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第57話




 それからも70階層の入り口で剣の魔人と槍の魔人を

朝から夕方まで狩り続けると


 『レベルが上がりました』


 の脳内アナウンスが


「やっとLV70だぁ!」


 ティエラが其の場でジャンプして喜びを現わしている

レンも飛び跳ねたい気分だった。


「さて、これでどうなったか」


 安全地帯から再び一歩踏み出して

剣の魔人と対峙する


 遠隔から精霊魔法を撃つと、今まで

ノーダメージだった魔人が<<サンダー>>を

受けてのけぞるのを見て


「今のはフルヒットしてる!」


 仰け反った魔人に近づいていき、エンサンダーを

付与した片手剣を横に振ると


 派手な叫び声と共に魔人が片足を地面につけた。

すかさずティエラが背後から背中を切りつける

まだかろうじて動いている魔人の首をレンが

切断して討伐した。


 続いてその先にいる槍を持った魔人に攻撃する


 精霊を撃ってのけぞらせると


 レンの片手剣、ティエラの片手剣の2回の攻撃で

槍の魔人が光の粒になっていった。


「70になると精霊は入るし、剣も3回、上手くいけば

2回の攻撃で倒せられるな」


「70になるとまた一段と強くなってるのが

実感できるわね」


「これならこのフロア攻略できるかもしれない。

恐らく70階はランクSが単体でいるだろうから

個別撃破で進もう。もしやばくなったら

テレポリングで帰るぞ」


「わかった」


 69と70の差、わずか1のレベル差がこれほどまで

違うものかと身をもって感じさせられていた。


 赤魔導士、魔法剣士はレベル10単位での能力の

上昇が他のジョブと比して各段と高くなっている。

 

 逆に言えば0~9までのレベルの各レベルでの

能力の上昇率は他ジョブと比して低く設定されている様だ。


 今まで何となくそうなんじゃないかと思っていた

事が、同格、格上の敵と対戦することで実感できた

二人は70階の荒野の中を進んでいく。

 

荒野を進むと再び剣を持った魔人が見えた

20メートルに近づく前に精霊魔法を撃ってみる。

 

 1発目が当たると仰け反る魔人、続いて2発目が

命中すると再度仰け反るが、そのままこちらに向かってくる


「倒せないが、効いてるぞ」


 左右に分かれて向かってくる魔人に突っ込んでいき

両側から魔人の腹に片手剣を払うとその場で

魔人が倒れた。


「精霊魔法の通りもグッとよくなってるね

ほぼフルヒットしてるわ」


 光の粒になっていく魔人を見ながらティエラが言う


 そのまま歩いていくと、前方に杖を持った魔人の姿

が見えた


「魔法使いの魔人だ。最初は相手の魔法の距離を

計ろう」


 ゆっくりと近づいていくと、魔人が二人に気付く

そのまま近づいていくとある距離になると

魔人が詠唱を始めた


「50メートルってとこか。射程距離が長いな。

まず俺が魔法を受けてみる。」

 

