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0: リーフェット




『貴族の娘らしく、目上の者や年長者には従順でいなさい。お前は、ただでさえ外れの魔術しか授からなかった哀れな子なのだ。逆らわず、差し出されたものを受け取り、祝福を授かった方々を敬いその手助けをしなさい。お前のような娘に、それ以外にどんな生き方があると言うのか。私とて、お前にも一族の固有魔術が受け継がれていればと何度思ったか。だが、これでは……』



深い溜め息を吐いた父の最後の言葉を、リーフェットは敢えて聞かないようにした。

その言葉を聞いたら、必死に生き延びようともがいている心がばらばらになって、二度と元通りにならないような気がしたからだ。



ばちん。

ばちんと、よくしなる鞭が手のひらに鋭く振り下ろされる。



これは躾の為に用いられる一般的な手段であるらしく、血が滲みずきずきと痛む手のひらをそっと握り込み、両親や兄や姉達の望む子供になれない自分を恥じた。



悲しかった。



誰にも愛されなくて、思うように生きられなくて、悲しくて堪らなかった。

どこかに行きたいのに、どこにも行けない。

どうにかして自分の価値を示して胸を張りたいのに、いつまでも誰からも愛されない落ちこぼれのまま。



込み上げてくる涙を呑み込み、リーフェットはいつだって、胸の中から弾け飛びそうな願い事を心の奥に押し戻しながら生きてきた。

だから今日も、役立たずなリーフェットに魔術を教えてくれた教師に深々と頭を下げ、躾けだと鞭を振り下ろされて痛む手を隠し、はらはらと雪の降る窓の外を見る。


窓に映ったのは、暗い目をした少女だ。

紫銀の髪に淡い水色の瞳のせいで、雪景色に溶けてしまいそうに見える。




『慎ましく生き、家族や、仕えるべき相手の決めた事に決して口答えしてはならない』



(…………本当に?本当に、そんな風にしか生きてはならないの?)



そう言われて生きてきたし、それ以外の生き方を知らなかった。

それでも、見合った場所に根を下ろして、一度でいいから、自分の願いや運命をこの手で選び取ってみたかった。



けれども、その度に繰り返し聞こえて来るのは、両親や兄や姉達の嘲りの声なのだ。

そして、優秀な妹や、リーフェットを見て一族にこんな落ちこぼれが生まれるだなんてと顔を顰めた教師達の声も聞こえてくる。


リーフェットはいつも不幸せだったが、一族の繁栄に貢献するだけの才能を持たない以上、どこにも行けないのは致し方なく確かなことなのだろう。



だからこそ、妹の修める魔術を手助けする為に力を付けよと学びに出された隣国の魔術学院で、申請していた治癒の補助魔術や薬草魔術の適正が低過ぎるので、別の学部を選び直すようにと言われたとき。


手のひらに転がり落ちて来た思いがけない幸運に飛び上がったリーフェットは、生まれ始めて、自分の欲しいものを選び取ることにした。



「…………ほら、やはり医療系の魔術は君の資質には合わないだろう?………このあたりの魔術はどうだ?音楽の祭壇に、花紡ぎ、………ああ、君は何かを作りたいんだな。となると、インクや刺繍はどうだろう?」



リーフェットに新しい魔術を示してくれたのは、たまたま学院の式典に訪れていた、その国の魔術の王様であった。


おずおずと手を伸ばし、色とりどりの刺繍糸に触れて目を輝かせたリーフェットに微笑みかけ、初めて扱う刺繍を見てくれた王様は、楽しそうだねと褒めてくれる。

生まれて初めて褒められたリーフェットはすっかり嬉しくなってしまい、王様が、内緒だよと言って買い与えてくれた刺繍道具を抱き締めた。


だから勿論、リーフェットが選んだのは、色とりどりの刺繍糸を扱い、針と糸で美しい刺繍を作り上げてゆく刺繍魔術だった。

これ迄に目にしたどんなものよりも美しい魔術に心を奪われ、学院の紹介してくれた商店で働きながら刺繍糸を集めて真摯に学んだ。



家族に相談もせずに修める魔術を変えてしまったが、今回ばかりは、学院の、それも学院を治めるその国の王様の側から提案されたのだから仕方ないではないか。

そう思い、それでも少しだけ怖くて悲しくて、くすんと鼻を鳴らす。



(でも、私はやっと私の運命を、自分の手で動かした気がする………)



