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第53話


 ギルマスへの報告を終えた翌日

二人の姿は南の森の入り口にあった。


「探索スキルでは何も無いわね」


「昨日の今日だからな、とりあえず昨日魔獣を倒した場所に

行ってみよう」

 

 テレポリングを使わずに歩いて周囲を確認しながら

森の奥に進んでいく。


「鳥の声がする。昨日は鳴き声が聞こえなかったよね?」


「確かに。となると期待できるかな」


 森を抜けて昨日の魔獣の場所につくと、昨日の状態のままで

何も変化は起きていなかった。

ティエラが土魔法で蓋をした場所もそのままで


「レア種の魔獣はどうやらあれ1体だったかな」


「周囲の木はトレントじゃなくて普通の木だから

突然変異することはないよね?」


「たぶん。不安なら周囲の木を伐採しておくのもありだな」


「戻ったらギルマスに聞いてみましょ」


 そのままナスコに戻ってギルマスに有りのままを報告すると


「悪いが周辺を一応伐採しておいてくれるか?

それと昨日の金属片と魔石は王都に送る手配をした。

魔石代金はどうしよう?王都に請求するか? お前たちが

入金するまで時間はかかるが…」


 えっ!という表情をしたのはティエラ


「あの…魔石代って?」


「ん?討伐したのはお前たちだからお前たちのものだろう?」


「そうだけど…今回はクエストとして受けているので

クエスト報酬のみだと思ってました」


 レンが続けて


「今回は魔石代はいらないよ。珍しいレア種の魔石だし

今後の為に錬金ギルドで有効に使ってくれたらいい。

俺たちはしっかりクエスト報酬をもらえるし」


「そうなのか?いや、そうして貰えるとこっちも助かる。

正直見たことがない魔獣の魔石の査定なんて面倒だし

とても時間が掛かるもんなんだよ。じゃあお言葉に甘えて

魔石は寄付するってことでいいな?」


 頷く二人。


 ギルドを出るとまだ昼過ぎだったので、昼食を兼ねて

市内の海鮮料理店に入った。

ピークの時間は過ぎていたせいか、人がまばらな店内の

空いているテーブルに座って、料理が来るまでの間に


「明日魔獣を見つけて、その後で伐採したらクエスト

終了かな?」


「そうじゃないかな。天変地異の前触れじゃなくて

よかったよ」


 そんな話しをしていると注文した料理がテーブルに

運ばれてくる。


 料理を一口食べたティエラは


「何これ?めちゃくちゃ美味しい。魚介類もたっぷり

入ってるし、スープも最高!」


「これも美味しい。何の魚だろう。ベルグードじゃ

見たことないよ」


 来る料理を口にしては声を上げて喜ぶティエラ

レンも口には出さないものの、新鮮な海鮮料理を

堪能していた。


「後で市場で魚や貝を買っておこうぜ」


「うんうん、そうしよう。これベルグードで出したら絶対に

人気が出る料理だと思うんだけど、

きっと日持ちしないんだろうね」


 すっかり海鮮に嵌まったティエラはその後魚市場で

これでもかというほど魚や貝を買ってはひたすら

アイテムボックスに放り込んでいく。


「いや、ティエラさ。欲しくなったらテレポリングで

またここに買いに来ればいいじゃないの」


「わかってるんだけど、目の前にこんな新鮮なのが沢山あるとね

ついつい… レンだって美味しい魚食べたいでしょう?」


「ま、まぁな」


 圧倒的な主婦パワーを見せつけられては流石のレンも

それ以上何も言うことができなかった。


 ティエラが海鮮を爆買いした翌日

二人が森の入り口に着いて探索スキルを使うと


「おっ、いるいるフォレストウルフにランクCのオーガ」


「普通の動物も戻ってきてるね」


「やっぱりあのレア種が原因か。じゃあ奥のあのエリアの

周辺の木を伐採して帰ろう」


森にいる魔獣とはできるだけ会わない様に移動して

 広場に出ると、むき出しの金属があったエリアの周辺の

樹木を片手剣で伐採していく。


「ちょっと広めに伐採しすぎたかもしれないけど

