第68話
自宅に戻って数日ゆっくり休養を取った二人
最後の79階をクリアすべく南のダンジョンの入り口
に立っていた
「もう79階か。断トツの速さだな」
というギルド職員の声を背中に聞きながら転送版で
79階に飛ぶ
目の前にある宮殿内部を見ながら
「いよいよだな」
「うん」
それだけ言葉を交わすとお互いに一歩を踏み出した
77階、78階と比べて分かりやすい造りになっている様で
探索スキルで見てもほぼ1本道になっている
逆に言えば、逃げ道や迂回路が無いってことで
目の前に現れる敵を倒さないと前進できない。
こうなると正面突破しかないので広めの廊下を
並んで進んでいく。
正面にオークの最上級であるオークプリーストが
現れた。ランクはS+クラス
自身が白魔導士ジョブで回復しながらオーク
本来が持っている腕力で攻撃してくるやっかいなタイプだ。
遠目からティエラが精霊魔法を撃つと、ダメージは
与えられるものの、すぐにヒールで回復する。
回復しながらこちらに向かってくるオークに
「やっかいな奴だよな」
と言いながらもエンを付与した片手剣の二刀流を
構える二人
廊下で正面からぶつかる様にしてオークとの戦闘が
開始された。オークの攻撃を正面から躱しながら
エンの付与した片手剣を連続して攻撃するレン。
ティエラはその間にオークの背後に周って背後から
同じ様に片手剣二刀流でオークを削っていく。
合計4本の剣が前後からオークに襲いかかる
オークも両手両足を使って抵抗するが
背中側には攻撃できない。ヒールを掛けようと
しても絶え間なく攻撃を受けているので
それもままならず。
そうしている内にダメージが効いてきたのか
オークの動きが鈍くなったところで背後で
ジャンプしたティエラがオークの首を
切り飛ばした。
「時間はかかったけど、回復させなければ
ただ力が強いだけの魔獣だったな」
息も切らせずにそのまま廊下を進んでいく
今度は武器を持っている魔人が2体待ち受けていた
同じ様に精霊魔法を撃つと怯むものの
倒れずに突進してくる。
相手の剣を自分の剣で受けながらもう片方の剣で
魔人の脚や腹にいくつも傷をつけていく二人
ほぼ同時のタイミングで2体倒した。
「前衛ジョブ相手の方が楽ね」
「そうだな。このまま行こう。何となくだけど
魔獣のレベルは78階より上だけど、ダンジョン
の広さは逆に狭くなっている気がする。」
その後も魔人以外にオークキング、
トロルキングなどそれぞれランクがS以上の
相手を倒しながら進んでいく二人。
廊下は幅は広いものの、進んでいくと
曲がり角が徐々に多くなっていき、
一方で敵は密集してきた。
「レン、こっちの2体は私がやるから奥から来てる
3体をお願い」
「わかった!」
戦闘中のティエラの横を走り抜け、通り際に
トロルの腹を片手剣で払ってダメージを与え
廊下の先から近づいてくる3体の魔人に突っ込んでいく。
魔人の動きよりも素早い動きをするレンを
魔人達は捉えられない。両手にもった片手剣を
振り回して魔人の手首を切断し、武器を弾き
飛ばして、そのまま魔人の股の間を通って背後に周り
後ろから背中を袈裟懸けで切り裂いていく。
2体を倒したティエラも合流するとあっという間に
3体を葬り去った。
そして二人共気付いた。探索スキルに80階に降りる階段が
見えていたことに。
目の前に次から次と敵が現れてきていたので
探索スキルを見る暇がなかったのだ。
「この曲がり角を曲がるとあとは一直線だな」
「うん。もう少しだね。気を緩めずに頑張ろう」
敵がリポップするまでのわずかな時間で水分を
補給すると、最後の曲がり角を回る
真っすぐな廊下が暗い先まで伸びているのが
見えるが、同時に廊下に立っている魔獣の
姿も見えた。
こちらに気付いた魔獣2体、1体がその場で
魔法詠唱を開始したのを見て精霊魔法で
手首を狙い、杖を弾き飛ばす。
そしてそのまま2体に突っ込んで行く二人
4本の剣であっという間に武器を持った
魔獣を倒すと、その奥にいる魔法系の
魔獣に片手剣で殴り掛かっていく。
結局魔法を詠唱さす前にそいつも倒して
更に奥に進んで行く。
その先には魔人が2体、二人を待ち構えていた
「こいつらは強いぞ」
「わかってる」
醸し出している雰囲気が今までの魔人とは違うのを
感じ、エン魔法を付与してゆっくりと近づいていくと
2体の魔人が剣、槍をそれぞれ構えながらレンと
ティエラの二人に向かって突進してきた。
その突進スピードも今までの魔人より1ランク上の
速さであることを見抜いた二人はその場で動かずに
相手の動きをじっと見て、そうして
振り下ろされた、
「うっ、力も強いな」
左手に想像以上の衝撃を受けたレンが呟く
隣のティエラも歯を食いしばって魔人の
片手剣を自分の左手の片手剣で受け止めながら
お互いに右手の剣で魔人の脚を狙って
剣を横に払う。
切断こそできなかったものの、大きく切られた脚
派手なわめき声を上げながら無茶苦茶に武器を
振り回してくる魔人の動きを見切って躱し、
隙ができると片手剣で同じ個所を何度も
切り裂く。
5,6回その攻撃を続けるとついに魔人の動きが鈍ってきた
そのタイミングを逃さずに攻撃の速度、威力を
上げていく二人。
そうしてほぼ同時にジャンプして魔人の首と胴体を
切り離し、2体の魔人の討伐に成功した。
魔人が倒れた先には下に降りる階段が見えていて
思わずその場でハイタッチする。
「やったね!」
「やったぜ!」
階段を降りるとそこは懐かしい場所だった。
正面には扉、そしてその横に扉を開けるレバー
「私達、また来られたのね」
「ああ 今度は誰からも文句言われない
正攻法での攻略で来た」
そうやってしばらくその場で佇んでから
レンがレバーを上げるとゆっくり扉が開いていった。
今回は短めです