可愛い女の子は弱い
オーラは片方の手で涙を拭い、そっぽを向いて話し始めた。
「それで、これからどうするんだ?」
「んー取り敢えず、この手放してくれない?」
「ご、ごめん」
素早く俺胸倉から手を引いた。
ここまでこいつ一緒にいて分かったことは、『弱い』と言われたら相当心に来るようだ。
でも実際オーラの強いところなんて見たことないしなぁ。
ちょいと確かめてみるか。
「なあオーラ」
「何だ?」
首を傾げてこちらを見ている。
「お前って、何の能力使えんの?」
オーラの肩が震えた。
こいつまさか——
「いやいや、治癒能力くらいは使えるだろ?」
頼む。使えてくれ。
しかし、
「使えない」
首を横に振ったのと同時に、そう言った。
「マジかよ……」
もはや何て言ってやればいいのか。俺には言葉が見つからない。
「で、でも、剣術の腕は立つ方だ」
自分を弱いと認めたくないのか、真剣な表情で言い切った。
それを信じるか信じないか。それはもちろん信じない。信じられるはずがない。
「そうか」
でもここでは適当に頷いておいた。
色々言い返したらめんどくさそうだから。
「だから私は決して弱くない! それは分かっていて欲しい」
「はいはい」
さてと、どうやってギルドの連中を部下に——じゃなくて、仲間にしようか。
取り敢えずこの女は使えないこと確定。
となれば、俺が一人で頑張らないといけないってことになる。
唸っている俺をただただ眺めているオーラ。
横目でオーラの視線を感じながら考えていると、一つの案が思い浮かぶ。
「シンプルにいこう」
「ん? どういうことだ?」
「戦いに勝った方の言うことを聞く! みたいな感じの作戦」
「上手くいくとは思えない。まず、話さえ聞いてもらえそうにないだろ」
確かにオーラの言う通り、話を聞いてもらえる可能性はゼロに等しい。
でも、この女を上手く使えばその確率はグーンと上がる。
ジロジロとオーラを見つめていると、難しそうな顔をして首を傾げた。
「よし。オーラが決闘を申し込もう!」
「は?」
間抜けな声がオーラの口から漏れ出る。
口をポーカンと開けているオーラはずっと黙ったまま俺を見つめていた。
「弱くないんだろ? なら大丈夫じゃーん!」
言うと、オーラの表情がパッと切り替わる。
先ほど自分で言っていた言葉を思い出したのか。
「あ、ああ。弱くない。断じて弱くなんかないんだ! だから私が決闘を申し込む!」
何という自信に満ち溢れた姿なのか。どこからそんな自信が……。
「任せた。それに、可愛い女の子からの頼みなら、あっちも断れねえだろうよぉ」
「え? それって……」
「行くぞ~」
オーラの言葉を遮り、再び俺たちはギルドの本部に足を運んだ。
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