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【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】  作者: 杜若スイセン
再生リスト4:縦の絡みも増えてきて撮れ高がとどまるところを知らない

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#93【電ファン切り抜き】2029クリスマス交換会まとめ Part2【月雪フロル/エティア・アレクサンドレイア/マリエル・オーレリア/マギア・ワルプルガ】

「じゃあ次は同類、引け」

「私が言うのもなんだけどそれ擦ったら心愛先輩がかわいそうだよ」

「お前が言うことじゃなさすぎるだろ!」


〈草〉

〈草〉

〈フロルが言うなよそれを〉

〈涼しい顔で……〉


 前から言っているけど、私はボケもツッコミも両方するつもりだ。というか本当はボケたいのだ。だからこのくらいはさせてもらう。

 さておき、流れで指名されたから引いていこう。抽選箱に手を突っ込んだら吸い込まれてきた紙があったから、それを引く。


「……あ、私のだ」

「連続でそうなることある!?」

「確率いくつだよこれ!」


 書かれていたのは「月雪フロル」。まさかの二回連続本人引きだ。確率はまあ、暗算でする計算じゃないけど1%は切っているね。

 引いた紙を横に置いて、もう一度……今度は「エティア・アレクサンドレイア」だった。


「ほう。フロルちゃんが引くんだ」

「なにその反応」

「それじゃあこれあげる。メリークリスマス!」

「おお? なにそれ」

「……あっ」


〈なんかさっきから運命力を感じる引きだな〉

〈今度はエティフロですか〉

〈なんか重そうだけど〉

〈何引いたんだ……?〉

〈フロルはすぐわかったっぽい〉


 受け取ってすぐにわかった。これはあれだ。

 袋を開けてみると、案の定……。


「……薄い本?」

「電ファン二次創作同人誌セットだよ。私のイチオシを書店委託の通販でもう一冊ずつ買ったの」

「よかった、ちゃんと全年齢だ」

「こんな場にエロ同人持ってきたりしないよさすがに。……だけど、自分が出てるの読ませて悶えさせるつもりだったんだけどな」


〈おい公式巡回されてんぞ!?〉

〈おっ知ってる表紙がある〉

〈\(^o^)/〉

〈シテ……コロシテ……〉

〈作者たちの屍が……〉

〈よかったなイチオシだってよ〉


 あいにく四期生はまだデビューしてから夏冬を経験していないし、オンリーイベントも挟んでいない。一応それ以外の即売会で存在自体はしているらしいとだけ知っているけど、さすがにそれはまだここに……は…………。


「あるじゃん四期生本」

「なんてね。実はあるんだよねえ」

「」

「かわいそうに」

「わぁぁ……!」

「自分の出る日常シチュ漫画が一番恥ずかしいんだよね。エロの方がぜんぜん見れるし楽しめる」

「マギアちゃんはなんでそんな嬉しそうなの?」


〈あっ……〉

〈ありました☆〉

〈なんという罠〉

〈あくどいさすがエティアあくどい〉

〈えっハルカさん自分のエロ同人見たことあるんですか?〉

〈電ファンならやりかねんぞ自分のエロ鑑賞くらい〉

〈明日ハルカだもんな……〉


 え、私、これをマギにゃと一緒に読むの?






 ちょっと進んで、マリエル先輩の番になった。後輩からのものは引き当てられなかったものの星夜先輩から電子レンジをもらって嬉しそう(賭けてもいい、このひとは律儀に明日まで待ってからお古の電子レンジも入居後のマギにゃにあげようとする)な心愛先輩と入れ替わりで出てきて……。


「自分の紙、自分の紙……」

「えっマリエルもしかしてあの無駄な工程を狙ってる?」

「別に自分の紙を引いてもそれであの二人と仲間ってわけではないだろ」


 ……まあ、あれだけ小心者キャラを通していたマリエル先輩が私ついでにマギにゃを巻き込む動きをできるようになったのは大きな進歩だと思うよ。

 ところでみんな、マリエル先輩のキャラ覚えてる?


