コーヒーブレイク
お分かりでしょうか。
まぁ、こちらの方はそれをお望みでしたので。それはそれで幸せといえるのかもしれません。
他人の本当の感情なんてものはわかりませんよ。表ではどんな美しい演技だってできます。裏ではどんな酷いことだって、できますから。
それが人間でしょう? 違いますか?
人間は欲望の塊だと言われておりますが、確かにその通りだと思います。欲に負けた人間は、それは恐ろしいものですよ。……いえ、この話はまた別のときにいたしましょうか。
わたし達がなにかを得るときは必ず、それと同等の価値があるものを犠牲にしなくてはいけません。富、名声、権力……。それだって失うものがあって初めてその価値に、自分の愚かさに気付く。後悔も喜びも紙一重。たったそれほどの差でしかないのです。
人生も同じですよ。何かを犠牲にして自分が幸せになる。幸せになるためには大切ななにかを失わなければならない。単純な足し算です。しかしなかなか難しいのが面白いのではありませんか?
もちろんそれに気付かないまま亡くなってしまう方もいらっしゃいます。お客様はどちらでしょうか。
こちらの『本』をどうぞ、お客様。
権力に踊らされて自分を見失った、憐れな王の一代記にございます。