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第8話


「挨拶が遅れた、わたしはここのギルドマスターをしているアンドリューだ」


 握手を求めてくるギルマスに握手を返しながら


「レン、赤魔道士だ」


「ティエラ、同じく赤魔道士よ」


 勧められるままにソファに並んで腰掛けると、その正面に座ったギルマスが


「ほぅ、ティエラも赤魔道士か。滅多にみない赤魔道士が二人か。ティエラは

どこで冒険者登録を?」


「カレストの街で」


「なるほど」


 頷いてから、レンを見て


「さっきの騒ぎはうちの受付嬢から聞いたがそれで間違いないかね?」


「ああ、その通りだ。奴が仕掛けてきたから止むを得ず止めた」


「わかった」


 頷くギルマスに


「というか、ちょうどよかった。こっちもギルマスに話しがあったんだ」


「ん?話」


「ああ、その前に俺たちのギルドカードを確認してくれないか?」


 レンとティエラがギルドカードを差し出すと


「二人ともLV43!! ちょっと待て、これはどういうことだ?

 受付嬢のキャシーから聞いたらレンはおとといLV20になったって。

どうして2日でこんなにレベルがあがるんだ?」


「だからその辺りの話しをギルマスにしたかったんだよ」


 身を乗り出さんばかりでテーブル越しに腰を浮かせるギルマスに

レンが冷静に言うと、


「なるほど、なんかありそうだな ちょっと待て」


 ギルマスはそのまま一旦席を立つと扉を開けてギルド職員に

ジュースを3つ頼み、それから受付嬢のキャシーにここにくる様に

指示を出し、出し終わると再びソファに座るとすぐにキャシーが

ジュースを持って部屋に入ってきた


「まぁ飲んでくれ」


 勧められるままにジュースを飲みながらキャシーにレンの

レベルの話をするギルマス。それを聞いたキャシーは


「えっ?? レン君、一昨日LV20になってダンジョンに行くって

言ってたばかりじゃないの。一体どうなってるの?」


「とりあえず話しをするよ、ティエラ、お前から頼むよ」


「えっ? わたしが話するの? まぁいいけど」


「ちゃんとフォロー入れるからさ」


 その後ティエラが話しをし、レンがそれを補足する流れで

ダンジョンでの出来事を話ししていく、

転送魔法陣で飛ばされたこと、二人で扉にフェンリルを挟んで

倒そうとしたこと、突然フェンリルが話かけてきたこと、

そしてフェンリルから聞いたこの世界のこと、ダンジョンの意図など…

ティエラがメインで話し、レンが時々補足する形で説明していく。


 長い話を黙って聞いていたギルマスと受付嬢。こちらが話終えると


「にわかには信じられない話しだな。ただ、レベルは確かに上がってる。

それ以外に何か証拠と呼べるものはあるのかい?」


 レンはおもむろにアイテムボックスからフェンリルの牙を

4本取り出してみせた


「アイテムボックスももらったのか。しかもこれ、

ひょっとしてフェンリルの牙か?」


 テーブルの上に置かれた牙を見て驚くギルマス


「ああ、これを持ってけば証拠になるだろうってくれたよ」


「ちょっと待て。貰ったって。レン、お前、

この牙の価値知ってるのか?」


「高価…なんだろう?」


「高価ってモノじゃないぞ、レン。キャシー、

この4本をギルドで買い取ったらいくらになるか

すぐに鑑定してもらってくれ」


「はい」


 いうなりキャシーは大事そうに4本の牙を持って部屋から出ていった


「ふぅ〜 話しがでかすぎてついていけないが 

どうやら嘘は言ってない様だな」


「嘘なんて言うわけないでしょ? 

