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【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】  作者: 杜若スイセン
再生リスト5:はじまりの六人と勧誘大作戦
108/142

#108【DarticMail】絵うまトリオvs画伯トリオvs葵陽【電脳ファンタジア切り抜き】

『さて、見てくか』

『地獄の釜をオープンザプライス……』

「何個かヤバいのあったよね?」


〈誰も自信なくて草〉

〈いうて何個かいけてそうだったけど〉

〈画伯も他の画伯を目の当たりにしてるから威張れないと〉


 これ開けるの怖いね。ゲーム中に私が見たのは自分のものも含めて全体の七分の二だ、どこにどんなものがあるかわかったものではない。

 まあ、面白くはなっていることだろう。そこは期待していいはずだ。だって電ファンだから。


「最初は……アンリさんのから」

『……『葵陽のギター』。だよね、あったよねそれ』

『これは……さすがにいけたんじゃない?』

『ちょっとズルい気もするけど、まあいっか。一個くらいはね』


 私が部屋主だからゲーム内容がまとめられたアルバムを操作していくんだけど、これは全員が覚えのありそうな反応をした。まあさすがにね、ギターひとつすら伝達できなかったらちょっと他は目も当てられないだろう。四期生に関連するギターはひとつしかないし。

 と思っていたんだけど。


『……えっ?』

『ええと……』

『ギターなのかいこれ』

「思ってたより難易度高いのきたねこれ」

『そ、そんなにですか!?』

『ちよりんもがはく、と』

『マギアちゃん!?』


〈???〉

〈なぁにこれぇ〉

〈えっと……ひょうたん?〉

〈誇張した洋梨〉

〈どのへんがギターなんですかね……〉


 まあ画伯が一人とは思っていなかったけど、なかなかかっ飛ばすねちよりん。悪いけどこれはだいぶ好意的に見て瓢箪だ。

 柄がね、ないのだ。その上で一般的なアコギっぽい造形を、かなり誇張したような様子になっている。


 だけど、どうやらこのお題は成功している。つまりここから復元した人がいるのだ。

 それは言うまでもなく、この反応のときに一人だけ黙っていた人物。


「陽くんよくいけたねこれ」

『やっぱり愛?』

『あー、いや。さすがにこれを俺のフライングVとして見るのは無理だったんだけどな』

『そんな……』

『無理もないよ千依くん』

『一発でこうなりうる、四期生のお題になりうるものがこれしか思いつかなかったんだ。一応弦っぽいものはあったしな、柄ないけど』


 陽くん本人だ。きっちり「陽のエレキギター」まで復元してのけていた。

 でも確かにそうだね、他に該当しうるものは思いつかない。……ちよりん、ごめん。これは擁護できないかな。彼女の絵はこれからあと二枚出てくるけど。


『おお、安心感がある』

『都ちゃん上手いじゃん! 話が違うよ!』

「うん、みゃーこはけっこう上手いよ」

『い、いや、私はあんまり自分が上手いって思ってなくてっ』

『ふろるちゃんとsperままを見てたらたしかにそうなるかも……?』


〈【朗報】みゃーこ上手い〉

〈なんだ上手いのか〉

〈あんなに自信なさげだったのに〉

〈あーそういう〉

〈sperとフロルのせいか〉

〈周りが上手すぎた〉


 私が見たギターの絵はみゃーこのものだった。うん、上手い。比較するとわかるけど、よく見ているね。陽くんのギターは下側が逆V字のデザインになっているモデルだから、それを覚えているかどうかで変わってくる。

 そして私の回答が挟まって、最後はゆーこさん。


『……お、まあギターだってわかるぞこれ』

『柄がある……!』

『ちゃんとかたちを再現してるから、けっこうわかりやすかったよ!』

「そうだねぇ……ちよりん、同期の見た目はもっとちゃんと見ていこ」

『はい……』


〈おお〉

〈いけるやん!〉

〈これは幽子の勝ち〉

〈ギターだ〉

〈ゆーこさんちゃんと見てた〉


 かなりエキセントリックな線にはなっているけど、まあ何であるかはわかる。というか、フライングブイの形が再現されているおかげか割とわかりやすかった。これはいい意味で予想外だ。

 マギにゃの回答もばっちり「陽くんのギター」で、これは文句なしのクリアといっていいだろう。……そして残酷なことに、ほぼ伝言ゲームの影響がない状態で二人の画伯の比較ができてしまった。暫定だけど、柄と形状からしてゆーこさんのほうがまだ……。




 つぎ。


「みゃーこのだね。『忍者姿の千依』……え、そんなのあった?」

『え?』

『え?』

『……不穏!』

『なあ、反応的にピンときてないやつの方が多いんだが』


〈これは……w〉

〈はい〉

〈大変なことが起こってましたね〉

〈これは一人以外悪くないよ〉


 さっそく覚えがない。というかちよりんのお題自体に覚えがなかった。人すら入れ替わっているということは、けっこう派手にズレてしまっていることになる。

 そしてその正体は、私ともう一人には次の瞬間わかった。


『アンリさん!?』

「あ、そういうことか……」

『どうだい、割とできて……おや?』

『おや、じゃねーよ?』

『あんりさん……しんじてたのに……』

『これは……何?』


 なんというか、その。特徴が捉えられてなさすぎて、完全に溶けてしまっている。これはただの真っ黒な人影だ。ちよりんは公式で忍者装束姿の宣材写真(立ち絵)が出ているから真似は可能なんだけど、Vネックを埋める網状の部分も腰についた装備や装飾も頭巾から出た髪もなくなっていた。

