表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/101

第46話



 洞窟の出口まで歩くと、

そこにはレン達を乗せてきたドラゴンが待っていて


『神獣様との話しは終わったのか?』


「ああ、終わった」


『加護がまた増えてるな。4体の加護か…

今なら我らドラゴンと言えどもお主らを倒すのは難しそうだ』


「それほどなのか?」


『気づいていないのか、呑気なやつじゃのう。

神獣の加護が4体ついているやつらとは

ことを構えたくないのが本音じゃ。

さぁ乗るがよい、麓まで送ろう』


 勧められるままに来た時と同じ様に

ドラゴンの背中に乗ると羽ばたいたドラゴンが

空に上がりそのままいくつも山を飛び越えて

一気に山脈の山裾まで飛んで行った。


山裾の平原部に降りるとその背中から飛び降りて


「助かりました。ありがとう」


『我らの助けがいる様になったときには

いつでも声をかけてくれて構わんぞ。

神獣様からもそう言われておる』


「その時は神獣経由で頼むことにするよ」


 レンの言葉に一度頷くといいドラゴンは

火山のある山に向かって飛んでいった。

それを見送りながら


「私たちどうなっちゃうんだろうね。

魔王と戦うとか言われても、

全くピンとこないんだけど」


「本当だよな。まぁ神獣も言ってたけど

普段通りの生活してたらいいんじゃないかな。

俺たちが世界をどうこう出来るわけなんて

ないんだしさ、深く考えるのは止そうぜ」


「レンのその楽観的なところ、嫌いじゃないわよ。

確かに私たちでどうしようもないことだもんね」


 その後ティエラのテレポリングで2人は王都に戻っていった


 

 ホテルでぐっすりと休んだ翌日、遅めに起きた2人は

泊まっているホテルで朝食を摂ったあと

王都のギルドに向かった。


 ギルドに入ると朝のクエスト取り合いの時間は終わって

いたせいか、人は少なくてそのままカウンターに

向かうと受付嬢にギルマスとの面談を申し込む


 しばらくするとギルマスが会うというので

先日と同じ応接で待っているとギルマスの

オースティンが部屋に入ってきた。

挨拶を済ませると、


「お前ら北西の山脈に行ってきたんだってな。どうだった?」


「知ってたのか?」


「酒場でシールと話ししてたんだろう? そう言う

情報は大抵俺の耳に入ることになっている」


 隠すことでもなかったのでレンはそのまま話を続ける

まずは最北の村を出てから山裾までの状況を話しし

それから山の中の魔獣の種類、レベルの報告をする


「ランクAが主体か…強かったか?」


レンはティエラと顔を見合わせると


「それが、手応えがないくらいに弱かった」


「えっ、ちょっと待て! ランクAだったんだろう?

それが手応えがないってどういうことだ?」


「どういうことだと言われてもその通りなんです。

私とレンが相手したのは5匹とか、あっランクA、B

が混じって10匹以上の時もありましたけど、どちらも

なんと言うか歯ごたえのない相手で…」


 ティエラもどうやって説明したらいいのか

わからなくなっている。


 話を聞いていたギルマスのオースティンは口にこそ

出さなかったが、2人の話を聞いて、手応えがない?

