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【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】  作者: 杜若スイセン
再生リスト5:はじまりの六人と勧誘大作戦
119/119

#119【電ファン切り抜き】金鉄は実力ゲー【#創建組/月雪フロル】

 というわけで、六人で何をやっていくかなんだけど……目の前にあるのは、コントローラーが三つだけ。


「今日はタッグ戦! 金鉄やるよ!」

「まあこの六人でやるならタッグだよね」

「それぞれの絆を見せつけろ!」

「というかソロ戦やったり実力の出やすいゲームにしたらフロルちゃんに逆立ちしても勝てないといいますか」


〈キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!〉

〈タッグ戦助かる〉

〈オラッてぇてぇ吐けッ!〉

〈友情破壊ゲームなんだよなぁ〉

〈せやな〉

〈さすがにパーティゲームかつタッグで薄めればフロルでも大丈夫なのか〉


 みんなは私のことなんだと思ってるの? 確かに操作密度の高いゲームは飛び抜けて強い自覚もあるけど、金鉄くらいアクションも何もないゲームならそこまでは変なことにならないよ?

 と、金鉄というのは『金太郎電鉄』のことで、日本を模したマップで稼いだお金を競うすごろくゲームの金字塔だ。最大四人マルチのゲームだけど、今回はCPUなしの三組だけでやる。


「ルールは完全初期状態の三年戦。シンプルに三年目終了時の総資産の勝負だよ」

「三年しかないから決算での稼ぎはさほど大きくならなくて、目的地ボーナスの影響が大きいルールだね」

「とはいえそれだけではないから、少しでも稼げるように戦略を立てろと」


 まあ、難しい要素は全て期間の短さのせいで効力が弱い。シンプルなすごろく競争がメインになるだろう。






「じゃあ始めてこ!」

「最初は……いきなり盛岡! ちょっと遠いね」

「遠いほど順番を出目で覆しやすいし、目的地近くが入り組んでないほど止まりづらいから先行有利が低減される。ハルカ姉さん、チャンスだよ」


〈盛岡からか〉

〈さっそくゲームスキル出てない?〉

〈わざわざ三番手にしたのに……〉


 このゲームは開始時と誰かが目的地に止まったときに次の目的地がランダムで決定される。この目的地に一番乗りするとボーナスが入るけど、これが何をするにもまとまったお金がない最序盤は特に大きい。

 固定値バフは序盤は強いけどだんだん微妙になるのと同じ理屈(厳密はボーナスは固定値ではないけど)だけど、この三年戦モードは序盤のままゲームが終わるからずっと強いのだ。だから三年戦は基本的にひたすら目的地を追うのが強い。


 そしてそれはつまり、先に行動できるプレイヤーが有利ということになる。それもあって私とハルカ姉さんのチームは三番手になったんだけど……この不利は状況次第で少なく済むのだ。それが目的地が遠いときと、目的地周辺のマップがシンプルなとき。

 遠いとその分だけターン数がかかって、サイコロの出目次第の逆転が起こりやすくなる。そしてマップが複雑だと細かく動いてびったり止まりやすくなるけど、単純だとそれがしづらくなってさらにターン数がかかる。

 つまり、


「後手の不利を捲るには、運ゲーに持ち込むのが一番いい!」

「うわ清々しいこと言ってる」

「カードゲームみたいなこと言い出しますねー」


 だからあとは運なんだけど……。


「あ、サイコロ振るのはハルカね」

「だめか」

「マリエル二号ちゃんに振らせたらどうなるかわかるでしょう?」

「散々な言われようだ」

「さすがに今だけは否定できない……」


〈そらそうよ〉

〈フロルが振ったゲーム崩壊するわ〉

〈ハルカ姉振らせる気だったな?〉

〈マリエル二号〉

〈もはや伝染った扱いですらなくて草〉


 さすがに二号呼ばわりはどうかと思うけど、つい一昨日にあれだけ豪運を出したばかりで否定はできない。ハルカ姉さんはどうやら利用する気だったみたいだけど。

 そうして流れで操作は0期生担当になって、そのまま少し進む。私が口を挟んだのは結局最後尾で、福島あたりに到達したタイミングだ。


「あ、ハルカ姉さん。あっちのカード売場にお願い」

「お、フロルちゃんが動きました」

「え、ってことは何かあった……?」


 ほんの少し横に逸れた位置だけど、最短ルートから往復で四マスだからそこまで大きな差にはならない。確かこの時期ならアレがある。

 別に他のペアもそれぞれ相談しながら決めているけど、そんな中でも私が何かするだけで警戒されるのはやりづらい一方で利用のしようもある。というわけで、サイコロ以外の操作は止められていないからちょっと失敬。


