御伽噺
昔々、ある世界に二つの大国がありました。
片方は大地の国。世界の大地全てを支配する国です。
そして、もう片方は海と空を支配する国。
二つの国はとても仲が良く、お互いの国をより良く発展させるために力を合わせていました。
彼らには、共通の敵がいました。
それは、魔獣、または魔物と呼ばれる存在。
家畜や作物を荒し、時には人間を襲う彼らと、人間は長い間戦っていたのです。
さて、あるとき、大地の国の王族に一人の男の子が生まれました。
その子はとても珍しい黒髪に黒い瞳を持っていました。
黒い髪は希望の象徴、黒い瞳は進化の象徴だったので、それはそれは大切に育てられました。
十数年が経ち、クロムと名付けられたその男の子は、とても立派な青年に育ちました。
ある時、彼は魔法の実験中に、暴走事故を起こしていまいました。
その事故により、彼はとても強力な魔法を手に入れることが出来ました。
彼は、この力を皆の為に使用できないかと考え、一つの名案を思いつきます。
それは、魔獣、魔物の消滅。
世界を真に人間の物にするために、これ以上悲しい思いをする人が出ないように、彼は一つの装置を開発しました。
その装置の名前は、バベル。
天まで届く巨大な塔の姿をしたその装置によって、世界は平和になる筈でした。
しかし、それが完成した直後に、世界は空前絶後の魔物の攻撃を受け、人間は全滅、魔物もバベルの攻撃を受け全滅。世界は、生きる者の無い廃墟の世界へと変わってしまいました。
たった三人の人間を残して。
その後、彼らがどうなったのかは・・・誰にも分かりませんでした。