 詠唱を始めた魔人の魔法から逃げずにいると

レンの顔の前で<<ファイア>>が炸裂した


「レン、大丈夫?」


 顔の前で大きな炎が爆発したのを見てティエラが

心配そうに言うと


「ああ、大丈夫だ。手で顔を隠した。

魔防効果が効いてるから見た目と違って

殆どダメージを受けてないよ」


「よかった…でも余り無茶しないでね」


「わかってる、当たった瞬間はHPが減る感覚が

あったけど、すぐに戻ったよ。さて今度は

こっちから反撃するか」


 再度魔法詠唱を始めた魔人に向かってレンとティエラ

が無詠唱で<<サンダー>>を発動すると

2発の精霊魔法が魔法使いの魔人に直撃、

更にティエラが追い打ちの一発の精霊を

打ち込むと魔法使いが倒れた。


「ランクSの魔人の魔法のリキャストは15秒くらい、

詠唱時間は10秒弱くらいか」


「そんな感じだね。単体なら十分躱せるけど

魔法使いが複数いると厄介になるわね」


 荒野は岩場くらいしか身を隠す場所がないが

幸いにこのフロアは魔人の湧く場所が

 ある程度狭い範囲内に固定されている様で、

魔人と魔人が干渉しない場所にあった

大きな岩場が安全地帯になっていて、そこに

腰かけて水分を補給する。


「下に降りるとこういう安全な場所も

少なくなっていくんだろな」


「多分ね。でもようやくこのフロアのクリアが

見えてきたね。」


 ティエラが水の入ったボトルをアイテムボックスに

仕舞ってから立ち上がると、

レンも水をグイっと飲んでから立ち上がり


「このまま最後まで行って70階、クリアしようぜ」


 再び荒野を進み、単体で出てくる魔人を精霊魔法と

片手剣のコンボで確実に討伐していく


 そしてもう地上では完全に日が暮れた時、71階に

降りる階段を見つけた。


 階段を下りて転送版に触れて、71階を見てみると

そこは70階と同じ様な荒野ながら、魔人以外に

魔獣が闊歩していた。


「なるほど、魔人は変えずに魔獣を追加で出してきてるのか」


 闊歩しているトロルを調べるとランクA,ランクSの2種類が

判別できた。


「魔人はランクSで、魔獣はランクAとSの両方いるみたいね」


 次に攻略するフロアをざっくり調べてから転送版で

地上に戻った二人。

ベルグードの街に戻るともうすっかり日が暮れていて


「何食べて帰ろうかなぁ」


 レンの左腕を両手でしがみつく様に抱きしめて

大通りを歩いていく二人。


 ティエラにとっては緊張感のあるダンジョン攻略の後の

この緊張感が抜けてほっとしてリラックスできる

ひと時が大好きだった。

  

 レンもティエラの性格を知っているので何も言わずに

彼女に任せてゆっくり通りを歩く。暫く歩くと、


「よし! 今日はここにしよう!」


 レンの手を引っ張って入っていった店は

女性が好きそうなパスタの店。


 店内も女性だけの客とカップルだけで

男性だけの客はいない様だ


 案内されたテーブルに座ってキョロキョロと

周りをみていると、


「キョロキョロしないの」


 ティエラに窘められた。


「こんな店があったんだな」


「最近できたんだよ。パスタが美味しいので

女性の間で人気急上昇中」


注文したパスタが来て一口食べると


「うん、確かに旨いな」


「でしょう? ところで明日以降はどうするの?」


口に入っていたパスタを食べてから聞くティエラ


「明日は休息にしよう。明後日以降は

71階の敵を見ながらレベル上げだな。

正直ランクSの魔人をさっくり倒すには

俺たちのレベル80以上は必要じゃないかと思ってる」


「さっくり倒そうとすると最低レベル80くらいは

必要かもね」


 ティエラも同意する。その辺りは実際にランクSの

魔人と戦った者にしか分からない感覚だろう。


「レベル80なったら魔人をさっくり倒せられるかどうか

確認が必要だけどさ、魔人の中にもSだけじゃなくて

SSレベルとかいるかもしれないし、ましては

魔王がどれくらいの強さか分からないけど、

少なくともあのランクSの魔人が雑魚になる位までレベル上げないと

これからも相当厳しいと思うんだ」


「となると暫くダンジョン引きこもりだね」


「そうなる。いつまでって期限なんて決めてないから

飽きがこない様に適当に息抜きしながらやろうぜ」


「うんうん、そうしましょ。とりあえず明日はお休みっと」


 その夜、南の洞窟の奥に神獣が4体集まっていた


『ようやくレベル70か。これでまた一段と

能力が開花するな』


『あれだけ加護を持っていても、無理せずに

自分たちの出来ることをきちんとやっていこう

というのはなかなか出来る事じゃないわね』


『んむ。あの若さで大したものだ。背伸びしたい

年頃だろうに。気負いがない』


『このまま順調に伸びてレベル80になった時の

彼らの能力がどうなっているのか、

想像するだけでワクワクするぞ』


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