表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/101

第8話

 翌日の朝、テレポリングで王都に飛んで

ギルドに顔を出すと、受付嬢が二人を見つけて、


 「お待ちしていました。お願いする荷物は

ギルドの奥の解体場に用意してあります。」


 二人を解体場に案内すると、そこには

山積みになっている荷物とギルマスのシールが。


 「これ全部持っていけばいいの?」


山になっている荷物を見上げながら

ティエラが言うと、申し訳なさそうな顔をした

受付嬢が、


 「ええ。お願いできますか? お二人が

アイテムボックス持ちだというと皆さん

いっぱい持ってこられて。」


 「ああ。これくらい大丈夫だ。

気にしなくていい。」


 「悪いな。レン、ティエラ。なんとか頼む。」

 

 解体場に来ていた シールの言葉に

全く問題ないと言いながら次々と

アイテムボックスに荷物を仕舞っていく。


 ティエラも同様にするとあっという間に

荷物が解体場からなくなった。


 「本当に便利ですね。」


 あっという間になくなった荷物、

受付嬢が感心した様に言うと、


 「ほかに無いかい?」


 「ええ。これでかなりの間はもつと思います。

ありがとうございました。」


 「レン、ティエラ、ありがとうな。よろしく頼む」


 シールの言葉にレンは手を上げ、ティエラは

軽くお辞儀をしてから解体場から離れていった。


 王都を城門に向かって歩きながら


 「とりあえず村に飛んで物資を届けてから、

村の周囲をチェックしてみよう。」


 「そうね。それからイフリートの火山に行く?」

 

 「ああ。そうしよう。ドラゴンの話も

聞けるかもしれないしな。」


 方針が決まると、城門から外に出て、

そのままテレポリングで北西に飛んでいく二人。


 北西の村の前に飛んでみると、以前火山に

行く時に立ち寄った村とは思えない程、

堅牢な城壁に覆われていた。


 「これは丈夫そうな城壁ね。」


 「ああ。これなら相当持ち堪えることが

できるだろう。」


 そんな話をしながら開けられた

城門から中に入っていく。


 出迎えに出てきた衛兵に


 「ベルグード所属の冒険者。ランクAの

レンとティエラだ。王都ギルドに頼まれて

補給物資を持ってきた。」


 そう言うと、衛兵の背後にいた冒険者から


 「レンとティエラが来てくれたぞ。」


 歓声があがる。


 出迎えた衛兵は、


 「わざわざすまなかった。

補給物資はここに出してくれるか。」


 指示された村の中央の広場にアイテムボックから

大量の物資や食料を取り出すと、

それを見てまた歓声が上がる。


 大きな山の様に積み上げられた補給物資を見て


 「これは助かる。これでしばらくは大丈夫だろう。

レンとティエラも知ってるとは思うが、

王都からここまでの道路も以前ほど安全では

なくなってきていて、我々や王都の騎士、冒険者が

退治はしているんだが、それでも物資を運ぶ輸送隊が

何度か魔獣の襲撃を受けていてね。

このままの状態が続けば厳しくなるところだったんだ。

改めて礼を言う。」


 礼を言われたレンとティエラは、


 「いやいや、こっちはテレポリングもあるし

アイテムボックスもある。今後も定期的に

補給物資を運んでくるから安心してくれ。」


 「そうそう。全然気にしなくていいから。それより

この先の北西の村からは高ランクの魔獣はこちらまで

出てきているの?」


 ティエラの問いには騎士ではなく冒険者が応える。


 「俺たちも北西の森の方までは行けてないから

はっきりした事はわからないが、

おそらく今この村の周辺にいる魔獣や魔人は

北西の森じゃなくてそこに行くまでの途中にある

瘴気溜まりから出てきているんじゃないかと思ってる。」


 「その理由は?」 レンが問うと、


 「元々ここで見かけなかったランクAやBの魔獣なんだ。

ゴブリン、トロルってのは魔王復活まではランクCクラスの

奴しかいなかったからな。」


 「なるほど。となると火山の麓の森の魔獣は

魔王が復活しても森から出てきてないってことか。」


 「その辺りはわからん。こっちは村の防衛と

王都までの道中の安全確保に追われていて、

北西方面はほとんどノータッチなんだよ。」


 冒険者の答えにレンとティエラは頷きながら、


 「わかった。じゃあ俺たちがこの村から

北西方面を見てくる。途中で瘴気溜まりがあったら、

それも対応しておくよ。」


 そう言うと冒険者たちが次々に、


 「レンとティエラなら安心だな。

村は今日の補給物資で当分はもつ。

王都までの道路の確保と村の防衛はこっちに任せてくれ。」


 お互いの役割分担が決まったところで、

この日は村の宿屋に泊まることになった。

 

