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第59話

 

翌日、テントなどをアイテムボックスに

戻すと再び72階の攻略を開始


 魔人は相変わらず2体から3体が

固まっており、


「ティエラ、魔法使いからやるぞ」


 遠距離から精霊魔法を2〜3発撃って沈めて

それから近接武器を持っている魔人を

それぞれが1体ずつ受け持って討伐

していく。


 遠距離から精霊魔法で数を減らし、残りを

近接戦に持ち込んで討伐していく

スタイルにも随分慣れてきて、討伐時間は

少しずつだが短くなっていった。


 そうしてようやく73階に降りる階段を見つけ

階段を降りて転送板に記録したところで



「景色が変わったわ」


 73階に降りた転送板のところから

ティエラがその73階のフロアを見渡し

ている


「俺の予想通りなら、今までの階層の続きが

この景色なんだろう。この景色がしばらく

続いてから魔王城の中の作りになっている

ダンジョンになるんじゃないかな」


 レンもティエラと同じ様にフロアを見渡して


「となるとまた一段と敵のレベルが上がってる

ってことだよね」


「ああ。また、気を引き締めていかないとな」


 そのまま地上に戻って72階までの記録をしてから

ベルグードに戻っていった。



 1日で1階層のクリアが難しくなり、フロアの攻略に

2日掛かる為に、二人の攻略スピードはスローダウンし

2勤2休、時には2勤3休になっていた。


 もっとも、攻略を急ぐ理由もない上に、ダンジョン攻略

以外にも他の用事などがあればそれを優先するなど

二人は今まで通りのマイペースで冒険者活動を行っていた。


 この日二人の姿はダンジョンではなく

潮風の香りがする港町ナスコにあった。

ナスコの魚市場に新鮮な魚介類を買いに来ていたのだ


 もちろん、二人とも自分達の必要な分のみの購入で

アイテムボックスを使って大量に仕入れて

ベルグードの街で売りさばく様な気全く持っていない。

商人の邪魔をせずに自分の欲しい分のみ魚市場で

購入して、ナスコの街中をぶらぶらと歩く。


「これでしばらく大丈夫ね」


「しかし、一杯買ったよな」


「だって美味しいんだもの。レンも好きでしょ?」


「そりゃな。水揚げされた直後の

魚や貝は本当に旨いよな」


 そんな話をしながらナスコの街中を歩いていると

名前を呼ばれて、その方向を向くと

ギルマスのスワンであった


「よう、レンとティエラ、久しぶりだな。どうしたんだ?」


 二人は気さくに話しかけてくるスワンに近づき


「美味しい魚介類の買い物に来たの」


「なるほど。ここの魚介類を気に入ってくれて

街の住民としてはうれしいぜ」

 

 スワンが笑顔で言う


「ところで最近南の森はどうだい?何か

変わった事はあった?」


 レンがスワンに聞くと即答で


「いや、お前達が退治して以来、静かなもんだ。

最近は以前と同じ様にランクCの冒険者の

狩場になってるよ」


「そりゃよかった。ところで王都に送った

金属や魔石の分析結果って出たのかい?」


「あれ? 最近途中報告が来てたけど、お前達のギルドには

行ってないのかい?」


二人顔を見合わせて


「そんな話しはギルドから聞いてないな」


「全く、王都の連中もいい加減な仕事してるな。

じゃあ今から一緒にギルドに行くか、俺の部屋に

その中間報告書があるから」


 そのまま3人で通りを歩いてナスコの冒険者ギルドに

入ると、そこにいた女性冒険者達がレンとティエラを見て


「あらっ、ティエラ、今日はどうしたの?

また魔獣退治?」


「ううん。今日はお買い物に来たの。そのついでで

ちょっと顔出し」


「そうなんだ。今度またゆっくり来てよ。お茶しましょ。」


 そんな言葉を聞きながらギルドのマスター室に入ると

机の上に積んである書類の1つをもって応接セットに

座ったスワンが、


「これだ。まずは読んでみな」


 手渡された資料に目を通すレンとティエラ


 その資料に書かれていたことを要約すると、

危険な物質についてはまだ分析が終わっていないが

遺伝子レベルに影響を与える極めて危険なもので

人間のみならず魔獣の目に触れない様にすることが

最重要だと書かれている。


 魔石については見た目以上に膨大な魔力が内蔵

されており、この魔力のコントロールが上手く

いけば、王都のエネルギーに革命がおこるかも

しれないと書いてある


 ざっと目を通したレンは


「おいおい、レアの魔石がどんな効果があるか

分からないうちから魔力の用途を考えてるのか?

