22/23
あとがき
この物語は「神と人は、どこまで近づいてよいのか」という問いから始まりました。
風神ヴァル・シェアリスは自由の象徴でありながら、人々の願いと信仰によって縛られていた神です。
一方神凪リュシアは声を奪われ、役目を与えられ、それでもなお世界を恨むことを選ばなかった人でした。
二人は恋をしません。
ですが、理解し合いました。
名を呼ばず、願いを強いず、
ただ同じ風を感じることで。
沈黙の儀とは神凪が神を救う儀式であり
同時に、神が人を手放す儀式でもあります。
救いは抱きしめることではなく離すことである
そんな不器用で静かな答えを、この物語は選びました。
読み終えたあと、もし少しでも「風の音」が違って聞こえたなら、それがこの物語のすべてです。
宵待 桜




