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第78話

 

再び南のダンジョンの79階に潜った二人

地上の探索時とは全く違う、戦闘モード全開で

通路に入る魔人と対峙している。


「だいぶ慣れてきたな」


「少し奥に進んでみる?」


「そうしよう」


 降りた入り口に湧く魔人を退治するのに慣れてきたのか

討伐時間も短くなっていき、

今日は奥に進んでいく。


「配置が変わってる」


「ああ、流石フェンリルだな。配置を変えてきたな。

そう簡単には攻略させてくれないか」


 通路には魔人が3体固まっていて


2人で遠隔魔法を一番手前に居た魔人にぶつける


 それをきっかけに3体の魔人との戦闘が始まった。

2人の魔法をまともに受けた魔人は其の場でうずくまってるが

残り2体は突っ込んでくるのを左手に持った片手剣で受け止め、

同時に右手の片手剣で相手に攻撃していく。


 ランクSSと魔人も更に1ランク上になっているが

レンとティエラも神獣の加護で能力が2倍以上になっており

2人の剣が魔人にダメージを与え、その場に倒れ込むと同時に

残り1体にレンが精霊魔法を撃つとその場で光の粒になって

消えていった。


「魔法はレジストされずにフルヒットしてるし

その威力もまたアップしているな」


「そうね。おそらくだけどさ、LV80になったら

精霊1発で倒せる様になってるんじゃない?」


「あり得る話だな」


 その後は再び79階入り口に戻って既に湧いていた

魔人1体を倒し、そして3体を倒すというローテーション

を続けてその日の活動を終えた。


 1日休んでその翌日

同じ様に最初の1体、その後は奥の3体を処理して

午前中を終え、79階に降りた階段の安全地帯で

昼食を取りながら


「昼食済んだらもう少し奥に行こう」


「ランクSSにも慣れてきたしね」


 そうして午後は更に奥に進んで行く二人

魔王城の宮殿内部を再現した通路を進みながら

あちこちに立っているランクSSの魔人や

同じくランクSSの魔獣を倒していく

最上級のオーガを倒したところで


<<レベルが上がりました>>


 脳内でレベルアップのアナウンスがあり

2人のレベルは76にアップした


「何かレベルアップが早くない?」


 ティエラが安全地帯の小部屋で

しゃがみこんで言うと


「恐らく、倒している相手の経験値が相当

多いんだろうな。何たってランクSSだし」


「そうだよね。レベルが上がったから

また倒すのが楽になるね」


「そうだな。でも今日はここまでにしとこう」


 そう言ってこの日の攻略を終えて

ベルグードに戻っていった。


 ギルドに報告したあとは

久しぶりに併設の酒場で他の冒険者達との

飲み会となった。


 他の冒険者は今やベルグードのNo.1の冒険者である

レンとティエラの活動の内容を聞きたがり


「レベル76か。80までもうすぐじゃないの」


「うちのギルドで過去LV80っていたのかしら?」


 そういう声にはティエラが


「でも敵も相当強くてさ、全く気が抜けないのよ。

一撃も重いし動きも素早いしさ。連続で戦うと

凄く疲れるのよね」


 心底ぐったりとした表情で言う。


「ティエラとレンって今相手してるのは魔人だっけ?」


 ティエラと仲が良い女冒険者の一人が聞いてくる。


「そうだよ」


「その魔人のランクってSなの?」


「ううん、ランクSSばかりだよ」


「「ランクSS?」」


 周囲の冒険者から一斉に驚きの声が上がる


「ランクSSってランクSより上だよな?」


「当たり前だろう?何言ってるんだよ」


 そんな漫才みたいなやりとりがあるほど他の

冒険者から見れば想像もつかないランクの相手で、


「レンとティエラが強いって言うから相当だよな。」


「うーん、どうだろう。2人で倒せているからな。

ただ、ティエラも言ってたけど一瞬も気を抜けないな。

こっちは二人だしさ。」


「なんかもう別次元過ぎて俺にはピンとこないぜ」


 そう言ってエールを飲み干す冒険者


 冒険者は殆ど全員、自分が一番強いと思っている。

なのでどこどこの強い魔獣を倒したとか、あいつを倒して