万が一魔石自体にやばい物質が入っていたら

どうするんだ?」


 レンはあきれてスワンの顔を見ると

スワンも同じ様にあきれた顔をしながら


「全くレンの言う通りさ。この魔石と金属の欠片を

王都の錬金ギルドに送った時に付けた手紙でも

魔石についてもやばい金属の影響を受けてるかも

しれないから十分に注意してくれって書いていた

にも拘わらずこのざまだ」


「それほど王都って魔石のエネルギーが不足してるの?」


 横からティエラがスワンに聞くと


「いや、そういう話しは聞いてない。」


 と一旦言葉を切って声のトーンを落として


「これはあくまで俺の想像だが」


 と前置きし


「ここには王都のエネルギー事情云々って書いてあるけどな

こりゃ上辺の理由だ。本当は軍事用途に向けた

可能性を示唆してると思ってる」


「軍事用途?」


 ティエラが素っ頓狂な声を上げる


「あくまで俺の想像だがな。ティエラの言う通り王都で

エネルギー事情が悪いなんて話しは聞いたことが無い。

でもそう書いてるってことは裏があるってことだ。


裏の理由でピンとくるのは軍事用途だな。

北の奴らは虎視眈々と南の俺たちの領土を狙ってる。

それに対抗するために王都では武器の研究が盛んなんだよ。


今回の魔石についても王都の偉いさんから指示が

出てるんじゃないかなと思ってる。

ただ、こっちはもうあんなレアな魔獣はお断りだから

これ以上の協力はしないつもりだがな」


「この魔石から出るエネルギーが周囲にどういう

影響があるのか調査してから、

魔石の使い道の可能性の調査をするべきなのにな」


 レンの言葉に


「全くだ。こんな事は言いたくないが

お前らももういこれ以上この件に係らない方が

いいかもしれないぞ」


「俺たちはクエストをこなして、そこで出たものを

このギルドに渡した時点で終わったと思ってる。

こっちから絡んでいくことはないさ。」


 横でティエラも頷いている。


「わかった。幸いにもベルグードのギルドにはこの報告は

行ってない様だから、こっちからももちろん催促はしない

あとは勝手にしろってもんだ。」


 その後少し雑談をしてギルドを出て歩きながら


「やっぱり私達に王都暮らしは無理だね」


「いろんなことに巻き込まれそうだよな。

ベルグードでよかったよ」


 そう言ってテレポリングで自分達の街に戻っていった。


 

その2日後、二人は再びダンジョンに潜っていった

73階は景色が変わったとは言え、相変わらずの荒野で

徘徊している魔人のランクはS,そして魔獣のランクもS

となっていた。しかも大抵複数体で固まっている。


 探索スキルを発動させながら荒野の中を進んでいき

魔人、魔獣を討伐していく。


「ティエラ、左は任せた、俺は右をやる」


「了解。右の岩場の奥にも魔獣がいるから

気を付けて」


 左右に分かれ、それぞれが1体の魔人と対峙して

討伐し、その後は合流して岩場の奥にいた魔獣を

倒す。


 相当数の魔人、魔獣を倒しているが、なかなか

レベルアップの脳内アナウンスが来ないなと

思っていた頃,


 目の前の2体の魔獣を倒した直後に


 <<レベルが上がりました>>


 と脳内アナウンスが。戦闘が終わると、

二人ともようやくLV71になった。


 安全地帯の岩場の間に座り込み、水分補給をしながら


「70超えるとなかなかレベルが上がらないね」


「レベルアップに必要な経験値が60台の時と大違いだ」


 元々レベルは上がれば上がるほどNEXT必要経験値が多くなる

仕様になっていたが、それがレベル70を超えると

その必要経験値が今までとは段違いの多さになっている。


 それ故に自分と同等、若しくは弱めの魔獣を倒しているのでは

とんでもない時間が掛かるので、レン達の様に格上の相手を

倒し続ける必要が出てくる。

それでもかなりの経験値が必要となるのだが…


 暫く休んでから再び荒野を進んでいく二人

途中で野営をし、2日かけてようやく73階をクリアした。


「あ〜、疲れた」


 地上に出て大きく伸びをしているティエラに

ギルド職員が


「深くなるときつそうだな。お前ら二人でも野営前提での

攻略になっちまうのか」


「広いし、相手も強くなってるしね。

安全第一でやるとどうしても野営しちゃうのよね。」


 カードを記録しながらティエラが答える


「それでも73階クリアか…ゴールの80階が

見えてきてるじゃないの」


「ここから更に難易度があがる気がするんだよな。

クリアはまだまだ先だよ」


 レンが言い、ギルド職員に軽く手を上げてダンジョンから

離れ、ベルグードの街に戻っていった。


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