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第61話


 二人が帰った後ティエラが


「最後何を耳打ちされてたの?レン

ひょっとして、次回は本気でやれって言われた?」


「ああ、その通りだ。ティエラもわかってたか」


「もちろんだよ。最後の横払い、手首返してあれっ?

っと思ったら、すくいあげられる前に手首の力を

緩めたでしょ。普通ならレンが勝ってたね。

でもあのサイモンさんも強かったね。」


 あるいはとは思ってたが流石ティエラだ。

全て見えてた様だ。


「今回はたまたま勝てるチャンスがあったけど

お互いにフル装備でやったらどうなったか

分からないよ。それ位に強い人だったよ」

                  

「やっぱりランクSは違うのね。

それにしてもサポートジョブなんて

初めて聞いたわ」


 二人を見送ったティエラは自宅のソファに座っていた

レンの隣にドンと勢いよく座る。


「LV80以上がほとんどいないから

その情報が出回ってないのかもな」


「ねぇ、私達もそのサポートジョブって

貰えるのかしら?」


「無理じゃない?そもそも赤魔導士って

3ジョブ分の性能を持ってるんだぜ?」


「そうだよね。。あれもこれもって

欲出したら駄目だよね」


「そういう事」


 ランクSの冒険者との模擬戦を行った翌日

二人は再び南のダンジョンに向かった。


 74階に飛んでそのフロアを見渡すと

今までなかった空を飛ぶ魔獣が二人の

視界に入ってきた。


「ワイバーンがいる」


「このフロアからは空からの魔獣が

加わるのか。気を引きしめていくぜ」


 相変わらずの荒野のフロアに踏み出していく

空を飛んでいるワイバーンの動きに注意しながら

地上の魔人、魔獣を討伐していく


 進みだして暫くして魔獣を倒して進みだした

所で、上空のワイバーンが二人に気付いて

叫び声を上げながら向かってきた。


 左右に分かれてから向かってくるワイバーンに

同時に<<サンダー>>を撃つ。


 一度目は躱したワイバーンだが、2度目の

精霊が羽根と胴体に直撃すると

そのまま真っ逆さまに地上に落下していった。


「単体なら怖くないな。このまま進もう」


 荒野に転がっている岩場で休憩を取りながら

地上の魔人、魔獣と時折襲ってくる

ワイバーンを討伐して進んでいく二人。


 探索スキルを使用していたティエラが


「この先に安全地帯がありそうね」


「ああ。あそこまで行って休憩するか」


 その後もワイバーンが二人を襲ってきたが

その攻撃は上空から急降下して

鋭く尖っている足の爪で相手に傷をつけるもので、

その攻撃パターンが分かってからは

精霊で倒す場合と、急降下してくる

ワイバーンをギリギリで躱して、躱し際に

片手剣で身体を切断することで

地上と空から同時に攻撃されても

十分に対応ができる様になっていた。


 目標地点の安全地帯にたどり着いた二人は

周囲を確認してからその場で座り込んで

水分の補給をする。


 しっかり休憩してから再び荒野を

進んでいく。ランクSの魔人、魔獣

そして空からはランクSのワイバーン

それらを手際よく処理していきながら


「休む間も無く襲ってくるわね」


「魔族の領地ってこんなもんだろう?

ティエラ、右のオークは任せた。俺は

左の魔人をやる」


 二人ともほぼ無尽蔵のMPがあるので

続けさまに魔獣と戦闘になっても

全く問題はないが、これが普通の

冒険者のパーティならまず後衛は

間違いなくMP切れを起こしてしまうだろう。


 また前衛もちょっとでも気を抜くと

やられてしまうという位に

絶え間なく戦闘となっている。


 敵を倒しながらも荒野を進んでいく二人


「このワイバーンを倒したら前方に洞窟

らしき所がある。そこまでいくぞ!」


「了解」


 ワイバーンの胴体を片手剣で真っ二つに

切り裂いて、そのまま前方の洞窟に

走り込んで中に入る。


 奥行きは10メートル程でゆるやかな

カーブを描き、奥は壁で行き止まりに

なっている。


 探索スキルを作動して周囲の安全を

確認すると


「今日は、ここで野営だな」


 アイテムボックスからテントを取り出し

設営を終えると夜食を取る二人。


 夕食を食べながら


「本当の魔族の領土内にもこんな安全地帯って

あるのかしら?」


「どうだろうな。何と言っても勇者一行以外は

殆ど誰も行ってないだろう?情報が少なすぎるよな」


 魔族領は常時瘴気が漂っているといわれており

普段から訪れる人はいなく、軍隊等の

大人数を送り込んでも瘴気のせいでまともに

戦うことができる兵隊が殆どいないので

いつしか誰も訪れない場所となっていた。


 唯一100年に一度、魔王退治に勇者が

向かう時のみで、それも身体能力に各段に優れた

勇者及びその一行の話しが一般の兵士に

通用するわけもなく、結局未だに詳細が

解明されていない。


「まぁ俺たちはあくまで控えだしさ。

勇者がやっつけてくれたら出番が無いわけだし。

それよりもせっかくこんなレベル上げに最高の

場所を用意してくれているんだから

せいぜい利用させてもらおうよ」


「そうだね」



 その後は交代で睡眠を取って夜を過ごし

翌朝再び荒野を進んで行く。


 相変わらず空と地上の両方で魔人、魔獣が

攻撃してくるが、二人で分担して討伐し

危なげなくすすみ、その日の夕刻に

75階に降りる階段に到達。


 下に降りて転送版に記録したあと

習慣になっている次のフロアを見ていると


「ここのワイバーンは火を吹いてるな」


「これが本当のワイバーンだよね」


 火を吹きながら空を飛んでいるワイバーンを

見てから地上に戻っていった。



『順調に進んでいるみたいね』


『ああ。もう直ぐゴールの80階にたどり着くだろう』


『それにしても、この二人の戦闘能力は

半端なく強くなってるな』


『それに適応能力も素晴らしい。どんな敵でも

1度対戦するとその攻略の仕方を見つけている。

大したものだ。』


『二人ともお互いを信頼してるのがよく

分かるわね。いい夫婦よ』



 二人が街に戻ったころ、洞窟ではこんな会話が

されていた。


 それから2日はしっかり休んでから

今日は75階に挑戦

転送板で飛んでくると、この前と同じ風景が

飛んでいるワイバーンは時折火を吹いている。


「やることは一緒だ。炎だけ注意な!」


「OK」


 二人同時にフロアに飛び出していく。

最初に剣の魔人に精霊魔法を撃って注意を引き、

向かってきたところを左右から片手剣で

払って倒し、そのまま進むと空から

ワイバーンが急降下してきた。


 それをじっとみてブレスを吐くために

口を開けた瞬間にその場から移動して

二人で精霊魔法を撃つと、そのままワイバーン

が地上に激突して光の粒になっていった。


「口を開けるのが見えたら怖くないわね」


 ティエラの言葉に頷きながら荒野のダンジョンを

進んでいく。


 一撃でとはいかないものの、精霊でダメージを

与えられる様になっているので討伐自体は

楽になっていて、レベルが1上がったこともあり

気持ち以前より討伐時間が短くなっている

様な気がしていた。


 途中で野営をして、結局2日目の昼過ぎに

76階に降りる階段を見つけ、そのまま

下に降りて転送板に記録する


「76階も荒野か…魔獣の数が増えてるね」


「恐らくこの76階で荒野ダンジョンが終わり

だろう。77階からは魔王城の中の

造りのダンジョンになってるはずだ」


「魔王城の中か。レンの言う通りなら

どんな造りになってるのか、楽しみだね」



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