表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/101

第58話


 次の日は休養日。

 

 ゆっくり起きてきて庭でいつもの鍛錬を

終えた後、ティエラは友人の冒険者と

一緒にランチを食べると出ていった。


 レンは亜人に定期的に渡している薬品や

ポーションを買ってから一人でルフィーの防具屋に

顔を出した。


「おや、今日は一人かい?」


「ああ、ティエラは友達とランチに行ってる」


「そうかい。一人で来たってことは何か欲しい物が

あって来たって訳じゃななさそうだね」


「わかるかい?ちょっと教えてもらいたいことがあってさ」


「どうせいつも暇だし、知ってることなら教えてあげるよ」


 ルフィーに続いて店の奥に入ると、奥にテーブルがあり

その上には商品が置いてある、そのテーブルの上の

商品をどけてから、お茶を2つテーブルの上に置く」

レンが勧められた椅子に座ると


「さてと、何が聞きたいんだい?」


「この前の魔王と人間の争いについて、何か聞いてたり

知ってたりしたら教えてもらえないか?」


「80年前の話しかい。ふふ、エルフくらいしか

覚えてないだろうね。いいよ。私が知ってることなら

レンに教えてあげるよ。それにしても魔王だ勇者だと

妙なものに興味を持ったんだね」



 ルフィーが面白そうに言うと


「その理由は後で教えるよ。とりあえず

まずは勇者についてだ」


 お茶を一口飲んで


「勇者ってどうやって見つかるんだ?