誰からも愛されないのならせめて、リーフェット自身が愛するものを見付ければいい。

だからきっと、いつかはこの魔術を手に胸を張って、自分の人生を自分で切り拓いてゆけるだろう。




けれども、そう願い手を伸ばした安易な選択は、愚かなリーフェットを針の魔女として処刑台に送ることになる。

裁判の席で、遥か高みにある王座から悲しげにこちらを見ていたのは、リーフェットの運命の日に刺繍道具を贈ってくれた美しい王様だった。






そして今、かつてリーフェットを処刑台に送った王様は、少しだけ後ろめたい顔をしていた。


針の魔女として処刑の日を迎えた夜にリーフェットが処刑台から逃げ出したのは、もう数ヶ月前のことになる。

そして、こちらの王様は、逃亡先のリーフェットを五日で見付け出した。


こうして見せる表情が本物かどうかは分からないけれど、今の王様、アンブランの考えている事はお見通しだ。

だからリーフェットは、本日の課題として渡されていた紙を掲げ、美しい元王様にずいっと迫る。

凍えるような目をしたリーフェットに劣勢だと気付いたのか、すかさずにっこりと微笑んだアンブランことアンは、ぞくりとするような美貌のせいでとてつもなく胡散臭い。



「私に課題をやらせている間に一人で出かけ、またお菓子屋さんで散財してきましたね?」

「リーフェットが、今日はとても………頑張っているようだから、こうしてお土産に木苺のタルトを買ってきたよ。僕もとても頑張ったから、このくらいのご褒美は必要ではないかな」


アンはにっこり微笑んでそう言うが、少しも視線が合わない。

リーフェットは、そちらがそういうつもりなら、こちらにも考えがあるぞと目を細めた。


「………では、今日こそ私の刺繍の図案に合格を出して下さい!……なぜ目を逸らしたのでしょう?」

「………どうして、祝祭の刺繍に蛇の死骸を描いたんだい?」

「そんな訳ないでしょう!!いちご!苺ですからね?!苺の絵です!!」

「そんな馬鹿な………?!」

「………私はとても傷付いたので、このお土産のタルトは全て没収します!!!」

「ひどい!どんなに頑張っても、謎の生き物にしか見えないのに!」

「………今の言葉で更に傷付いたので、買い置きの焼き菓子も没収します」

「何て恐ろしいことを言うんだ。僕は、甘いものがないと死ぬんだぞ………?」



この王様は、リーフェットの刺繍魔術の勉強を見ると言ったくせに、書き溜めた構図案を見せると弱ってしまうのだ。

そんな日々が続けば、何かの事情があって騙されているのではないかと疑いたくなるのも致し方あるまい。


少し粘ったがやはり今回も却下だと言われてしまい、刺繍の図案を描いた紙を片付けながらじっとりとした目でアンを睨むと、こちらを見たリーフェットの初恋の王様は、困ったように微笑み、手を伸ばして頭を撫でてくれた。


タルトを取り返そうとしているだけなのかもしれないが、リーフェットは、こんな風に優しく触れる指先に未だに慣れなくて、いつも困ってしまう。



「…………なぜ、撫でるのですか?」

「僕のリーフェットが可愛いから、だろうか。………君はとても疑い深いけれど、僕はこの通り何も企んでいないよ」


(でも………)