これくらいでいいか」


「そうだね これくらいやっとけば十分でしょ

あとはギルドに定期的に伐採してもらう様に依頼しておきましょ」


 ナスコの街に戻るとギルドに向かい

ギルマスに最終報告をする。


「わかった。魔獣、動物が戻ってきたってことは脅威は

去ったと言うことだな。やっぱりお前らが倒した

レア種が今回の騒動の原因だったんだろう」


「出来たら定期的に巡回する事をお勧めします。

伐採した所も時間がたてばまた何か生えてくるかもしれないし」


「そうだな。ティエラの言う通りだ。それはこっちでやろう。

ということでこれでクエスト完了とする。

二人のカードを貸してくれるか? クエスト終了手続きと

報酬を振り込んでおく」


「ありがとうございました」


「いやいやこちらこそ助かったよ。テレポリングが

あるんだからこれからは気が向いたら海鮮料理を食べに

来てくれ、いつでも歓迎するよ」


 ギルマスに見送られてマスター室を出て

カウンターで預けた冒険者カードを受け取ると


 酒場にいた冒険者達に挨拶をしてから街を出て

自宅のあるベルグードに戻っていった。



 ベルグードに着くとそのままギルドに顔を出す二人。

受付でギルドマスターを呼んで待っている間に

そこにいた冒険者から声を掛けられる。


「よぉ、レン。久しぶりだな。どっか行ってたのか?」


「ああ、ナスコにな。クエストで」


「ティエラも一緒?」


「うん。レンと一緒にナスコに行ってた」


「ナスコかぁ、魚が美味しいよね」


「すごく美味しかったよ」


 他愛のない話しをしているとレン達専属の受付嬢の

キャシーが二人を応接室に案内するとすぐに

アンドリューが部屋に入ってきた


「思いのほか早かったな。向こうは片付いたのか?」


 聞かれてレンがナスコでの出来事を説明していく。

全て聞き終えると


「突然変異か…それが事実なら一安心だが、

万が一新しい魔獣として今後も出てくるのなら厄介だな。

いずれにしても王都の錬金ギルドに送ったという謎の金属の

分析結果次第か」


「今回ナスコに行ったことでテレポリングが場所を覚えたので

次回何かあったらすぐに駆け付けられますよ」


「そこは安心できる点だ。どうせならお前ら国中の街を

全部訪問してきたらどうだ? そしたらいつでも移動できる

じゃないか」


「そんな事したらギルマスにこき使われるのが見えてるから

止めておくよ。それよりその金属の周囲は一応土魔法で

隠してはきたけれど、どこかの馬鹿がそれを掘り出して悪用

するか分からないし、魔族だって利用するかもしれない。

なのできちんと封印しておいた方がいいと思う」


「確かにレンの言う通りだ。分析結果が出るまでは

厳重に管理する事とこの金属の事は口外しない様に

こっちから関係先に連絡入れておこう」


「じゃあ、俺たちはこれでクエスト終了ってことで

いいよな?」


「ああ、それでOKだ。ご苦労様」


 その翌日を完全休養日とした二人。

午前中は自宅でリラックスし、午後になると街をぶらぶらして

久しぶりの休日を楽しんだ。



 そしてその日の夜、自宅で夕食を済ませて二人でリビングで

くつろいでいると窓の外が明るくなったかと思うと

妖精が2体、家の中に入ってきた


「おひさしぶりね、妖精さん」


ティエラが挨拶すると2体はペコリと頭を下げて


「こんばんは。フェンリルが会いたいって」


「シヴァも会いたいって」


「明日の日が暮れる頃、シヴァの洞窟に来てって」


「フェンリルもそこで待ってるって」


2体が交互に話するのを聞いてティエラが妖精を見つめ


「わかった。明日の日が暮れる頃にシヴァの洞窟にいくよ」


その言葉を聞くと2体の妖精はまたペコリとお辞儀をし

背中の羽根をパタパタさせて窓の外に消えていった。


妖精が消えてから


「今回の件かな?」


「恐らくそうだろう 彼らなら何か知ってるかもしれないな」


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