こっちだって途中まで半信半疑だったんだから」


 ティエラがむくれて言うのを


「まぁまぁ、俺だっていきなりこんな話聞かされたら

何言ってんだ?こいつって思うぜ」


 すかさずレンが言う


「そうだけどさ、私たちが嘘ついてるって

思われてるのがしゃくで」


「ティエラさんだっけ、すまない。そんなつもりは無いんだが、

レンも言う通りちょっと想像以上の話になってたんでね、

いや申し訳ない」


 頭を下げるギルマス。


 しばらくするとキャシーが戻ってきた。興奮した表情で


「確かめてきました。間違いなく4本ともフェンリルの牙です。

すごく状態もいいので、ギルドでの買取となると

1本金貨100枚になります」


「ひ、100枚 ってことは4本で金貨400枚」


 思わず声をだしてしまうティエラ

金貨4枚もあれば普通の市民なら家族で1年近くは過ごせる

という中で400枚なら10年以上(100年近く)暮らせる金が…

思わずティエラと二人で顔を見合わせてしまう。


「そんなにすごいモノなのか」


 あまりに高価値過ぎて実感が湧かないレンがボソッと言うと、

ギルマスは


「これでこれが本物だと確定した。ということは二人の話も

本当だと信じるに足るってことになる。でだ、レン、

お前が聞いてきた話は公にしていいんだな?」


「ああ、フェンリルもそう言ってた。

冒険者の質をあげる為なら広めてくれて構わないって」


「わかった。とりあえず来月のギルマス会議で報告しよう、

一般の冒険者はその後にする」


「その辺りはギルマスに任せるよ」


 レンにしてみればこれでフェンリルとの約束は果たしたことになるし、

青のスカーフのことは言っていないし。


「そうそう、フェンリルが次回からは扉に挟まれる様なことには

ならないからやり方を変えて挑んでこいって言ってたぜ」


「そうだろうな、同じ手は2回は通用しないってことだ。

もっともその前に80層までたどり着くのが相当難儀なんだがな。

お前らみたいに転送魔法陣で最下層に飛べるって可能性は低いだろうし、

そういう意味ではダンジョンの難易度に何ら変わりはないな。」


 ひとしきり話ししてから、おもむろにギルマスが


「二人ともLV43になったんだな。キャシー、

彼らのランクをCに変更する手続きを頼む」


「わかりました」


「やったー!」


ティエラは声を出して喜んでいる


「赤魔道士はうちのギルドで過去何名かいたらしいが、

LV40超えは初めてじゃないかなこれからも頼むぜ、

レン、ティエラ 新しい歴史を作ってくれよな」


 立ち上がって握手を求めてくるギルマスと握手をしながら


「ところで、これから二人はパーティを組んでいくのかい?

ついでだからパーティ登録もしておいてやろうか?」


「レン、一緒にやろうよ。フェンリルも言ってたじゃん、

お主らに期待してるって」


 ティエラがそう言うが、自分ももとよりそのつもりだったんで


「じゃあパーテイ登録を頼む」


「わかった」


 新しいギルドカードと金貨400枚をその場で受け取り、

半分ずつにしてそれぞれアイテムボックスにしまい 

二人分の新しいギルドカードを受け取ると


「レン いろいろありがとう。いい報告がギルマス会議でできそうだ。

これからもよろしく頼む」


「「こちらこそ、よろしく」」


 ギルドを出ると並んで街中を歩きながら


「それにしても金貨400枚かぁ すごい金額だよね」


「だよなぁ 今までギリギリの生活してただけに実感がわかないよ。

とりあえず飯を食おうぜ」


 二人でレストランにはいってエールを飲み、

うまい肉料理をたらふく食べて…

食後のアイスクリームを食べながらティエラが


「ところでレン。レンの泊まっていた宿って

お風呂とかついてるの?」


「ついてる訳ないだろう? 1泊銅貨20枚の安宿に泊まってたんだから」


「じゃあ、いい宿に泊まらない?お金もあるし、

私お風呂にはいりたいのよ」


「風呂かぁ…そうするか」


 レストランを出て夕暮れの街を並んで歩きながら大通りに面している

旅館を回っていると1つの旅館で部屋にお風呂がある

<山花亭>という宿を見つけたが、


「2人部屋が1つしか空いてないって。どうする?」


「レンがいいなら、わたしはいいよ。」


 あっさり言われてそうするかと二人で1泊銀貨5枚の部屋に入った

広めの部屋に2つのベッド、トイレ、風呂も部屋の中にあって


「いい部屋じゃない。わたし気に入った。先にお風呂はいっていい?」


「どうぞ」


 ティエラが浴室に消えると、レンはベッドの上で仰向けに

寝ながら今日の出来事を思い出していた


 力だけじゃなくて心と技か…


 目を閉じながら考えていると


「どうしたの?」


 いつの間にか風呂から上がったティエラがレンの寝ている

ベッドの脇に立って寝ているレンを見下ろしながら声をかけてきて、


「ああ、フェンリルとの出来事を思い出していたんだ。

力だけじゃなくて心や技もレベルアップしろって言ってたことをね」


「そうね。とりあえず明日から二人で一緒に動きながら考えましょ?」


「そうだな、明日からまた動きながら考えるか 俺も風呂入ってくる」


 ベッドから起き上がると浴室に向かった。


最後まで読んで頂きありがとうございます

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