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牢獄を抜け出したら運命の剣士と恋に落ちました  作者: 藍瀬 七
第1章 牢獄を抜けた先に待つ運命
1/1

牢獄から逃げたら、剣士に振り回される件

牢獄から始まる波乱万丈の冒険へようこそ!

リトという少女が自由を求めて脱獄し、青い瞳の剣士や謎の男サレと繰り広げる物語です。恋と運命が交錯するこの世界、ぜひ最後までお楽しみください!

 突然、耳をつんざくような警報音が鳴り響いた。その音と同時に、目の前のシャッターが閉まろうとしている。リトは必死に走った。


「まずい……出口が閉じられる!」


 息を切らしながら、金属のシャッターが地面に到達する寸前、彼女は滑り込むようにくぐり抜けた。後ろを振り返ると、重いシャッターが地響きを立てて完全に閉じられる。間一髪だった。しかし、脱出はまだ終わりではなかった。廊下の奥から兵士たちの怒声が聞こえ、足音が迫ってくる。


「捕まるわけにはいかない……!」


 リトは周囲を見渡し、無数の扉が並ぶ通路を駆け抜けた。道の先にあった通気口のカバーを発見し、手早く外して中へ滑り込む。狭い通気口を這い進むうち、背後で金属のカバーが乱暴に開けられる音が響いた。


「ここにもいないぞ!他を探せ!」


 心臓が早鐘のように鳴る中、リトは息を殺し、ひたすら前進する。ようやく通気口の先に外の光が見えた――が、出口の下は崖だった。


「えっ、これ降りるの……?」


 リトがためらう間にも、兵士たちが通気口へと近づいてくる足音が聞こえる。


「悩んでる暇なんてない!」


 意を決して崖の淵に足を掛け、パイプを伝って慎重に降り始めた――その瞬間、握っていた金属が錆びて崩れた。


「きゃっ!」


 リトの体が宙に浮く。下に見えるのは固い地面――と思ったそのとき、誰かの腕が彼女を抱き止めた。


「……全く、世話が焼けるな」


 リトが見上げると、深い紫色の髪と青い瞳の男の姿がそこにあった。


「あなた……どうして?」


「話は後だ。ここを離れるぞ!」


 リトは彼の腕に支えられながら、兵士たちの目を逃れて走り出した。ようやく建物の外へ出た二人。息を切らしながら広がる街を見て、リトは思わず呟いた。


「わぁ、賑わってるなあ」


 と、思わず呟くほど、その街は商業が盛んなところだった。


「りんご美味しそ!いっただっきまーす」


 甘くてジューシーなその味は、リトの心を癒した。


「お嬢ちゃん、お代を先に頂かないと、困っちまうな」


「え?」


 リトは店主の言っている意味がわからなくて考え込んだ。


「お金は持っているんだろうな?さっさと払ってくれ」


 怪訝な表情をする店主に向かって、リトは悪びれる様子もなく答える。


「え……お金? 持ってないけど……」


「払えないなら牢獄行きだ。おいお前、城の兵を呼んでこい」


 ♦♦♦

 

「ちょっとぉ!ここを開けてよ!」


 大きな音をガンガン鳴らして、なんとか牢屋から出してもらおうとする。


「お前さん、タダ食いしたんじゃろ?金がないなら懲役5年の刑じゃ」


「5年!?そんなの無理!私にはやるべき事があるんだからあ!」


 老兵は足早に仕事へ戻った様子だった。


「そんな……私、こんな所でじっとしてる場合じゃないのに……」


 それから少しだけ気持ちが落ち込んだ後、どこかに抜け道があるかもしれないと探し始めた。その時だった。牢屋の廊下からコツコツと足音が聞こえる。音の鳴るほうを見ると、先程の老兵が倒れていた。廊下に倒れ込んだ老兵の手元には、まだ乾ききっていない水滴がついたコップが転がっていた。何事かと思い声を掛けようとすると、その瞬間に頭の上で声がした。


「ここから逃げたいんだろ?――俺の名前はグラック。ただの傭兵だ。こういう仕事、どうにもほっとけなくてな」


 ハッと顔を上げると、男の顔があった。


「え?」


 青い瞳で私の目を覗き込むその男は、真剣な眼差しで訴えかけてきた。突然の出来事で軽いパニックになりそうだったが、この男は私を牢獄から逃がそうとしてくれている、のか……?思考を巡らせている中、男は牢屋の鍵を外した。


「この道の途中に抜け道がある。そこから外へ逃げるんだ。いいな?」


 男の言うことを信じていいものか少し迷ったが、自力で脱出することは難しいと思い、言うことを聞くことにした。


「ありがとう!私はリト。あなたの言うことを信じるから!」


 笑顔で元気よく手を振り、その場を後にした。


「全く……あんなにはしゃぐと兵にすぐ見つかるじゃないか……」



今回のエピソード、楽しんでいただけましたか?

牢獄から始まる波乱の物語、これからますます盛り上がる予定です!リトの成長や剣士たちとの関係もどう変わっていくのか、私自身ワクワクしながら書いています。次回もどうぞお楽しみに!

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