凄艶な程の美貌を、どこか人好きのする生き生きとした表情で隠してしまうアンは、けれども時折、どきりとするような酷薄な眼差しで人々を見ていることもあるのだと、リーフェットはもう知っていた。



(だからあなたは、…………やっぱり、処刑台から逃げ出した私を追いかけてきて、殺そうとしているだけなのかもしれない)



けれども、リーフェットがそう言えば、アンはいつものようにそんなことはないぞと慌て弁明するのだろう。

しかし、かつて、冴え冴えとした美しい声でリーフェットを処刑とする判決に承認の言葉を発したのはこの人なのだ。



そんな老獪な魔術王の本音を探り、どんな理由でリーフェットと共にこの国で暮らし始めたのかを確かめるだけの技量なんてない。

リーフェットは、気付かれていないと思っているのか、こっそりタルトの入った紙箱を自分の方に引き寄せている初恋の人を見る。




ギャレリーアン・ブランシール。

アンブランや、アンと呼ばれる彼は、癖のある白銀の髪に光を孕むような青緑の瞳の美しい男性だ。

学ぼうとした魔術に適正がなかったリーフェットに刺繍魔術を与えてくれて、その指先で紡ぐ魔術を褒めてくれた、たった一人の人。


そして、リーフェットを針の魔女として処刑した国の、魔術を司る王様だった人。



(…………こんな風に、一緒に暮らすようになるなんて思いもしなかった)



色々な出来事が絡まり過ぎて、今がある。


だからもう、リーフェットはアンの事をただの恩人で、初恋の人だとは思えなくなった。

その手で処刑されると知った日の恐怖や絶望はそう簡単には消えないだろうし、リーフェットにとってのたった一つの宝物のような思い出を粉々にした人なのだという思いもある。



でもリーフェットは、どういう訳か、偽物かもしれない今の暮らしがとても好きだった。

やっと本当に欲しいものが見付かったのだから、今度こそは後悔しないように、この願いをぎゅっと掴んでいようと決めたのだ。



(………だからもし、あなたがいつか、私を殺そうとしても)



そんな事が出来ないようにさせてしまえばいいのだ。

アンの思惑などを吹き飛ばすくらいに、リーフェットがこの王様を捕まえてしまえばいい。


一つだけ残念なのは、これが素敵な恋物語で、リーフェットが美しい女性として美貌の王様の心を動かしてみせる展開もあった筈なのに、今のリーフェットにはそれがあまりにも難しいということなのだけれど。



「おいで、リーフェット。抱っこしてあげよう」

「ぐるる………」

「どうしてすぐに威嚇してしまうのかなぁ。…………ほら、そんな小さな足じゃ歩いていると疲れてしまうだろう?」

「いいですか。いくら今の私でも、家の中を動いたくらいでは疲れません!」


アンが伸ばした手にすぐに捕まって抱き上げられたリーフェットは、あんまりな子供扱いに憤慨し、幼児特有のちびこい手足でじたばたした。



現在のリーフェットは、諸事情により子供姿になってしまっている。



かつては大陸を震撼させた針の魔女が、今やこのちびころ具合とはどういうことなのか。

針の魔女という肩書きはリーフェットを利用した人々が作り上げたものなので特に未練もないが、それはさて置き、成人に至る年齢を経てから子供姿にされたのはさすがに堪えた。



「何だろう、この生き物………。可愛いしかない………」

「い、今すぐ解放して下さい!!これでも私は、立派な淑女なのですからね?きっと、すぐにでも元の姿に戻ってみせます!!」

「もう解術は諦めて、ここでのんびり暮らすのも悪くないだろう。少なくとも僕は、仕事から戻ってきた時にこれからも可愛いリーフェットを抱っこしたい……」

「そちらのご都合で、いつの間にか諦める方向になっていません?!」



大暴れするリーフェットを軽々と抱いて、アンはご機嫌で厨房に向かう。


(…………あ、)