「自分の紙だ!」

「だよなあ」

「マリエルちゃんだよ? そりゃ引くよ」

「出たな運命力悪魔」


〈出た〉

〈ほんとに引いてるw〉

〈知ってた〉

〈まあマリエルだもんな……〉

〈やっぱすげえわこいつ〉

〈マリエルが願えばなんでも叶いそう〉


 そう、幸運魔嬢マリエルは引くのだ。彼女がここまでしっかり願って、当たらなかったのを私は見たことがない。なにしろ某RPGの配信中に1/512のレアドロを一発で引いた女だよ。隣でサブマネとして見ていたけど、あのときは目を疑った。

 ただマリエル先輩は、そんな無尽蔵の爆運をこんな意味のないことに使うひとだ。何が琴線に触れたのかそれでひとしきり喜んだあと、今度は別になんでもよさそうに引き直した。


「もしかしてこのひと、くじ引きのピークを意味なく終わらせてランダムを楽しむために自分の引いた?」

「自分の運を理解してやがる……」

「強者の遊びだ」

「マギアちゃんだ」

「あ! はーいっ!」


〈そんなことある???〉

〈雑念消しだったの?〉

〈マリエルならありうる〉

〈おっマギア〉

〈ここでルフェでもフロルでもないってことはそうかもしれんな〉

〈いちいちかわいいなあの魔女っ子〉

〈あれが今後スナップで見れるんですか?〉


 あの人は一周まわって運ゲーを楽しめない可能性があるから、あながち冗談と笑い飛ばせなくて。マリエル先輩とルドーとかやりたくないもん。おかげで本人もゲームが下手なのに運ゲーに逃げられなくて苦労しているみたいだけどね。

 実際、引いたのは妙に懐いている私でもデビュー当初からの相方であるルフェ先輩でもなかった。マギにゃが自分の用意したプレゼントを取りにとてとて、かわいい。


 …………なんか割と大きい箱に手をかけた。しかも持ち上げられていない。結局マリエル先輩も手伝って非力二人で運んできたけど、何を持ってきたの?


「最新鋭のほうきをもってきたんだ!」

「ほうきって、空を飛ぶための?」

「うん!」

「箒の運び方でも形でもないよな……?」


〈ほうき……?〉

〈魔女っぽいこと言ってはいるけど〉

〈どう見ても箒じゃなくない?〉

〈かなり重そうだったけど〉


 マギにゃはこう言うけど、とてもじゃないけど箒には見えない。となると本当に箒というわけではなくて、何かを箒と言い張って持ってきたのだろう。わざわざ自分では持ち上げることすらできないものを。

 ちなみに箱は正方形かつ平べったいものだった。果たして、ラッピングを剥がすと。


「えっと……ロボット掃除機だ!」

「マリエルくらいになると心頭滅却しても一番必要なものを引けるんだね!」

「ルフェちゃん同期に恨みでもあるの?」

「そのへんどうなの元サブマネのフロルちゃん」

「別に床は汚くないから、掃除機の問題ではないよ」

「そっか。……ん?」

「床“は”?」


 たぶんちゃんと自分で掃除機はかけている。……まあマリエル先輩の部屋はそういう問題ではないんだけど。こう、ね。いろいろ積み上がってるからね。放っておくとダンボール箱の上にぬいぐるみがいたりする。


