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ある世界の男は我儘最強レベル  作者: 平カケル
3/10

強さ

 突然耳に響いた声。

 俺とオーラはピタリと固まる。

 ゆっくりと牢屋の外に視線を向けると、そこには大柄の男が突っ立っていた。


「商品が喋ってんじゃねえ!」


 俺は再びオーラに視線を戻し、


「誰このデブ?」

「ひぃ⁉ そ、そんなこと言うなバカ!」


 デブという単語はどうやらNGだったらしい。


「てめえ。誰に向かって——」


 大柄の男は牢屋のカギを開け、中に入って来る。

 見る感じかなりお怒りのようだ。


「ねえねえ。何かあのデブ怒ってるけどさ、ラッキーじゃない?」

「だからデブって言うなバカ! で、何がラッキーなんだ?」

「何がって、牢屋開けてくれたじゃん!」

「はぁ? 何を言ってるのだゴウは。牢屋が開いてもあの男がいるし、何しろこの鎖が邪魔だし」


 オーラは慌てふためくように早口で言う。

 でも俺には、今言ったことの意味がよく分からなかった。


「何こそこそ話してやがる」


 大柄の男が俺の下までやって来た。


「はいはい。いったんデブは黙っててくんね? でさでさ、この男がいるのと、鎖が邪魔ってどういうこと?」

「何だとてめえ!」


 デブはいったん無視して、さっきの話の続きだ。


「だ、だからゴウは何言っているの? この男がいたら逃げられないし、何しろこの鎖に縛られている限り自由には動けないだろ」

「え? じゃあさ」


 バキッ——。


「えぇ?」


 オーラはただ目を見開いて、唖然としているだけ。

 大柄の男も全く同じだ。


「鎖壊しちゃえば良くね?」

「うそぉ」


 すぐに消え去りそうな声がオーラの口から漏れ出る。


「何だてめえは。どうやって鎖を壊した!」


 大柄の男は警戒したのか、数歩後ずさる。

 右手にはナイフを持ち、それを俺に突きつけている。これ以上近づくなと言わんばかりに。


「それで、このデブがいたら逃げられないっていうのは——」


 俺は一瞬にして男の目の前まで移動し、腹に一発パンチをぶち込んだ。


「ガハッ」


 男はたった一発のパンチで気絶し、その場に泡を吹いて倒れる。


「このデブを倒せば解決ってわけ!」


 グッドポーズをオーラに見せつける。


「何その強さ……」

「そんなに驚くことか?」

「驚くに決まっている。それにあの速さ《超速移動》の持ち主なのか?」

「まあねぇ」


 一通り片付いたことで、オーラの鎖も壊してあげた。


「あ、ありがとう。一週間ぶりの自由だ」

「いいえ~。それじゃ、脱出しますか!」


 俺が突っ走って牢屋から出ようとした時、突然後ろから「待って」と呼び止められた。


「どうした?」

「私の剣を取り返さないと」

「剣って、オーラ剣士だったの⁉」

「そうだけど」

「剣士がそこら辺の人さらいに捕まっちゃったわけ?」


 馬鹿にしたように言うと、オーラは顔を真っ赤にさせて言い返してくる。


「剣士だからといって、強いとは限らない! 弱い剣士だっているんだ! 私とか……」


 今度は怒りを含んだ表情ではなく、悲しさを含んだ顔を向けてきた。

 触れたらいけない部分に触れちゃった気がする。


「あーごめん。ちょっと言い過ぎたかも」

「別にいい。私が弱いのが悪いから」


 そんなことを言われたら何も言えねえって。

 はぁ。仕方ないな。


「剣取り返してやるから元気出してくれよぉ」

「う、うん」


 横目でオーラの潤んだ瞳を見た後、俺たちは牢屋から出て、剣がある場所に向かった。


読んで下さってありがとうございます!


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