にっこりと微笑んだ初恋の人を見上げ、文句を言おうとしたリーフェットは、不意に翳った美しい青緑の瞳を見て胸が潰れそうになった。



「………おっと。タルトならともかく、君を落としたらさすがに困るな。ごめんよ、一度下ろしても?」

「…………また眩暈ですか?昨日もあまり寝ていませんよね?」

「折角、この国でも面白そうな仕事を見付けたんだ。今は、こちらの有用性を理解して貰う為にも、無理のしどきというものだよ。それに、………無職でいるとお菓子が買えないからね」

「そろそろ、節約という言葉を覚えてみましょうか」

「…………子供姿の君に言われると、とても悲しくなるのはなぜだろう」

「それは、アンがいい大人だからかもしれませんね」

「リーフェット、ご褒美は大人にこそ必要なものなんだよ?」



そんな風に軽口を叩いてみせても、アンの顔色はあまり良くない。

だが、リーフェットが心配になってじっと見ていると、にっこり微笑んでそんな不調をさらりと隠してしまう。

このあたりが、腹立たしいくらいに巧みなのだ。



(当然のことだけれど、何が起きているのかを、私に教えてくれるつもりはないのだわ………)



こちらに来てからのアンは、こうして、酷く具合が悪そうにしていることがある。

病気や怪我の類ではなさそうなので、魔術の障りや呪いを受けているのかもしれない。

しかもそれは、魔術師としてはまだ未熟なリーフェットにすら、このままではあまり望ましくない顛末になると想像がつく程であった。



(多分、アンに残された時間は………あまり長くない)



彼は、こんな状態だからこそせめてここだけは自分の手で幕を引くべきだと考え、かつて彼が与えた刺繍魔術で多くの国を滅ぼしたリーフェットを追いかけてきたのかもしれない。


そう思うと堪らなく悲しかったけれど、こうしてアンが難しい状況に置かれていることは、リーフェットにとっての絶好の機会でもあった。



(だって私は、この生活を終わらせたくないのだもの)



だからリーフェットは、何とかして、アンを生かす術を見付けようとしていた。


アンの命を削っている要因を探り出して解決してしまえば、なんて頼もしいのだとリーフェットに懐かせしまうことも夢ではない。


因みにこれは、ふざけている訳ではなく、魔術師というものの生態に基づいた作戦である。


学院で大勢の高名な魔術師達を見てきたリーフェットは、偉大な魔術師程、未知の魔術にとても簡単にたぶらかされてしまうことをよく知っていた。

それはもう職業的な資質という範疇を超えた病的な生態であった。


魔術師の王だったアンにも、分かりやすくその傾向がある。


昨日だって、リーフェットがお散歩中に、最近きな臭い動きがあると噂に聞いた隣国の不審な船を沖に見付け、新しく作った魔術で追い払おうとしていた時も、呆然と目を瞠ってリーフェットを凝視していたくらいだ。

魔術で掴んでえいっと遠くに放り投げただけなのだが、もう一度見せて欲しいと周囲をうろうろしたので、叱らねばならなかった。




(………でも、目的を達する為には、幾つもの問題を解決しないといけないわ)



何よりも、アンの抱える問題は、決して容易なものではないだろう。


何しろ彼は、どれだけ弱っていても大陸の魔術を統治した魔術王その人である。

そんな彼が手こずるほどの問題を解決するとなると、何としてでも、これまでにないとっておきの刺繍を完成させなければいけなかった。

その為にまずは刺繍魔術そのものの階位を上げなければならず、こうして、元の姿に戻る為だと嘘をついて魔術の指導をして貰っている。



(それなのに、まだ合格を貰えないだなんて………)


刺繍図案の下書きをくしゃりと握り締め、リーフェットは、残り時間の少なさに溜め息を吐いた。


針の魔女とまで言われた筈のリーフェットの絵がそんなに下手な訳ではない筈なので、こうして毎回合格にならないのは、何か魔術的な失陥があるのかもしれない。


アンだけなら時間稼ぎをされているという見方も出来るが、リーフェットの後見人になってくれているこの国の騎士も、下絵を見せたところなぜか憐憫の眼差しでおやつをくれたので、他者の目には明らかな癖や構図の問題があるのだろうか。



(だとしても、半月後までには絶対に完成させなければ!)