レアアイテムをゲットしたとか強さと装備自慢を

しながら酒を飲むのが普通だ。


 その結果、時々冒険者同士でいざこざが起きている。


 ただ、このベルグードだけは全くそういう雰囲気がない

レンとティエラという絶対的な強者の冒険者が

冒険者の頂点に君臨しているからだ。


 当人達は全くその気はないが、周囲から見れば

いくら自慢したところであの二人の前では霞んでしまう

ということと十分自覚しており、むしろ

絶対強者から何か得るものはないだろうかと

教えを乞う生徒の様な立場になっている。


「ところで、皆はどうなの?順調?」


 ティエラが今度は周囲の冒険者に聞いてみる


「西のダンジョンはもうすぐ32階に到達する

パーティがあるって聞いてるし、私達のパーティも

25階クリアしたわよ」


「凄いじゃないの レベル40代後半?」


「そう。LV47になった」


 そう言うと隣の冒険者がティエラに


「マリーのパーティは攻略組では2番手だよ。」


 それを聞いてティエラも


「凄いじゃないの、でも無理しないでね」


「それより南のダンジョンがきつくて」


 別の冒険者が話しかけてくる


「レン達以外で一番潜ってるのもせいぜい30階半ば位

だろう?」


「あっちは本当にいやらしいわよね」


「無理せず西のダンジョンでしっかりレベル上げてから

南に挑戦してもいいんじゃないの?」


 レンがそう言うと


「そりゃそうだけどさ。やっぱ行きたいじゃん」


「そう言って潜って、帰ってこなかった奴もいるぜ」


 レンのその言葉に酒場がシーンとなる


「俺たちだって南や西のダンジョンを全く

問題なくクリアしてきた訳じゃない。

途中でレベル上げで同じフロアにずっと留まった事も

何度もあるし。自分達が納得するまで前に

進まなかったな」


 隣でティエラがうんうん頷いている。


「敵が強いなと思ったフロアは無理に攻略しちゃだめだ。

たまたま上手くいったとしてもその先で間違いなく

取り返しのつかない大きなしっぺ返しを喰らう。


俺とティエラも何度か経験あるが、やばい奴、強い奴が

いるフロアは安全地帯をしっかり確保して

まずは1体を確実に、早く倒す訓練をして

自信をつけてからそのフロアの攻略を開始したもんだ。


もちろん、フロアの途中でまた安全地帯を見つけて

そこでキャンプして…の繰り返しだよ」


 周りの冒険者はじっとレンの言葉を聞いている。


「そうすると結果的に早く、比較的安全に攻略できるのよね」


 桁違いの強さを見せる二人でもそうして安全第一で攻略している

というのは周囲の冒険者達には新鮮な情報だった。


「レン達ならもっとサクッと行ってるのかと思ったぜ」


「そりゃ無理だ。相手をなめると碌なことにならないってのは

嫌というほど知ってるからな」


「魔法系の獣人にはどうしてるの?」


 別の冒険者の質問には


「詠唱時間が長い奴の時はこっちから先に魔法ぶつけて

詠唱を止めさせてる。あと、敵の魔法見てから避けるって

出来ないからな。詠唱終わったタイミング、

もうちょっと言うと敵の魔法の詠唱が終わる寸前で移動する

感じだと魔法を避けるのが成功する確率は高くなる」


 レンもティエラも聞かれれば自分達の経験を

惜しげもなく教えていく。


 そこにはベルグードの冒険者の頂点に君臨する

驕りも何もなく、ただこの仲間たちを死なせたくない

というその思いだけだった。


 そうして冒険者達と交流をしながらも二人は

79階に降りてはレベル上げを行なっていた。


 ランクSSの魔人はこちらが手を抜くと致命的な

傷を負わされるので慎重に退治しながらも

自分達が身につけているスキルを有効に生かす為の

試行錯誤も兼ねていろんなパターンでの攻撃方法で

魔人達と対峙していた。


「今のはよかったんじゃない?」


「そうだな。上手く魔法で足止めしながら

魔法系の魔人を処理できた。魔法系魔人が

いる時の複数の敵の処理は今の方法かな」


 1勤1休のペースでダンジョンに潜って

レベル上げをしていると、二人はLV77になっていた。


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