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第80話


 そうして80階、最深部に降りると目の前に扉があり

二人で目を合わせてから扉のレバーを動かして

扉を開けると、そこにはこのダンジョンの主の

フェンリルが奥の壁の前に座っていた


「こんにちは」


 ティエラが挨拶してボス部屋に入っていくと

ゆっくり立ち上がって


『どうじゃ?79階の攻略は?』


「だいぶ身体にも装備にも慣れてきた。

次からは短時間で80階に到達できる様に

殲滅速度を上げながら訓練するよ」


 フェンリルの前に立ってレンが答える


『LV78になったか。LV80まで

もうすぐじゃな。お前達には釈迦に説法かも

知れんが、気を抜くでないぞ』


「はい。 ところで最近新しいダンジョンが

できたって聞いたんですけど何かご存知ですか?」


 ティエラがフェンリルに質問すると、


『知っておる。西のリヴァイアサンのダンジョンと

同じレベルだろう。何層になっているかとか、

最深部に神獣がいるかいないかは教えられないがな』


「いや。そこまで聞きたいとは思っていない。

西のダンジョンと同じレベルと教えてくれただけでも

ありがたい話だよ」


『ふふ。相変わらずだの。それでお主らも

挑戦するのか?』


「とりあえずはこのダンジョンでLV80を目指すつもりです。

その後なら挑戦するかも知れません」


 ティエラの回答に満足げに頷きながら


『それでよい。足元をしっかり固めることじゃ。

よそ見をしたり、すぐに違うことをしたりする奴は

大成せん。常に信じる道を歩くものが最終的には

頂点にたどり着くのじゃ』


 フェンリルの言葉に頷く二人。


「ところで、最近瘴気がまた濃くなってきている気がします。

まだ一部のエリアだけだけど魔獣のランクが上がってきてる

という話もあるし」


 ティエラの言葉に首を振って頷くフェンリル


『その通りじゃ。ゆっくりとではあるが瘴気は

濃くなってきておる。この世界と異界と繋がっている

穴が大きくなって、瘴気の量が増えてきておるのは

間違いない。今後はお主たちだけじゃなく他の

冒険者達も瘴気溜まりを早めに処理していく事が

必要となるだろう』


「魔王誕生に向けた大きな流れは止められないって事か」


 レンが呟くと


「私達はできることをやっていくしかないわね」


 ティエラが続けて言う。


そんなやり取りをしているとフェンリルの背後に

魔方陣ができ、そこからシヴァが現れた


『久しぶりね。レン、ティエラ。鍛錬は順調に

進んでいるみたいじゃない』


「こんにちは。ええ。フェンリルが魔獣のレベルを

上げて再配置してくれたので、私達の鍛錬には

丁度いいレベルになってます。尤も攻略は

簡単ではないので苦労してますけど」


 現れたシヴァに頭を下げて挨拶してからティエラが言う


『今のフェンリルとのやりとり、聞いていたわよ。

瘴気については私達神獣は敏感に感じ取ることができる。


フェンリルが言ってた通り、ゆっくりとではあるけど

瘴気の量は増えてきている。まだ大きな脅威には

ならないでしょうけど、この傾向は残念ながら

私達でも止められないのよ。なので冒険者と言われる

人たちの活躍がどうしても必要なの。

今回の新しいダンジョンもそういう意図で誕生したと

思ってくれていいわ。』


「なるほど。よくわかった」


 シヴァの説明にレンが頷くと。


『ところで、2人はこのダンジョンでLV80まで

上げるのでしょう?』


シヴァの話しに2人が頷くと、


『LV80になったらまた世界が変わるわよ。

ジョブの特性が一段階あがるとそれに乗じて

加護の能力も同じ様に、いえそれ以上上昇するの。

今でもこの79階を無難にクリアしている貴方達なら

LV80になったら、恐らく低層を歩くがごとく

さっくりと79階をクリアできるでしょうね』


「それほどの差が出るものなの? LV70台とLV80って?」


『神獣の加護はレベルが上がると倍々で加護の効果が

アップするのじゃ。もちろんLV70台でもレベルが1つ

上がる度にそれなりに能力はアップしておるがな。


今シヴァが言った様に、それがLV80になると更に大きく進化するぞ。

お主たちはその力を正しい方向にのみ使うことが分かっておるから

我らもこうしてサポートしているのじゃ』


 ティエラの問いにフェンリルが答え、隣でシヴァも頷いている。


「ありがとうございます。頂いた能力は私達には

過分なものかも知れないけど、大事にそして正しいことにのみ

使う様にします」


 頭を下げながらティエラが言うと、フェンリルもシヴァも

鷹揚に頷き、


『たまには南の洞窟にも遊びにいらっしゃい。亜人の人たちに

薬をあげたついででも良いから。』


「わかりました。今度顔出しますね」


 ダンジョンの最深部の80階でダンジョン主のフェンリルと

シヴァと話をした二人はその後、80階の転送版から

地上に戻り、そのままベルグードの街に戻っていった。




 そしてそのままギルドに顔を出し、ギルマスのアンドリューに

新しいダンジョンについて報告を行った。

話を聞いたアンドリューは


「なるほど。西のダンジョン並みの難易度ってことか。

いい情報だ、助かる。これで探索する冒険者を

選びやすくなる」


「ただ、何階層あるかとか最深部に神獣がいるかいないかは

教えてもらってないからな」


 レンの言葉に


「そこまで教えて貰おうとは流石に思ってないさ」


 その後レンとティエラは相変わらずのペースで79階で

レベル上げを行っていた。

ギルドに顔を出した時に聞いた話では

新しい北のダンジョンにはランクAの4人組が潜っていて

5階層までクリアしてきたらしい。


 その辺りは魔獣のランクがCクラスなのでまもなく

一般開放されるだろうとの事。