生まれた瞬間からわかるのか?それとも

突然勇者ですってのが現れるのかい?」


 レンの問いかけに、レフィーは少し

考えてから言葉を選ぶ様にゆっくりと

答える。


「まず、勇者の生まれるタイミングだけど

これは詳しい理由は誰も知らないんだけど

魔王が誕生した同じタイミングで現れてるね。


勇者に選ばれた人は身体のどこかに勇者の紋章が

浮かび上がるんだよ。普通は左右どちらかの

手の甲に浮かび上がることが多いけどね。

それでその紋章が浮き出た人間を勇者と呼んでいるのさ」


「なるほど。となると年齢関係なく魔王誕生に

合わせてこの世界の誰かに紋章が出るってことか」


「そうさね。大抵は15歳以上の男女どちらか

らしいけどね。生まれたばかりの赤ん坊に紋章が

出たって、そいつが大きくなる前に魔王が世界

を支配しちまったら意味がないからね」


「確かにそうだ。で、勇者に選ばれるのは

一人なんだろう?他のメンバーはランクSの

メンバーだとしたら魔王なんかに勝てないのは

わかりきっているんじゃないのかい?」


 ルフィーはお茶のおかわりを自分で注ぎ、


「勇者になった人は勇者の加護ってのを

身に付けるんだよ。その加護は

同じパーティメンバーの能力をアップ

させるってものでね。最大4人まで

加護を受けさせることができる。


その加護を受けたパーティメンバーは

能力がアップされて勇者のサポートとして

魔王退治に行ける様になるってわけさ。

もっとも最大の能力を持っているのは勇者だけどね」


「なるほど、よくわかった。

次は魔王についてなんだが、魔王の強さって

どれくらいなんだろう?」



「流石に私もそこまでは分からないよ。

ただ、今までパーティ全員が無事で

魔王を退治できたって話しは聞いたことがないね。

毎回何人かが犠牲になっている。

勇者の加護を受けたとしても数名は

魔王にやられちまってるってことだね」


「となると、魔王ってのは半端ない強さを

持ってるってことになるな」


「そうなるね。今のあんたとティエラでも

難しいんじゃないの?」


 その言葉に頷き


「難しいどころかまず無理だろうな。

俺たち今南のダンジョンの攻略を

続けていて、地下70階に降りてランクSの

魔人が出てきているんだけどティエラとの

二人がかりでやっと1体ずつ倒している状態でさ。


ランクSの魔人相手に手こずっている様じゃ

魔王は一体どれほど強いのか、そしてその魔王を

倒したと言われている勇者はどれほど強いのか、

そう思って、それを聞きにここに来たんだよ。」


 ルフィーは納得して


「なるほど、そういう理由があったんだね。

確かにランクSの魔人単体に手こずってちゃ

魔王討伐なんて夢のまた夢だろうね。ふふ

でもまだまだ伸びしろはあるんだし二人とも頑張りな。

ひょっとしたら二人のどっちかに勇者の紋章が

浮かび上がるかもしれないしさ」


「勇者になるとかは興味はないんだけど

自分が強くなるのは興味あるからね。

いろいろ話を聞けて助かったよ ありがとう」


「いえいえ。ところでレンは今レベルいくつなんだい?」


「70になったところだ」


「70になったら魔人クラスならもう一人で討伐

できるんじゃない? それに、80になったら

さらに大化けするよ。そこを目指して頑張ってみな」


「ああ、そうするよ。ありがとう。お茶も

美味しかったよ」


 ルフィーに礼を言って店を出て家に戻ると

ティエラもちょうど帰ってきたところで、

ソファに座りながらルフィーとの話をティエラに

聞かせた。


「レベル80かぁ 道はまだまだ遠いね」


「まぁ80になるなんてずっとずっと先の話し

だけどさ、でもさ、大化けするってのは

一体どうなるのか楽しみじゃないかい?」


「そうだよね、いつか80の自分を見てみたいよね。

でも毎回勇者パーティの誰かが犠牲になってるって

ちょっと嫌な話しだよね」


「ああ。それだけ魔王ってのが強大な力を

持っているってことだろう。生半可な強さじゃ

相手にならないってことだろうな」


「勇者に万が一の時は頼むって神獣達に言われてるし、

そうならないのが一番いいけど、もしもの時の為に

私達もしっかり準備しておかないとね、でないと

こんなにいっぱい加護を貰っていて申し訳ないよ」


「その通りだ。だから明日からまた頑張ろう」


 その翌日再びダンジョンに挑んだ二人

71階の攻略を開始した。


 レベルが70になって魔人を倒す時間も

短縮され…と言ってもレンとティエラが交互に

攻撃してやっと倒しているのだが… 精霊魔法の

通りもよくなってきている。


 剣の魔人を倒して進むと 70階にはいなかった

魔獣がレンとティエラに襲いかかってきた。

ランクAのオーガが片手剣を持って二人に

向かって走ってくるが、


「遅い!」


 レンが片手剣を一閃するとその場で胴体を

真っ二つにされて倒れていく


「ランクAはもう雑魚だな」


 そのまま荒野の中を歩いていき

魔人は遠距離から精霊、その後片手剣で…


 魔獣は精霊一発で倒れることもあり、

倒れなくても二発目では確実に倒せられる

ことから遠距離攻撃で処理して進んでいく。


 結局魔獣が増えたところで二人の攻略スピードが

落ちることはなく、1日で71階を攻略した。


 そして72階に降りて転送板に触れてからその

フロアを見渡すと…


「レン、70階、71階と同じ景色に見えるんだけど」


「ああ、俺にも景色は同じに見える。ただ

そこにいる魔人、魔獣の種類と配置が変わっているだけだ」


「ずっと同じ景色って何か意味があるのかしら」


 しばらくその荒野を見ていたレンは


「ひょっとしたら…」


「ひょっとしたら?」


 レンの顔を見ながらオム返しにティエラが言う


「ひょっとしたら、これって南の山脈を

超えた魔族の国の土地を再現しているのかも

しれない。」


「ええっ!!」


 レンの言葉に驚くティエラ


「それってどういうこと?」


「冒険者が魔族の国に出向く時を想定して

同じ地形を再現しているんじゃないかな」


「つまり、この地形とこの魔人や魔獣相手に

しっかり鍛錬しろってこと?」


「うん。確信はないけど…もう少し下に潜ったら

はっきりするかもしれない」


「神獣が作ったダンジョンだから、そういう

意図があってもおかしくないよね。

となるとこの先には魔王の城みたいのが

あるってことになるね」


「ああ。下層はそうなってるかもしれない

このダンジョンをクリアしたらその真意を

フェンリルに聞いてみようぜ」


 72階は魔人が常に2体以上固まって

配置されていて、同時に複数体の

魔人を相手にしなければならない。


 レンとティエラは<<スリープ>>を

撃ってみたが、完全に効くケースと

ハーフレジストなのか、寝てもすぐに

 目が覚めてくるケースがあり、相手が

ランクSになると今の自分たちのレベルだと

常に<<スリープ>>がフルヒットしない。


 精霊魔法であればSクラスの魔人には

ほぼ100%フルヒットするが状態異常系の

魔法については相手にレジストされることも

あり、自分達のレベルをもっとあげる

必要があると痛感していた。


 2体、時には3体の魔人を相手にすると

必然的に攻略に時間がかかり、

72階の攻略から久しぶりに

ダンジョン内での野営となった


 探索スキルを駆使して魔人の位置を

さぐり、彼らの探知範囲外の場所を

見つけてそこにテントを張って野営する二人


 アイテムボックスから取り出した夜食を

とりながら、


「野営するのも久しぶりね。不自由だけど

冒険してるって実感できる瞬間よね」


「確かに。外でもダンジョンの中でも

冒険ってのは毎日家から通ってやるものじゃ

ないしな」


 食事を済ませると、安全地帯とは言え

何が起こるか分からない未知の土地でも

あるので、レンとティエラは交代で

睡眠を取って夜を過ごした。


よかったら評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