歯ごたえが無い? いやいやそれはないだろう。

と頭の中で2人の話を否定していた。


 ランクAの魔獣1体に対してランクAの冒険者1人が

対峙すると、ほぼ100%冒険者が負けるのが普通だ。

ランクAの魔獣1体に対しては最低でも4名のランクAの

冒険者が、出来れば6名以上でパーティを組んで倒すのが

一般的な討伐方法だと言われている中でこの2人の

発言はその考えを根底から覆すもので…


 そして彼はふと気がついた

こいつら、俺の想像以上に桁違いに強いんじゃないのかと…


 ランクA5匹とかA,B混在で10匹以上とか…

普通の冒険者の二人組ならその場で即逃げ出す

はずなのに歯ごたえが無いとか…

一体どれくらい強いんだ?こいつら。


 それまでにもベルグードのギルマスのアンドリューからは

目の前にいるレンとティエラの強さは聞かされて

いたものの、聞いて想像していた以上の強さをこの2人は

持っているみたいだ。これは今までの認識を改めないとな。

…と頭の中を一旦整理し、


「まぁいい。続けてくれ」


 続けてと言われたてホッとしてレンが話を続ける


「ランクAの魔獣が山から出てこない理由がわかった」


「何?!」


「あの山脈にはドラゴン族が20匹ほど住んでいる

彼らのランクはS。そのドラゴンがランクAの魔獣達の上に

君臨していて、魔獣が山から出ようとするとドラゴンが

それを止めてきた歴史があるらしい。なので最近は

魔獣は山から出たらドラゴンにやられると知っているので

山から出ないそうだ」


一気に話をすると、しばらくしてから


「じゃあ、村人の噂話が結局正解だったってことか。

お前らはその話しを誰から聞いたんだ?」


「あの火山の火口近くに住んでいる神獣から聞いた」


「あそこに神獣がいるのか?」


「いる。というか今回北西を目指したのも、その神獣に

会うのが目的だったんだ」


「誰でも会えるのか?その神獣には」


「どうだろう。普通に行ったらまず会えない。

あの火山の山の中腹にある洞窟の奥にいるんだが

洞窟まで上がっていく手段がない。絶壁だし

火山に着く前の森にランクAの魔獣もうじゃうじゃいる」


「じゃあお前達はどうやって行ったんだ?」


「私たち、ドラゴンに乗せてもらったの」


「な、なんだって!!」


さらりというティエラの言葉にギルマスは今日何度目かの

驚愕の声を上げる。


「火山の山裾で休んでたらドラゴンが飛んできて

神獣の所に案内するからと乗せてもらったのよ。なんでも

ドラゴンは神獣に仕えてるそうです」


「もう訳がわからなくなってきたぞ。ドラゴンが神獣に

仕えてるって今言ったよな」


「その通り。どういう経緯かは知らないが、ドラゴン族は

神獣に仕える様になった様だ。それで神獣の意向を汲んで

ランクAの魔物が山から出ない様にランクAの魔物の上に

君臨してるって言ってたぞ ドラゴン族はランクS なので

ランクAの魔獣もドラゴンの言うことは聞くらしい。」


 レンがティエラの言葉を引き取って説明をする。


「言ってたぞってドラゴンは人間の言葉を話せるのか?」


「話すというか脳内に語りかけてくる感じだ。

こちらからは普通に話すと、相手は脳内に話し掛けてくる」


 レンとティエラがオースティンに説明しているが

彼の頭の中ではこいつらは一体何なんだよ、

もう俺の想像の埒外にいるじゃないかよ。と

同じ言葉が何度もぐるぐる回っていた。


 正気に戻るべく軽く頭を振り、


「これは大っぴらにはできないな 混乱しそうだ

現に俺は今でもお前達の話が信じられない位だからな」


「できれば神獣がいることも含めて秘密にしてもらいたい

ドラゴンとランクAの魔獣との関係は言っても構わないと

思うし、むしろそこは発表した方が村人達も安心だろう。

それとそういう事情だからドラゴンは討伐しない方が

いいと思うぜ。」


「わかった。そうしよう 最低限の情報だけ開示する。

 ドラゴンについても王都の騎士団と話をして基本放置

でこちらからは手出しをしないという線でまとめる。


 それにしても、お前達がダンジョンの秘密やら上位転生条件

を見つけてこれた理由が俺にもようやくわかった。

ベルグードのアンドリューがとんでもない奴らだと

言っていた意味がようやく俺にも理解できたよ。」


 ふぅと大きなため息をついて応接のソファに深く座り

直したギルマス


「で、これからどうするんだ?ベルグードに戻るのか?」


「それも考えたけど、せっかく北西にランクAがいるので

そいつら相手に少しレベル上げしてからベルグードに

戻るつもりでいる」


「ああ、そうかお前らテレポリングを持っていたんだな」


オースティンは北西の山でレベル上げすると聞いてももう

驚くこともなく、


「わかった。王都でのんびりしてくれよ。

あっちに帰る前に一声かけてくれるかい?」


「わかりました」


「わかった」


 ギルマスとの面談が終わって応接からギルドの

受付場所に戻ってきた2人。そこに座っていた受付嬢に


「魔石を買い取っていただけますか?」


「はい、ここに出してください。こちらで査定しますので」


 レンとティエラはお互いのアイテムボックスから

ランクB,ランクAの魔石を次々とカウンターに出していく

それを見て目を大きく広げる受付嬢


「これ、ランクBのもちらほらあるけどほとんどランクAの

魔石ですよね?」


「ああ、そうだ。北西の山で倒してきた魔獣の魔石だよ」


 カウンターでのやり取りを聞いていた近くにいた冒険者達が

ざわめく


「おい、北西の山でランクAをあれだけ倒してきたのかよ」


「2人組だろう? 一体どうなってるんだ?」


「あいつらだよ、上位転生した魔法剣士のレンとティエラって。

なんでもベルグードNo.1の実力者らしいぜ」


「ベルグードのNo.1って行ったらほとんどこの国のNo.1と

言ってもいいくらいじゃないかよ」


 酒場の方から聞こえてくる雑音は無視して、

レンとティエラは受付嬢に


「すぐに査定できなければ後からくるからそれまでに査定

しておいてくれるかい?」


「は、はい。これほど数が多いと、ちょっと時間がかかるかもです」


「いいわよ。まだ暫くこっちにいるつもりだから。」


魔石をギルドに預けて一旦旅館に戻った2人



 それからはテレポリングで北西の山に飛んでランクAを

中心に討伐し、その翌日は休暇で観光、という1勤1休の

ローテーションで1週間ほどランクAを狩り続けていると

2人ともLV62に上がった。


 この間、最初に査定をしてもらった分を含めて

相当数の魔石をギルドに納め、それで得た金貨は30枚以上

宿屋の支払いをしてもまだ十分に余るほどの収穫となった


 宿屋をチェックアウトし、最後の挨拶でギルドにはいると

受付嬢にギルマスへの挨拶と呼んできてもらう様にお願いする


 ギルマスが来るまでカウンター近くで待っていると

他の冒険者達から


「よぅ、レン。これから帰るのか?」


「またこっちにも来てくれよ、今度は模擬戦やろうぜ」


「ばか、お前なんか相手にならないって」


 いろんな声をかけられる。ティエラも女性冒険者から


「またゆっくり来てね」


「今度ベルグードに行ったら美味しい店に連れてって」


 こちらはどうやら戦闘よりも食い気らしい。


 仲良くなった冒険者達と話をしていると

ギルドの奥からマスターのオースティンがやってきた


「これから帰るのか?」


「ええ。お世話になりました」


「いやいや、こっちこそだよ。北西の村の話しは

もうこのギルドから村に連絡済みだ。ドラゴンの件も

騎士団とも話しをしてこちらから手を出さないことになった」


「そりゃよかった」


「そうそう、悪いがベルグードのアンドリューにこの手紙を

言付かってくれるかい?」


 レンは封筒を受け取りながら


「お安い御用だ。帰ったら渡しておくよ」


「頼む」


「じゃあ、世話になった。また来ると思うので

その時はよろしく」


「よろしくお願いします」


 冒険者にも挨拶をして、2人は王都の外からテレポリングを

使って住み慣れたベルグードの自宅に戻っていった。



よかったら評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