ディオーネ
神が従えるこの国の名は、ディオーネ。
ディオーネには、四つの都市が存在し、東の都市、西の都市、南の都市、北の都市と分離されている。
ディオーネの民は、三千年前に、神からそれぞれの都市に存在する死神を殺せと命じられた。
神の命令に従って死神を殺すか、神のために働くしか選択肢はないと神は言ったらしい。
それに背いた民は、抹殺される運命。
神の命令は絶対。
だが、神の命令を実行できた民は、三千年経った今でも、存在していない。
そして、神の命令の背いたうえに、神を倒すなどほざいた少年が、今さっき東の都市に誕生した。
その名は、ゴウ。
*
オーラの家で話し合って一晩が経った。
俺とオーラは二人で、東の都市屈指のギルド本部に足を運んでいる。
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって~。俺がいるから問題なーし」
キランと歯が輝くが、オーラはそんな歯に一切視線を向けなかった。酷い。
程なくしてギルド本部に辿り着く。
「ここかぁ~。結構でかいんだねぇ」
「う、うん。かなりでかいな」
この子ビビっとるやないかい。
「それじゃ」
俺が《攻撃アップ》を使おうとすると、オーラがそれを必死に止める。
「何してる⁉」
「何って、この扉ぶっ壊すんだよぉ」
「ダメだ! そんなことをしたら話も聞いてもらえないぞ!」
「あぁ~! 確かにそうだな!」
オーラは「ダメだこりゃ」と言って頭を抱える。
言われた通り扉は壊さず、コンコンとノックをして中にいる人を呼び出すことにした。
すると、顔を真っ赤にした不潔な男が顔を見せる。
全然強そうでもないし、このギルドの雑用か何かだろう。
「ねえねえ。お前ら俺の部下になれ」
「はぁ⁉」
オーラは眉間にしわを寄せ、声を上げる。
真っ赤な顔の男も首を傾げて、睨みつけて来ていた。
「何言ってんだお前。帰れ」
一瞬にして、目の前から真っ赤な男の姿は消え去り、冷たい風が俺たちの肌を刺激した。
「馬鹿か」
「馬鹿じゃない」
「いや、馬鹿だ。ゴウは馬鹿だ」
「うむ。馬鹿かもしれない」
「認めてくれてありがとう」
オーラは罵った後、一人のこのこ歩き始めた。
「おいおーい。どこ行くのぉ?」
「ゴウと一緒にいたら、変人だと思われる。それが嫌なんだ」
「そんなこと言うなって!」
一秒もかからずにオーラの道を塞ぐ。
ピタッとオーラの動きが止まった。
「どいて」
「嫌だ。一緒に作戦考えようぜぇ!」
「作戦考えたって、どうせ作戦通りに動かないだろ」
そう言われれば確かにそうかもしれない。作戦なんかに動きを縛られたくないしな。
「オーラが弱そうだから相手にしてもらえなかったんじゃねえの?」
次は人のせい。
オーラも呆れを通り越して無視していた。
「おーい。オーラさん? 生きてます~?」
ピクリとも動かないオーラに話しかけるも返事が返ってこない。これ死んだ?
ツンツンと頬を突くが、ビクともしない。
「んー。俺のこと嫌いすぎじゃね?」
「当たり前だ」
「うわっ⁉ ビックリした」
急に声を発したと思えば、俺の胸倉を掴んできた。
「人のせいにするんじゃない! 私が弱そうなのと、相手にしてもらえなかったのは、全く関係ないだろ!」
半泣きのオーラは唾を飛ばしながら意見を突きつけてきた。
「ごめん」
流石の俺も謝るほかない。
読んで下さってありがとうございます!
「面白かった」、「続きが気になる」
と思ったら、
下にある☆☆☆☆☆から作品への応援お願いします!
面白かったら☆5つ、つまらなかったら☆1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです!
何卒よろしくお願いします!