 ともかく、ロボット掃除機だ。いや持ち上げられないほどのものではないでしょ、とは思うけど、それよりも。

 マギにゃはこれを「最新鋭のほうき」と言った。これは……もしかして。


「マギにゃ、掃除用具のこと全部箒だと思ってる?」

「そんなことないよ。だけどこれはほうきの代わりになるよ?」

「マギにゃ、いくらマギにゃの軽さでもロボット掃除機に乗っちゃダメだよ」

「うわそういうこと!?」

「絶対かわいいけどやらないでねマギアちゃん」


〈乗るのかよこれに〉

〈箒ってそっちの?〉

〈まあ魔女にとって箒は乗るものだし……〉

〈そのほうがおかしいんですが〉

〈マギアの小ささならギリ乗れるな?〉

〈危ないからやめようね!〉

〈さすがに誰か描くでしょこれは〉


 ファンアートは「#マギアトリエ」にどうぞ。たぶん三ヶ月は味すると思うよ。

 そしてファンアートの中だけにしておこうね。いくらマギにゃでもたぶん壊れるし、そもそも振り落とされて転んでしまって危ないだろうから。






 ところで、私の紙はその後もいっこうに引かれなかった。狙っているようだったルフェ先輩もエティア先輩も引かず、割となんでもよさそうだったデュエ兄はパンドラ先輩から謎のフィギュアを受け取っていた。なんか絶妙に大きい上に知らないクリーチャーなんだけど、デュエ兄それ部屋に置くの?

 それを渡してひと仕事終えた感を出していた邪神っぽさ溢れるパンドラ先輩でもなく……しまいには星夜先輩もみくら先輩も引かなかった。


「ということは……」

「はい。……うん、私がフロルちゃんだね」

「困ったな……オチにできるようなのは持ってきてないよ?」

「オチになりうることを考えはしたんだ」


 した。けど、最低限キャラを保ちつつ、誰がもらっても困らず、かつ面白いものはちょっと思いつかなかった。難しいよ、植物縛り。

 自然と食べ物、たとえばメロンあたりが候補に挙がったんだけど……消え物は交換会的に微妙な気がしたのと、あまり大きなものだと結局受け取った人がみんなで分けると言い出して恩恵がなくなりそうでやめた。かといって小分けパックになっているようなものだと、この場に出すほどの価値にはならなくて。


「結局ね、これ。せめて気に入ってくれるといいんだけど……」

「どれどれ……っと、サボテンだ。なるほど、観葉植物」

「ちゃんとフロルっぽいの出てきたな」

「いいねあれ。ちょっと欲しい」


 悩んだ末に、安直だとはわかっていつつも観賞用のサボテンを取り寄せた。キンシャチと呼ばれる種類の、小さいけど綺麗な玉型かつ黄金色のトゲをしたある程度価値もあるものだ。

 水やりもほとんどいらないし、窓際というか窓枠に気軽に置けるし、詳しくないけど風水にもいいらしい。アリエッタ先輩に聞いたからお墨付きだ。総じて邪魔にはなりづらいし目の保養になると思って選んだけど、ハルカ姉さんの反応は……わぷ。


「大事にするね」

「え、と……うん」

「あれハルカ姉マジの喜び方してるね」

「そりゃ嬉しいよ。フロルがこれだけ考え尽くして選んだものもらえたら。ほらあっち何人か血涙流してる」

「フロルちゃんのを欲しがっとけばよかったかも……!」

「台無しだよマリエル先輩」


〈フロルだ〉

〈すごいフロルって感じ〉

〈こういうとこでボケを捨ててでもくそ真面目になってくれるからここまで愛されるんだよ〉

〈フロルがフロルな理由が出てるな〉

〈これで不安そうだったあたりがフロル〉


 ものすごく喜ばれた。しっかり抱きしめられて身動きが取れない。……うん、そこま喜んでくれて私も嬉しい。

 「フロル」が何か意味のある言葉として扱われつつあるのが気になるけど、周囲からも好評みたいだ。真面目に選んでよかった。


 まあ、ひとつだけ困ったとすれば、そのまま配信終了まで離してくれなかったことかな。ハルカ姉さんがここまでになるのは、なかなか珍しいことだった。

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― 新着の感想 ―
(下の感想を見て)一番「フロる」に相応しそうなゲームガチになってるモードはカニバルモードって名前付いちゃってるもんなぁ……
いずれフロルちゃん的なムーブを「フロる」って言われるようになりそう
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