 宿屋の酒場で遅くまでこの村の冒険者達と

情報交換をした翌日、二人は城門から外に出て

徒歩で北西に向かって歩き出していった。


 村から北西方面は元々道がなく、

草原のようなところを探索スキルを使いながら

火山の麓にある森を目指していく。


 「いるわね。確かにランクAのゴブリンだわ。

以前見なかったわね。」


 ティエラの言葉にうなずきながら、レンも


 「ランクAのゴブリンが3体か。

とりあえずやっつけるか。」


 そう言うと、二人、無造作にゴブリンに近づいていく、

二人に気づいたゴブリン3体のうち、

1体が魔法の詠唱を開始するが、それを

ティエラの魔法で中断させ、そのまま絶命させた。

 

 残り2体は唸り声を上げながら二人に向かって

突っ込んでくるが、ランクAは二人にとっては

雑魚同然で向かってくる魔獣の動きも

スローモーションの様に遅く、魔獣が近づいて

攻撃してくる前に二人の件がゴブリンの腹を割いて

絶命させた。


 魔石を取り出すと何もなかった様に

再び北西に向かって歩き出す二人。

その後もトロルのランクAが5匹固まっていたが

二人の敵ではなく、さっくりと討伐し魔石を取り出して

進んでいく。


 途中で野営をし、道なき道を進みながら

探索スキルに入ってくる魔獣を討伐して北西に進む二人。


 村を出てから4日目の昼間


 「あれか…。」


 「そうね。ここから見ても澱んでるのがわかる。」


 二人の目の前に瘴気溜まりが見えてきた。


 瘴気溜まりになっている沼はそれほどの

大きさではないが完全に空気が澱んでいるのが

遠目からも分るほどになっている。


 二人はゆっくり歩いて近づいていき、


 「間違いない。ここが瘴気溜まりだ。

ここ以外にもあるかもしれないが、まずはここを

どうにかしないとな。」


 レンはそう言うと、沼の周りを一回りしてきた。


 「川はあるにはあるが、この沼からは結構離れている。

水路を作るのはそれなりに大変そうだ。」


 「じゃあ。どうしようか。」


 暫く沼のほとりで立っている二人、その間に

瘴気溜まりからランクAの魔獣が誕生すると、

即魔法で討伐している。


 「村の冒険者の人に工事に来てもらう? 

私とレンが見張りをしながら。」


 ティエラの提案に、


 「俺もそれを考えていた。それしかないよな。

でもせっかく冒険者に工事してもらうならここ以外に

あるかも知れない場所も同時にした方がいいから、

とりあえずこの沼は放置して他にあるかどうか

調べてみようか。」


 二人で再び北西に歩いていく。 魔獣、魔人と

遭遇するがまるでそこに何もなかったかの様に

さっくり倒しながら進んでいくと、

数日後ドラゴンが支配している山裾に着いた。


 「他には気になる場所はなかったわね。」


 そして山を見上げながら続けて、


 「ここに来るのも久しぶりね。」


 「あの時にここにいたのはランクAの魔獣。

それがどうなっているのか。そしてドラゴン達は

今でもここに君臨しているのか。確かめてみるか。」


 二人で無造作に山の中に踏み入れていく。

しばらくすると探索スキル上に敵を表す

複数の赤い点が見えてきた。


 「ランクSね。 やっぱり山の中の魔獣のランクも

上がっているわ。」


 「そうだな。でも山からは出てきてない

みたいだよな。」


 そんな話をしながら赤い点に向かって

近付いていく。

 森の木々の間からランクSのオーク達が

たむろしているのが見えて、


 「さっくり倒しますか。」 「そうしますか。」


 鞘から片手剣を抜いて近づいていくと、

二人に気づいたオークが一斉にこちらに向かってきた。


 既にレベル90を超えている二人にとっては

ランクSも雑魚扱いで雄たけびを上げながら

近づいてくるランクSのオーク5体もあっという間に倒して、

倒れたオークから魔石を取り出す。


 その後も森の中を進み、探索スキルに映ってくる

ランクSやランクAの魔獣を倒していると、

森を抜けて火山の麓にある河原に出てきた。


 「瘴気溜まりはさっきの沼だけっぽいな。」


 「そうね。それにしても森の中の魔獣は

外に出てないみたいね。」


 ティエラの言葉に頷き、


 「イフリートに聞いてみよう。ティエラ頼む。」


 ティエラのテレポリングで火山の中腹にある

洞窟の入り口に飛び、並んで洞窟を入っていくと、

その最深部にイフリートのみならずシヴァ、

フェンリル、リヴァイアサンもレンとティエラを待っていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