫 樹生に手渡す美人な母親、
裸にされた赤ん坊の皐月を先輩は腕に抱いて
一緒にお風呂に入る。
笑顔の先輩とお風呂から出れば、体を拭かれ、おむつを履かせられる。
全部見られて羞恥でいっぱいだ。
それを阻止出来ない体がもどかしい。
いや、先輩の子供なんだから仕方がないと言えば、そうなんだろうけど。
自分が今どのような状況なのかを皐月は、いろいろと大人達の会話を聞いてみることにした。
耳を傾けると、先輩の家の事情が聞こえてくる。
今、先輩は29歳。結婚したのは昨年。
結婚したいと思っていた人がいなくて、美人な女性(蒼真の母親)からの告白を受け、
条件を提示して結婚したというのだから驚いた。
(結婚したい人がいなくて、条件付きで結婚。昔から顔はイケメンなのに、思考は分からないのは
変わらないんだ)
誰にでも優しく、しっかりしていて頼れる人。包容力があるという雰囲気があるのに
実は冷めているなんて、どういう性格なんだ。
でも、それを承知でいる母親もある意味凄い。
今更、先輩が好きだったという恋心は薄れ、皐月は今の自分を受け入れることに専念することにした。
なにしろもう1度人生のやり直しだ。
しかも性別は、今度は男。
男として、どんな人生を送るのだろうか。
高校時代、先輩の苦悩の本当の意味が分かるのかもしれない。
(いつか男同士語れる時になったら、どんな条件で結婚したのか、その人生観を聞きたい)