「フロルちゃん!? これ3Dだよ!?」

「距離感ちか……」

「え? このくらい普通だよ。ね?」

「ねーっ」

「うおっまぶしっ」

「二人ってガチ姉妹だったりします?」

「おお、他の誰にも向けない甘え声だぁ」

「ハルカ姉とのときにしか聞けないんだよな、これ」


〈!?〉

〈おい不意打ちやめろ!!〉

〈やっべゲーム画面に集中してた〉

〈そっかこの配信ワイプも見ないとなのか〉

〈もっと大きな画角でお願いします……〉

〈ヴッ〉

〈今のやっっっば〉

〈フィクションの妹キャラじゃん……〉

〈今何人脳破壊された?〉

〈べったべたで助かる〉

〈こないだから過剰供給ですが!!!〉

〈コメ欄にライバー誰も来ないの逆に怖い〉

〈イミアリ全員今のに撃ち抜かれてコメントどころじゃなさそう〉

〈よく耐えてるよぱーちゃん〉


 ごめん、今のはちょっと狙った。だけど私にとって、ハルカ姉さんの腕の間に潜り込むくらい本当にいつものことだ。ハルカ姉さんの反応からわかると思うけど。

 まあ、最近の反動であまえんぼモードなのは否定しないけど、別にそうでなくてもこのくらいはするよ。両手でコントローラーを持っているところに操作を割り込むなら、こうして腕の中に入るか後ろから抱きつくかの二択だし……私の体格だとこっちの方が楽だからね。


「……出られなくなった」

「捕獲されてる……」

「ハルカ今、入れるときは腕上げてたもんね。最初から逃がす気なかったんだ」

「こないだので甘やかす喜びを思い出したの」

「ハルカじゃなかったら通報されてますよ」

「ハルカ姉でもどうなんだろうか、それは……」






 ところがしっかり私たちが目的地周辺に到達した後、最初に目的地を踏んだのはこまち姉だった。私たちは直前に悪い目を引いてしまって、僅差で目的地から一番遠かったペナルティの貧乏神がついてしまう。


「次の目的地は……下関」

「うっわ遠い……今回かぐや姫さまご機嫌ななめだ」

「こうなるとビンボーがついたまま長距離移動のハルカ姉はキツそうだね」

「そうでもないよ?」

「え?」


〈本州縦断じゃねーか!〉

〈くっそ遠いな〉

〈船使った方が早いな〉

〈これはハルカヤバいか〉

〈フロルファインプレーすぎるなこれ〉

〈うん?〉

〈そうでもない?〉

〈うわフロルやべーわ〉


 だけど、ここでさっきの仕込みが効いてくるんだよね。自分たちの番、目の前にあるコントローラーを上から操作して開いたのはカード画面だ。

 そこには道中のカードルーレットで手に入ったものもあったけど、今使うのはさっき買ったやつ。これはこういうときのための仕込みだ。


「ここに『西へ!カード』があります」

「あ、さっきの!」

「そういえば忘れてた!?」

「フロルちゃんが急にべったりしたのに反応してそのまま……」

「あのとき誰も画面見てなかったよね、ふふ」

「さ、策士だ……」


〈!!〉

〈これあるなら話変わるぞ!?〉

〈いつの間に〉

〈あのときか!〉

〈ってことはわざとやったのか……〉

〈魔性の女すぎる〉

〈急にImitateAliceするじゃん〉


 西へ!カードは、使うと大きく西へ飛ぶことができるお助けアイテムだ。行き先はランダムだけど、ここから大きく西方向ならどこであっても下関には大きく近づく。

 即座に真似をされると優位性が薄れるからね、ちょっと目を逸らさせてもらった。盤外戦術ではあるし、どちらにしろ最後尾だから他のペアがわざわざ戻ってくる可能性も低かったけど。私たちは撮れ高に魂を売っているなら誰も文句を言ってこない。


 ランダム部分もなかなかの効力をみせて、到達したのは佐賀。これはかなり近い。盛岡からなら西に飛ぶときはカードの値段の割に強くなると思ってはいたけど、これは万々歳だ。


「……あぶな」

「即使えば割るタイミングないからね。隙は見せないよ」

「金鉄でまでこんなに強者感出せるんですねこの子」


 直後、貧乏神の妨害イベントでカードを割られた。他に持っていた二枚両方を割られたけど、西へ!カードは役目を終えて消えている。軽傷といえるだろう。

 そのまま下関には入れて、しかも次の和歌山にもまだ一番近かったから連取できた。計画通り……。

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― 新着の感想 ―
うっわ魔性を理解して視線を操作…… ゲーム機は操作してない(プレイヤーとリスナーを操作したけど)からヨシ!
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