 そしてこれで、なんとなくわかった。これを受け取って書かれた伝言が……。


『ほんとにわかんなかったからいろいろ考えて、そういえばフロルちゃんなら黒子も要素になるなって……』

『いや、これは幽子は悪くない』

『これはしかたないよ……』

『さすがに全責任がアンリさんにあるよねこれ』

『そ、そんなまさか!』

「アンリさん、あなた自信のあるタイプの画伯だったか……」


〈黒子ってそういう〉

〈アレかー〉

〈ここで雪ちゃんになっちゃったのか〉

〈いやそう見えるよ〉

〈しゃーないわこれは〉

〈アンリの時点で破綻してた〉


 確かにそうで、私なら黒子姿でもお題になりうる。むしろゆーこさんはよく絞り出したと思うし、私にもどちらかならこれは黒子に見える。

 そっか、画伯三人目か。面白くなってきたね。配信者的にはやっぱりちょっと羨ましいかもしれない。


『凄い、黒子なのにわかる』

『よく黒子の絵で個性出せるなフロルは』

『前髪の先だけ見せる、そんな手が』

『これが格の差ですか……』


〈改めて実力差エグい〉

〈ポージングで個性って出るんだなあ〉

〈しかし脱線しているのである!〉


 もう修正不可能だね。仕方ないし、そういうゲームだ。

 次のマギにゃには「黒子の雪」で伝わって、その次が……ちよりん。早くも二度目の登場だけど、果たして。


「まあ黒子だ」

『くろこだね』

『黒子、書く要素なさすぎて逆に描きやすかったです』

『まあ黒子ってか黒い人型を描くしかないしな』

『フーちゃんって凄いんだね』


 まあ黒子は目立たないものだからね、シンプルな出で立ちをするものだ。その分だけ描きやすい。私はちょっと欲目を出したけど。

 陽くんはなかなか洞察力がいい、このお題で黒子を見たらそれだけで雪と結びついたようで、「黒子(雪)」と回答されていた。


『なんか、伝言ゲームとしてはまあまあ成立してる?』

『時々事故ってるとこ以外は割と伝わるもんだな』

『これならおもってたよりはいけてるのかも?』


 だけど私たちは知っている。そんなわけがないものはまだまだ残っていると。






 どんどん行こう。次は……私のお題だ。


『犯人を突き止めたアンリさん』

『ああ、これか』

『あったよね!』

『わかりやすくて助かったものです』


 おおむね感触はよさそうに感じるけど……七人もいるから、それぞれの配信画面で出している2Dモデルは自身のものだけだ。だからそれぞれが、特に今発言しなかった人がどんな顔をしているかはわからない。

 わかりやすく描きやすい、同期ならさすがに知っているポーズでまとめられるお題にはしたけど……そういう問題ではないことはわかってきている。さて、鬼が出るか蛇が出るか。


「あ、みゃーこか。なら大丈夫だ」

『信頼が重い!?』

『フロルちゃん、先輩たちとはまた別のベクトルで都ちゃんには全力で信頼してるよね』

『……いや流石だわ都。模範解答だこれ』


 みゃーこは完璧、まさに描かせたかった構図そのものだ。要はこのお題は公式の模倣だからね、箸休めのようなものである。

 しっかりちよりんに伝わって、次がマギにゃ。


『上手いね』

「うん、バッチリ!」

『これマギアのだったのか』


 こちらも見事だった。こちらは自信ありげだった通り、マギにゃはどうやらかなり上手い。残りも期待できそうだ。……あれ、このお題でこの二人を消化しちゃったんだ。後が怖いな……。

 なんて思いつつ陽くんがしっかり受け取ったところまで見届けていたら。


『『『あっ』』』

『終わった……!』

『君たち、私のことをなんだと思っているんだい!?』

『がはく』


〈あっ〉

〈これは……〉

〈詰んだな〉

〈他の画伯二人まで絶望してて草〉

〈マギにゃこんないいキャラだったのか〉


 マギにゃは最近だんだん寸鉄で人を刺すようになってきたよね、じゃなくて。

 みんな散々な言いようだけど、まあそれでこそ同期ということでアンリさんの声にも美味しく思っていそうな色が含まれている。


 一応、まだアンリさんが伝わる絵を描いた可能性は……残念ながら残っていない。だって今、この後の最終回答者であるゆーこさんまでハモっていたから。

 そして案の定、


『…………え?』

『アンリさん……これ、自画像だよね……?』

『都にガチ心配されてんな……』

『おかしいな。少なくともベレー帽は伝わると思ったんだけれど』

「私もそう思ってお題出したよ」


〈なんだこれ……〉

〈これはひどい〉

〈\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!〉

〈ベレー帽……どこ……?〉


 もはや冒涜的とすらいえるものが出てきた。一応、お題を知っている上でなら、色使いだけは普通だからどこがどれかはわかるんだけど……これをノーヒントで当てろというのは、だいぶ無理筋かな。

 システム的に同じ前後の並びになることもあるとはいえ、アンリさんの絵を二回見せられたゆーこさん、かわいそうに。いや、ゆーこさんがそう言えるかは残り二枚にかかっているんだけど、でもこれを見て腕の形と色合いだけでも見切って「スーパーマンアンリ」は頑張ったよ、うん。

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