 そうして1か月後、新しいダンジョンは既に一般開放され

多くの冒険者が鍛錬の場として潜っていった中

南のダンジョンの79階でレベル上げを続けていた2人は

ようやくLV80のアナウンスを聞いた。


 ハイタッチをしてLV80になった報告で再び最下層に

降りていく二人。


 途中の魔人も今までの討伐がうその様にさっくりと倒し、

魔法の威力も更に増していたのを実感してから

フェンリルとの対面となった。


 80階の扉を開けると、そこにはフェンリルはもちろん、

今まで加護を授けてくれたリヴァイアサン、シヴァ

イフリートも居て、二人が入ってきて背後の扉が閉まると


『よく頑張ったな。レベル80に到達、見事じゃ』


 このダンジョンの主のフェンリルが言うと

他の神獣達も同じ様に


『よくやった』


 と2人を褒めたたえる。


「正直きつかった。毎回同じフロアで

同じ敵を相手にしていると集中力が何度も

切れそうになって、それを維持するのが大変だった」


『それも訓練じゃ。高い集中力をどれだけの間

維持できるか。どうやら技術的にも精神的にも

また一段とたくましくなった様じゃの』


 リヴァイアサンが言う


「でもおかげ様でLV80になれました

これも皆さんのおかげです。ありがとうございます」


 ティエラの丁寧なお礼に神獣達の表情が和む


『これで私達から教えるべきことは全て教えたわよ。

あとは来るべき時に備えて、今までに身に着けたものを

忘れずに精進しなさい。まぁ貴方達なら何も言わなくても

そうするでしょうけどね』


 シヴァがそう言ってからその手を振ると

シヴァの手から出た光の粒がレンとティエラを包んだ。


『今貴方達に与えたのは繁栄の加護よ。

そう以前シヴァの涙を上げた時の加護と同じもの。


貴方達シヴァの涙を2つ共上げちゃったでしょう?

なのでもう一度私から加護を掛けてあげたの。』


「繁栄の加護…何から何までありがとうございます」


「皆さんの期待を裏切らない様に頑張るよ」


 ティエラとレンが口々にお礼を言うと

イフリートが、


『来るべき時が来たら、我らが頼りにするのは

お前たち二人だ。その時はよろしく頼むぞ』


 そう言うと、なんと4体の神獣が皆レンとティエラに向かって

頭を垂れた


「えっ!! いや、そこまでしなくても。ちゃんと

頑張りますから、そうだよね、レン」


 神獣に頭を下げられて恐縮する二人。


「ああ、頭を上げてくれよ。」


 ようやく頭を上げた4体の神獣が二人をじっと見る。

そうして暫くしてフェンリルが


『無事にLV80になったし、新しいダンジョンでも挑戦

してみたらどうだ?もちろん下に行けば行くほど

難易度はあがるが、一方で経験値稼ぎにはなるだろうし、

LV80で留まらず81,82を目指していくのも

悪くはないだろう』


「ありがとう。ただ、最近はずっとこのダンジョンに

籠りっぱなしだったんで、LV80になったのを機に

暫くはのんびりしようかと思っている。


亜人の村や俺の田舎に顔を出したりして。そして

リフレッシュできたら、北のダンジョンにも

行ってみようかと思ってる。


それより1つ聞きたいんだが、少し前、ランクSの

冒険者と話しをしたときに彼らが言っていたんだが

lLV80になるとサポートジョブってのが

つけられる様になるって話しだったんだけど、

それは魔法剣士以外のジョブってことになるのか?」


 レンの問いにフェンリルが顔を上げて


「その通り。サポートジョブは魔法剣士以外の

転生ジョブで、メインジョブがLV80になって

初めてつけられるものじゃ。

魔法剣士は既に前衛、後衛のジョブをこなせるから

サポートジョブはつけられない。そのかわりに

前衛、後衛共にレベル相当の力を発揮できる訳だ。

こっちの方がずっと良いだろう?」


「確かに」


 レンが言うと、横からティエラも


「今でも十分すぎる程の力を貰ってるし、

これ以上貰うのは申し訳ないよね」


「まぁさっきも言ったけど

これからはティエラと二人で来るべき時に

備えながらものんびり過ごさせてもらおうと

思っている。」


 レンの言葉を聞いてフェンリルはじめ神獣は皆頷き


『お主たちはやりたい事をやればよい。

常に王道を歩いているお主たちに間違いはないだろう』


リヴァイアサンが言うとシヴァが続けて


『私達は今までも、そしてこれからもずっと貴方達を

見てるわ。来るべき時、それまでの間に貴方達は

もっともっと成長するでしょう。その成長を見守るのも

私達の役目。


もちろん、いつでも会いに来て構わないのよ。

遠慮はいらないから会いたい時にこの4体の神獣の

どこでもいいからいらっしゃい。私達はいつでも

歓迎するわ』


「「ありがとうございます」」


 レンとティエラは深くお辞儀をして謝意を表した。



 その後も神獣と神獣に好かれた冒険者の二人は

いつまでもダンジョンの奥で語り合っていた…



【成長の章 完】



 最後までお読み頂きありがとうございました。始めての投稿で不慣れな部分が多く、

読みづらかったかも知れません。感想、アドバイスを頂き非常に勉強になりました。

ありがとうございました。

 

 何も宣伝せずに投稿していましたが、気がつけば多くの評価や

ブックマークを頂きありがとうございます。


この小説は【成長の章】として完結しました。


 今、この続編として【魔王の章】(仮)を書き始めています。

 私は書き上げてから投稿するスタイルなので、しばらく間が空きますが

書き上げましたらアップしますので、また読んでみてください。

その節はよろしくお願いいたします。


ありがとうございました。


                               花屋敷

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