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狂える継母に鮮血を  作者: 黒崎吏虎
プロローグ
2/6

第2話 反社会勢力暗殺組織・「闇雲の露」(アウェイク・トリガー)

サブタイにもあるような「反社会」、これが本作のカギを握ります。

 アナトは毒を飲んだことすらも覚えていないミシュエルに呆れたような、唖然とした顔を浮かべた。


だが念のため、どこまで覚えているかを聞いてみる事にした。


「お前………何処まで覚えてるんだ?」


「………すみません………名前以外は、何も覚えてなくて………」


「はあ?? なんだ、そりゃ………ったく、面倒くせえ女を拾っちまったモンだな、オイ………つまり行く宛も帰る宛もない、そんなところだな?」


「………そんな、ところ………でしょうか………」


アナトは「そういうことか………」と半ば嘆き気味で呟き、椅子に腰掛ける。


(参ったな………ロクシャームの貴族である事は確かなんだが………身元が分からねえとどうしようもねえんだよな………しかもこの毒………出血毒に加えて後遺症に神経に、特に()()()()()()()()()()作用があるからな………助かっただけ奇跡としか言いようがねえが、何か強烈な出来事が今後ねえ限りは………身元も何もわかったモンじゃねえな………)


アナトはミシュエルに声を掛ける。


「………なあ、ミシュエル………行く宛がねえんだろ? だったら俺の所に来るか?」


「え? でも此処は………アナトさんのご自宅、ですよね………??」


唐突な天然発言をかますミシュエル、想定とはズレた回答にアナトは思わずズッコケた。


「誰がどう見てもそうだわ、俺の家だってのは!! ………ったく、そうじゃねえってんだよ、アホタレ………()()()()()()()()()()、って話だよ………」


「仕事場………?? 貴方は何をされているのですか、アナトさん?」


「………言っちまえば少し長くなるがな………ロクシャームは治安が良くねえんだ、簡潔に言っちまうとよ。俺はその暴動を起こすような、この国に害を成すような勢力を取り締まる組織にいるんだ。」


「組織………アナトさんは………軍人、なのですか?」


「軍の人間じゃねえよ、俺は。()()()()だ、ミシュエルの綺麗な顔が………まあ、血と負の感情で澱むような、そんな仕事に俺はいる。」


そう言ってアナトは血が付いたナイフを取り出した。


危険な仕事だ、ということを示す上で心理的影響を与えるには丁度いい。


「どうすんだ? このまま家に居てもいいし………俺と共にその仕事をやるのも一興………お前が決めろ、ミシュエル。」


選択を迫られたミシュエルだったが、どちらにせよアナトの下にいるのは確定の口振りを彼はしていた。


記憶を失う前は自死を望むくらいには生きる希望も見つけられなかったのだ、どうせ希望もないなら_____自分が何者かを知ることが出来るなら、そう考えたらミシュエルの心にその躊躇いは一切なかった。


「………行かせてください、アナトさん!! その仕事場に!!」


「別に断る理由もねえが………いいのか? 一瞬で死ぬかもしれねえ、そんな覚悟して臨まなきゃいけねえところだぞ?」


「私は………私が何者かを知りたい………それに………」


「それに?」


「生きる目的が何も無いなら…………()()()()()()()()()()()()、そう思ったんです………!! だから私も行かせてください!!」


ミシュエルは真っ直ぐな目で訴えかける。


アナトはミシュエルのその曇りない瞳から滲み出る“狂気”を見た。


(ハッ………面白え女だ、コイツは………目ぇ自体は世間知らずのソレだが、底知れねえイカれ具合が気迫(オーラ)になってやがる………!! ミシュエルは………超優秀な暗殺者になるぜ………!!)


アナトはニィッ………と笑った。


そしてバッグを背負い、こう言った。


「気に入ったぜ、ミシュエル………着いてこい、そこまで言うならよ………」


「ハイッ!!」


アナトはミシュエルを連れ、仕事場へと向かっていった。





 約40分掛け、王都「シディエス」から少し離れた街・「リリウス」の外れの町へとやってきた2人。


リリウスはかなり空気が重く、血と死臭が入り混じった、そんな場所だった。


「………色々気になるだろうがよ、俺から離れんじゃねえぞ? 何があるか分からねえからな、女1人はとにかく危険しかねえ。」


ミシュエルはアナトの忠告に頷きながら進んでいく。


そこから約5分歩き、アナトの「職場」へと到着した。


「着いたぜ………ここだ。」


ミシュエルはゆっくりと、建物へと入っていった。


リビングに入ると、そこにはクセの強そうな男女がひしめき合っているような場所だった。


「任務は終えた。その上で新入りも連れてきたぜ。」


アナトは前の任務で得た報酬の入った麻袋とミシュエルを差し出した。


ミシュエルの目の前には、色黒の肌に剃り込みの入った金髪、イカついサングラスを装着した大男が。


「………ミシュエル、と申します。」


「フン………いい名前だな。ウチは来る者も去る者も拒まねえ。裏切り者には容赦しねえがな………歓迎するぜ、ミシュエル。」


その大男は椅子に座り、足を組んだ。


そしてミシュエルにこう告げた。


「ようこそ。()()()()()()()()()・『闇雲の露(アウェイク・トリガー)』に。」

次回から、「新しい事」にチャレンジしていく所存です。

次回は第1章が開幕します。

本編はメンバーの紹介と初任務です。

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