半月後に迫っている大きな災いの嵐の日までには、絶対に特別な刺繍を仕上げなければいけなかった。


リーフェット達が抱えているのは、アンの体調不良や互いの過去の関係という問題ばかりではない。

 

リーフェットを追いかけて迷い込んだ見ず知らずのこの土地で、仮初めの居場所を得る為に国の要職に就いたばかりのアンの周囲には、政治的な思惑や悪意が既に幾つか見え隠れしていた。

そして、そんな思惑の筆頭である国の王族の一人が、まだ新参者のアンに、国家を揺るがす程の災いの嵐の対策を丸投げしたのだ。


もし、予測されている通りの規模の嵐が来た場合、かつて大国を治めた魔術王とは言え、今のアンの体にはあまりにも負担がかかり過ぎる。


それをどうにか軽減しなければとリーフェットが取り掛かっている刺繍魔術は、この国の魔術の流れを上手く循環させて、アンが自分の体を損なわずに本来の魔術を扱えるようにする為の、かなり大がかりなものだった。



(それだけ広範囲の魔術を動かせば、もし、階位上げが間に合わなくて仕損じた場合には、当然その責任を負う事にもなる)



結ばれた魔術が祝福になるのか災いになるのかは、出来上がってみなければリーフェットにも分からないので、リーフェットがやろうとしていることに気付いたアンが、今度こそリーフェットを殺すかもしれない。



(でも、私はもう二度と、自分が選ばなかった未来のせいで自分の矜持を失うような事を繰り返したくない。………やっと、私の人生をやり直す為の機会を得られた。私が心を捧げたこの魔術を、初めて自分の願いの為に使う事が出来るのだから)




だからきっと、リーフェットはこの選択を後悔はしないだろう。

もし、その刺繍を完成させることで、今度こそ本当に針の魔女になってしまうのだとしても。




しかし、それとこれとはまた違う話である。



「アン、…………どうして箱を開けてタルトを食べているのでしょう?」

「あ、甘いものを補給しようかなと……。あれ、もしかして怒ってるのかい?」

「具合が悪そうだからと、私がアンの魔術薬を作っている間に、オレンジのタルトをこっそり一人で食べていたんですね?タルトの前に、まずは薬からだと言いませんでしたか?…………そこに座って下さい。興味津々だった船を投げ飛ばした魔術を、体験させてあげましょう」

「ちょ、リーフェット、落ち着こうか。君がやると本気で僕でも粉々になるからね?!ほら、タルトを食べよう!!」

「食べかけのものを貰っても嬉しくありません!………むが?!」

「うん。沢山食べるといい。やはり、子供は食いしん坊に限る」



リーフェットは口の中に押し込まれたタルトをもぐもぐしながら、ぴっと指先を持ち上げた。

それを見て真っ青になったアンが走って逃げていったので、追いかけるふりをしてアンの寝室に押し込んでしまう。


後は、安眠の魔術をかけて寝かしつけておけば一安心だ。



「ふぅ!」



一仕事を終えて額の汗を拭ったリーフェットは、おやっと首を傾げた。

アンを寝かしつけてしまったとなると、晩餐は誰が作るのだろう。


屋敷にある調理台はたいへん遺憾なことに大人用で、椅子を引き摺ってきても使い勝手が悪い。

お隣の公爵家に暮らしている後見人に恵んで貰ってもいいが、このちびころな体ではそちらに行くのも一苦労ではないか。



「……………しまったぁぁぁぁ」




かくしてリーフェットは、決心した直後にまた、後悔する羽目になったのである。






本日の18時までに1話と2話を更新します!


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