プロローグ 出会い
暗い空の下、辺り一面に広がる芝生の大地。
そこで一人の少年が、疲れを癒すために眠っていた。
「兄貴。あいつとかどうです?」
木陰に隠れている小柄な男が、隣に立つ大柄な男に訊ねる。
「ああ。あいつにしよう。これ以上ボスを待たせたら、俺たちがどうなるか分かんねえ」
「ですね兄貴。それじゃ早速——」
「やるぞ」
大柄な男の言葉を合図に、二人は一斉に動き出す。
眠っている少年の手と足を拘束し、大きめの袋に無理やり押し込む。
袋の口を縛って、ようやく二人は安堵した。
「や、やりましたね兄貴」
「ああ。ボスに届けるぞ」
「はい」
少年が入っている袋を二人で担ぎ、ボスのいる本部に足を運ぶ。
一〇分程で辿り着き、二人でボスの目の前に膝をつく。
「「ただいま帰りました」」
「ご苦労」
足を組み、堂々と肘をついて座っているボスと呼ばれる男。
不敵な笑みを浮かべた後、早速袋に触れる。
「あ? この触り心地——男じゃねえか?」
「「ひぃ⁉」」
「てめえら、俺は女を攫って来いと言ったよな?」
「す、すみません。いくら探しても女がいなくて……」
「フンッ。冗談言うなよ。この世から女が消えたとでも言いたいのか?」
今にも飛んできそうな拳に怯えながら、大柄の男は笑って見せた。
「あはは。まさかそんなわけないじゃないですか」
「てめえ。何笑ってやがる」
「え⁉」
(今の冗談じゃないの? 笑うところじゃなかったの?)
大柄の男の額には、滝のような汗が流れている。
「まあいい。取り敢えずこの男を、地下の牢屋にぶち込んどけ」
「「はい!」」
小柄の男と大柄の男は少年が入っている袋を担ぎ、地下に運んだのだった。
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